5月第3水曜日
7 なめくじ宇宙人となめくじ男 その1
あ~、いってぇー。
昨日、星野に殴られた頬がまだヒリヒリする。
あ~あ、なんでオレ星野に抱きついちゃったんだろう。
あのときオレも泣いたあとだったから、なんとなく一緒に泣きたい気分になっちゃったんだよな。
一生の不覚。死ぬほど恥ずかしい。
真っ赤に腫れた頬をおさえながら、登校した。
学校の廊下を歩いてると、なにも言わず間城がオレの横を通り過ぎた。
あれから間城とは一切、口を利いていない。同じ教室にいてもお互いに無視して過ごしている。
「あ、シロくん、おはようございます」
「熱川さん、おはよう」
熱川は間城と元気よく、あいさつを交わしている。
詳しくは知らないが、あのあと間城は熱川に謝ったらしい。この様子からすると、熱川と間城の仲も回復したみたいだ。
結局、SCは活動を再開して熱川も元に戻った、という噂を耳にした。それどころか、前よりもいっそう激しく熱川は間城に惚れ直したという話まで聞いた。
今のオレにはどうでもいいことである。
教室に入ると、星野のとなりの席が空いていた。
昨日の放課後から、黒井の姿は見ていない。念のため、担任教師に訊いてみたところ、予想通り、黒井なんていう生徒は知らない、と言われた。
星野やまわりのクラスメイトにも訊いてみたが、黒井のことを覚えてる人はいなかった。
まるで最初から黒井なんていう男子生徒は存在していなかったように、みんな黒井のことを忘れている。
昨日の放課後にあったことを思い返す。思えば、それは最後に黒井と話した会話だった。
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