第1話
CQCQ。こちらミヤビちゃん。
薄暗い私の部屋からお送りいたします。
女子力を高めようと天井の蛍光灯をLEDに付け替えたら、想像以上に明るすぎて夜などは目がやられてしまいそうなぐらいでして。
明るさを75%ぐらいにしてくれるとバッチリな感じでしたが、器具の機能的に「100・50・0%」の切り替えしか出来ず、結局50%のやや薄暗い感が否めない状態のまま生活を送っております。考えてみたらLEDと女子力にどういう関係があるのかさっぱりわからない。皆さんもお気を付けください。
どうでもいいけど一人称が名前の女って、馬鹿っぽい超ギャルorゆるふわを装った腹黒、のどっちかだよね。現実に出会うことはほぼないけど、出くわすと実害が大きい。具体的に言うと何だかこっちが恥ずかしくなる。
もちろんそれも個性だからね、いいんだけどね。
他人の個性を認めるどころか羞恥を感じてしまうあたり、自分の器の小ささを思い知らされる。
念のため申し上げておきますと、私が自らミヤビちゃんなどと名乗るのは文章の世界においてだけです。リアルで「えっと、ミヤビちゃんは~」などと言う輩がいてムカついたとしてもそれは決して私ではありませんのでご注意を。
もし私ならば「み~たん、って呼んでくださーい」と言っているはずである。
同類じゃねえか。死んでしまえ。
ところで名前といえば、小説なんぞを書くときの登場人物の名付けが結構困る性格の私。
基本的には別に何でもいいのではあるが、うんうん唸ってしまうのはやはり頭の中のキャラにぴったりな名前を与えてあげたい、という親心からであろう。
名は体を表す、という有り難いお言葉は確かにその通りだったりするし、名前の漢字のイメージで性格に先入観を持ってしまうことは珍しくない。
たとえば「院」という字を苗字に持ってくると、割とお金持ち・高貴な御方、というイメージが付きやすい。伊集院とか平等院とか天上院とか。~ヶ丘、~堂、というのも上流家庭っぽい。ちょっと手垢が付きすぎてる感もあるが、それだけの印象を読者に植える力があるのだ。
女性キャラなら花の名前を付けるとそれらしくなる。桃園とか桜井とかが定番で、名前なら椿とか楓とかスミレとか色々。要するに柔らかいイメージの字を入れることにより女性らしさが出るのだ。「春」とか「風」とか「穂」とか「香」とか。もちろん柔らかければ良いというわけでもないので難しい。いくら柔らかいからと言って「桜井餅美」などという名前は付けてはいけないのである。あだ名はサクラモチ。うーん、和菓子屋の娘のギャグキャラならワンチャンある?
ともあれ、草薙龍牙という字面からおデブキャラを想像する人は少ないし、早坂恋という名前を見たら何となく青春ぽさを感じてしまう。有効に使えば名前だけでキャラの性格を物語ることも可能なのだ。
逆にちっともイメージを呼び起こさない名前もあって、鈴木や田中、太郎といった汎用性の高いものがその代表である。
決してディスっているわけではなく(全国の皆さんに必死の弁解)、まったくのフラットな状態でキャラクターを読者に提示したい場合にとても有効な苗字なのだ。
主人公が山田一郎ではどうにもパンチが弱いが、サブキャラとなれば話が違う。
どうでもいいモブキャラの名前が
「お、おいヤバいぞ、何なんだよあの怪物どもは!? 学校はどうなっちまったんだよ!?」
「俺が知るかよ! くそ、どこへ逃げたらいいんだっ」
「あれ? おーいお前ら、何やってんだー?」
「鴻ノ池澤……? あいつ気付いてねえっ! おい逃げろ、後ろだっ、早く逃げろぉ!」
「何だよ良く聞こえねーよ、しょうがねえ……うっぎゃあああっ!?」
「鴻ノ池澤ぁぁぁー!」
こうして鴻ノ池澤くんは後ろから怪物に襲われてしまったのだった。
……いやめっちゃ読みにくいじゃん。鴻ノ池澤っていう字にばかり興味が行っちゃって他の文章が入って来ない。印象強すぎるせいで、後で実は生きてましたとか言われても、あーやっぱりね、みたいに思っちゃうじゃん。こういうときにフラットな名前が必要なのだ。
とまあ偉そうに語っておいて何ですが、さっき言ったようにネーミングはとても苦手なのです。
五十音表や辞書を片手にサイコロ振って運を天に任せたりするのはしょっちゅうで、ああ、これではちっとも考えていないじゃないか私、とげんなりしたりする。
もっと賢いやり方は天ではなく他人に任せてみることで、片っ端から友人にメールやラインで「何か男の名前考えてよー」とヘルプすればいい。絨毯爆撃すれば、いくつかは使えそうなものが返ってくること請け合いだ。
サンプルとしてかつて私が友人Yより受け取った名前を挙げる。
「オー! 肛門ゲッティ伯爵」
愛称はコゲッちゃんであるらしい。死んでしまえ。
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