第285話 お兄ちゃんに甘えてる時が一番幸せなの♡
≪はあ…朝からこんなに可愛い子達が一緒にいてくれて…こんな凄いハンサムなパパがいてくれて…絶対ここ、天国だわ…≫
≪ははは…大げさじゃないか?リリィさん≫
≪何言ってるんですかショウさん!ショウさんが四十四歳だなんて、絶対に詐欺だって誰もが言っちゃうくらい若々しくて、しかもモデルみたいなスタイルにそのハンサムな顔!!大げさなんかじゃありませんよ!!≫
≪そうですよ…お父さんがかっこいいのと、羽月達が可愛いのはそうですけど僕は別に…≫
≪何を言ってるのリョウちゃん!リョウちゃんは日本の宝って言ってもおかしくないくらい可愛いのよ!?こ~んなにも可愛いママがいてくれたら、あたしどんな時だって幸せになれちゃうわ!≫
≪も、もお…だから僕、男だって言ってるのに…≫
≪涼羽が国宝級に可愛いのは当然!!お父さんだっていつもそう思ってるんだからな!!涼羽!!≫
≪お父さんまで…俺、男だってば…≫
美鈴に沙羅にリリィと、多くの宿泊客を迎えることとなった高宮家。
その翌日の朝、真っ先に起床した涼羽が作ってくれた朝食の匂いで、全員が目を覚まして降りてきて…
涼羽の手料理に蕩けてしまいそうな表情を浮かべて舌鼓を打ちながら、わいわいと寛いでいる。
幸せって、こんなところにあったんだ。
妹の羽月に手伝ってもらいながら甲斐甲斐しく全員の世話を焼く涼羽の姿が、あまりにも可愛すぎて尊すぎて…
それを見ているだけで、美鈴も沙羅もリリィもそんな思いを実感してしまう。
周囲からとても愛されている、その童顔な美少女顔ににこにことした笑顔を浮かべながら家事をするお母さんな涼羽の姿…
そんな涼羽を心底愛おしいと思う温かな笑顔で見守る翔羽の姿…
それらがあまりにも完成度の高い芸術品のように思えたリリィが、二人に対してついつい冒頭のようなやりとりをしてしまう。
もちろん、自身の容姿に自覚があまりない涼羽も翔羽も実感がわかないと言った反応になってしまうのだが…
外国人特有のオーバーなジェスチャーも交えて、リリィは涼羽も翔羽も絶賛してしまう。
母国語である英語で流暢に会話ができているのも、リリィのストレートな感情表現を後押しすることになっているようで…
そんな真っすぐな絶賛の言葉に、涼羽も翔羽も照れくさくなってしまう。
加えて涼羽は、男である自分が『女の子』として褒められているような言葉に非常に複雑な気持ちになってしまう。
「お兄ちゃん♡」
「?どうしたの?羽月?」
「お兄ちゃん大好きだから、お兄ちゃんに甘えたくなっちゃったの♡」
「…もお…羽月ったら、来年高校生になるんだよ?」
「そんなの関係ないの♡お兄ちゃんに甘えるのは、妹のわたしの特権なの♡」
「…羽月は本当に甘えん坊さんだね」
「そうなの…だからわたし、お兄ちゃんに甘えてる時が一番幸せなの♡」
「…ふふ…よしよし」
「えへへ…お兄ちゃんのなでなで大好きなの♡」
そんな涼羽に、羽月がべったりと抱き着いて甘えてくる。
いつものように、涼羽の胸に顔を埋めて、思いっきり甘えてくる。
来年で高校生になるものの、幼さの色濃い容姿の妹が兄である自分に幸せそうに甘えてくる姿がとても可愛くて…
涼羽はその母性本能をくすぐらされてしまう。
口では、羽月をたしなめるようなことを言ったりしているものの…
可愛い妹である羽月が甘えてくれるのが嬉しいのか、優しく抱きしめてその髪を梳くように頭をなでなでしてしまう。
羽月も、可愛くて優しい兄が自分のことをうんと甘やかしてくれるのが嬉しくて…
涼羽の胸に顔を埋めたまま、涼羽の華奢な身体をぎゅうっと抱きしめて離そうとしない。
そんな兄妹の触れ合う光景は、非常に高度な芸術品のような美しさと、陽だまりのような温かさを、見ている者に感じさせてしまう。
≪はあ…リョウちゃんとハヅキちゃん…なんて可愛いのかしら…あたし、めっちゃくちゃ二人のこと可愛がってあげたくなっちゃう♡≫
「涼羽ちゃんと羽月ちゃんったら、また二人だけの世界に浸っちゃって…でも、めっちゃくちゃ可愛くて、尊くて…ずるいよお…♡」
「わ、わあ~…羽月ちゃんって、あんなにも涼羽ちゃんに甘えちゃうんだ~…涼羽ちゃんお兄ちゃんなのに、ぜ~んぜんそんな感じしなくて…もうお姉ちゃんにしか見えないよ…すっごく可愛い…♡」
涼羽と羽月の仲睦まじい兄妹の触れ合いに、リリィも美鈴も沙羅も蕩けそうな笑顔を浮かべながら言いようのない幸福感で心が満ち溢れている。
まるで、この世の幸せを全て詰め込んだようなその光景に、三人共めろめろにされてしまっている。
「はあ…なんでうちの子達はこんなにも可愛いんだろうなあ…涼羽…羽月…お父さんはず~っとお前達のことを可愛がって、愛してあげるからな…」
当然、涼羽と羽月が大好きで大好きでたまらないお父さんである翔羽も、涼羽と羽月が仲睦まじく触れ合う姿にめろめろになってしまっている。
「えへへ…お兄ちゃん」
「なあに?羽月?」
「お兄ちゃんはわたしだけのお兄ちゃんだから、ず~っとわたしのそばにいてね?」
「…もう…いい加減お兄ちゃん離れしないとだめだよ?」
「やだ♡わたしお兄ちゃんのこと、ぜ~ったいに離してなんかあげないもん♡」
「羽月ったら…ほんとに甘えん坊なんだから…」
「お兄ちゃん♡お父さんとデートするんだったら、わたしともデートしてね?」
「!だ、だから俺、男なのになんでお父さんとデートする流れになってるの!?」
「そんなの、お兄ちゃんが可愛くてたまんないからに決まってるもん♡」
「!ち、違うもん…お、俺…そんなこと…」
「お兄ちゃん可愛い♡わたし、可愛いお兄ちゃんだあい好き♡」
「!も、もお…」
「お兄ちゃん、わたしとデートしてね?約束だよ?」
「!!ん、んっ…」
羽月はそう言うと、涼羽の胸の中から顔を上げて、涼羽の唇を優しく奪ってしまう。
大好きな兄の唇に、自分の唇で触れている感覚がとても心地よくて幸せで、羽月は涼羽の身体を優しく押し倒して、涼羽の唇を思う存分に堪能してしまっている。
やはり、涼羽の容姿がとびっきりの美少女にしか見えないこともあって…
妹の羽月に押し倒されて唇を奪われているその姿は、本当に美少女同士のいけない関係そのもののようにしか見えない。
≪!きゃっ!ハ、ハヅキちゃんったら、本当にリョウちゃんが好きで好きでたまらないのね…可愛い女の子同士のキス見てるみたいで…ドキドキしちゃう…≫
「もお~!また羽月ちゃん、涼羽ちゃんのこと独り占めして~!」
「は、羽月ちゃん…お兄ちゃんの涼羽ちゃんにキスしちゃってるよ~…羽月ちゃん、もうそのちっちゃい身体全部で涼羽ちゃんのこと、好きって言っちゃってる…そんな羽月ちゃんに押し倒されてキスされてる涼羽ちゃん…めっちゃくちゃ可愛い…♡」
美少女な姉と妹のいけない関係を見ているようで、リリィは思わず顔を赤らめてその鼓動を昂らされてしまう。
美鈴はまたしても羽月が涼羽を独り占めしているのを見て、ぷりぷりとしながらヤキモチを焼いてしまう。
沙羅は幼げな美少女で妹である羽月に押し倒されて、唇を奪われてしまっている涼羽があまりにも可愛すぎて、そのドキドキが収まらなくなってしまっている。
「ん…♡」
「ん…んっ…」
そんな外野の視線など、まるで気にも留めず羽月はひたすら、涼羽の唇を奪って幸せに浸っている。
そのくりくりとした大きな瞳の中に、その小さな身体にはあまりにも不釣り合いな程の愛情がそのまま形となって映っており…
大好きで大好きでたまらない兄である涼羽を独り占めしたくて、涼羽を離そうとしない。
「うんうん…涼羽と羽月が本当に仲が良くて、お父さんは嬉しいなあ…」
実の娘が兄である実の息子を押し倒して、その唇を奪うと言う非常に倒錯的な光景が目の前で繰り広げられているにも関わらず…
その二人の父である翔羽は、涼羽と羽月の仲が本当によくて嬉しいと、にこにことした笑顔を浮かべて見守っている。
今は亡き最愛の妻、水月の容姿を色濃く受け継いだ涼羽と羽月の仲睦まじい触れ合いに、翔羽は生前の水月を思い出し、かつての仲睦まじい恋人時代、そして夫婦となってからの幸せな時間を思い出して、過去の幸せに浸るので、あった。
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