第4話アネモネの日々 四話【お掃除と猫と】
私はご主人様に案内されて地下の実験室から階段を上がった。
階段を上がった私のご主人様の後に続いて歩いて行くと、何か「ぶちゅっ!」と足元で潰れた音がした。
嫌な予感がし、ギギギと擬音がしそうな感じで私は足元を上げて確認をしてみた。足を上げるとそこには、小さくて黒くて丸く足がたくさん生えた物体が潰れていた。緑色の液体はおそらく体液か?
脳内のデータと照合してみると、この物体はゴキブリという汚い所を好む昆虫らしい。思った以上に、この屋敷の惨状はひどいと私は察した。
人間の女性はゴキブリを見ると嫌悪感から、騒いでしまうみたいだが、この程度では私は動じない。一応ご主人様に与えてもらった、スリッパなる履物を履いていたので、直接足には付着していない。
私は、足を振り体液を払うと、ご主人様が「ごめんねー、まる一年掃除していないからもうちらかっちゃってさー」苦笑いで喋る。
「この前起きたら頭の上にゴキブリが乗ってて、さすがに掃除しなきゃなーって思ってアネモネを造ったのよ。あはは。」
そうして掃除用具が一通りそろった場所まで案内されるまで、屋敷をちらちら見て回ったがあちこちに、食品類の容器が散乱していたり、脱いだ下着がそのままだったり、何かの本があちこちに散乱していたり、とにかくひどいありさまだった。
そして私は掃除用具を渡され「じゃあアネモネっ!私研究があるからあとよろ☆」と言って研究室なる所に向かって行った。
残された私は一言、「思ったよりかかりそうですね」と嘆いた後、腕まくりをして掃除に取り掛かった。
掃除の最中、ムーンさんが何が面白いのかやたら私の後についてきた。掃除の監督をしているのか?とりあえず口にゴキブリを加えてくるんじゃありません、ほめてほしいの?あっ!あとそんなに近寄って来なくておkです。
私がゴキブリを外に捨ててきなさいと言うと、理解出来たのか「な~ごぉぉぉ...」と寂しそうに外に出て行った。ピンと張っていたしっぽが垂れてのが印象的だった。
う~ん、やはり褒めたほうがよかったのか?
そして外が暗くなった頃・・・
「お~!すごいきれいになってる。さっすが私が造ったオートマーター。家事スキル全般マックスにして正解だった!つーかアネモネどこいったのよ!ごはん作ってほしいのに」
「お~い!アネモネ~どこよ~?うん?」
アネモネをようやく見つけたが、疲れたのかソファーですやすやと眠っていた。なぜかムーンがおなかの上に乗っていたが。
「ふふっ。疲れちゃったのね。今日は自分で作るか、、」
「ありがとねっ!アネモネ。」
そして私の長い初任務は終わった。起きたら体に毛布が掛かっていた。
とりあえず、ムーンさん...重いのでどいて下さい。
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