第5話アネモネの日々 五話【初めてのお買い物】
ご主人様の汚屋敷の清掃が終わった次の日、
「アネモネ~、ちょいちょい来て」
「はいっ。ご主人様如何されましたか?」
「昨日で氷室の食材が切れちゃったから、買い出しに行ってきて欲しいのよ。予算はこれねっ。」
ご主人様はそう私に言うと、緑色の可愛らしい形をした財布を私に渡した。この形は登録情報を辿ると、グリーンフロッグという生き物らしい。つぶらな瞳で私を見ている気がした。
「ヘヘッ♪可愛いでしょ!お気に入りだからなくさないでね。」
「かしこまりました。それでは買い物に向かいます。」
「待って。一応お金の種類と価値はわかってるわよね?」
「はいっ。」私はそう言うと、登録された情報からお金に関して思い出した。
この銀色の丸い硬貨が1ルウ(日本円で1円)
同じく丸い銅色の硬貨が5ルウ(5円)
銀色に輝いているのが100ルウ(100円)
100ルウより少し大きい硬貨が500ルウ(500円)
そして薄緑色の紙幣が1000ルウ(千円)
薄桃色の紙幣が5000ルウ(五千円)
青色の紙幣が10000ルウ(一万円)だったはず。
私は思い出しながら、ご主人様につらつらと答えた。
「正解よっ!基本知識は問題ないみたいね。じゃあこれっ、買い物袋あげるからムーンと一緒にいてら~」
「ムーンさんとですか?」
「そうっ、一応アネモネには戦闘能力は付与してあるから、そこら辺のバカが襲い掛
かって来ても問題ないでしょうけど、アネモネはまだ生まれたばかりでしょ?」
そしてご主人様はムーンさんを見ながら、「それにムーンは喋れないけど、言葉は理解できるから不馴れな分、道案内がてらね。」
ご主人様がそう言ってからムーンさんを見ると、尻尾を上にピンと張って、自信満々な様子だった。
私はムーンさんの目線までしゃがんで、「では道案内お願いしますね、ムーンさん。」と言うと「なぁ~ごぉ~♪」とのんびりした鳴き声が返ってきた。任せろっ!と言ってるのかな?
出発の前にご主人様が、ムーンさんの首にムーンさんの肉球を模した、小さい袋を巻き付けていたので聞いてみたら、「ムーンのおやつよっ。こいつすぐにお腹減っちゃうから」そうか、だからあのボディになったんですね。納得。
そして私はムーンさんを伴って初めてのお買い物に出掛ける。
今日の晩御飯はご主人様の好物のビーフシチューにする予定だ。必ず任務を達成しなければならない。
「ムーンさん頼みますよ。」と私が声を掛けると、まるまると太ったボディを揺らしながら、「な~ごぉ~!」と返事をもらった。
気のせいかムーンさんの体が大きく見えた。ムーンさん立派です!
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