第2話
皆さんがどちらにお住まいかわかりませんが、私は関西の片田舎で生き長らえてきました。
しかし土地柄、関西弁より標準語メインで生活してきたため、たまにバリバリの関西弁で話している人を見ると、「わー本物だー」と微妙に有名なゆるキャラでも発見したかのような気分になります。
さて、先日大阪に行ってきたときのこと。
最寄りの都会が大阪なのでちょくちょく出かける機会があるのだが、大阪の最も衝撃的なところは道行くほぼ全員が関西弁を話すということだ。
そんなん当たり前やろアホちゃうか、と思われるかもしれないが、ゆるキャラがそこら中を歩いている街があったら誰でもびっくりするであろう。それとまったく同じだ(違う)。
もちろん見た目では大阪の人なのか私のような余所者なのかは判断できない。例外は虎の顔やらヒョウ柄やらがプリントされた服を装備中のオバちゃんぐらいだがそれはともかく、「うっかり誰かに話しかけられた際に関西弁が来るかも」という身構えを常にしながら歩かなくてはならない修羅の街。それが大阪なのだ。
お店の店員さんなどは標準語っぽい会話をしてくれることが多いため気負わずに済むが、もし休憩時間に裏で「さっきの人、ホンマ笑うわ~(笑)」などと、中途半端に関西弁アクセントが滲む私の言葉使いを笑われたらどうしよう……という被害妄想により私の精神力は削れていく一方なので油断はできない。
誤解しないでいただきたいが大阪は好きである。お好み焼きは<ゆかり>派、たこ焼きは<わなか>派であると(ぼんやり)言えるぐらいにはあちこちで食べ歩いたし、初めて串カツの<だるま>に行き紅しょうがの串を食べたときの衝撃は今でも思い出せる。挙げた店が何故かひらがなの店名ばっかりだが、その辺りも何だか大阪っぽい感じがするではないか。
ただ、昼はともかく晩ご飯を食べていると周囲から威勢のいい関西弁(婉曲的表現)がひっきりなしに飛んでくるのが少々ビクビクなんすよ、というだけの話だ。某カズレーザー氏が言うところのWifiみたいなものである。ここ関西弁飛んでんな!
関西弁に加えてもう一つ私を追い詰めてくるのは、何と言っても梅田駅だ。
訪れたことのない人にはさっぱりわからないと思うが、散っている複数の駅とそれに伴う地下街が恐ろしく広大かつ複雑怪奇なのだ。そもそもJRでの名前は大阪駅だが他は梅田ばかり(阪神梅田、阪急梅田、御堂筋線の梅田、谷町線の東梅田、四つ橋線の西梅田)という時点で利用者に精神攻撃を仕掛けているとしか思えない。
地図を見ようが、道の曲がり角(というか交差点)が奇妙な角度をしているせいで、どこをどう曲がったかが覚えにくすぎ、自分の現在位置が予想とどんどんズレていくのである。脳内マップが役に立たないので、そのうち脳が「もうダメっす」と匙を投げる。日本有数の地下街に立っていながら、まるでジャングルで遭難したかのような絶望感を味わえるのだ。アマゾン川流域を探索したくて仕方がない欲求をお持ちの方は、まず梅田で肩慣らししてみるとよい。
私など難波の駅ですら迷うことが出来る才能を持っているため、梅田に行かねばならないときの気分はさながら《秘密の部屋》で謎のトンネルへと入っていくハリー・ポッターである。
「行こう、ロン。怖いけど、僕らであの子を助けなきゃ」
「ああ。ハリー、君がいてくれてホンマ心強いわ」
「うん……えっ?」
「ほな行こか。ロックハートのアホは役に立てへんし。しっかしこのトンネル、ほとんど洞窟ちゃうか。訳わからんなるわ」
「いやちょっと、どうしたんだよロン? ま……まさか君はッ!?」
「どないしたんハリー。えらい顔色悪なってんで自分?」
「なっている! すでに! 関西弁にッッッ!」
結局いつの間にかまた関西弁問題が前面に出たうえに展開がジョジョになってしまったが、とにかく梅田駅は恐るべき魔窟なのだ。おまけにキタのターミナル駅だから観光客も利用しなくてはならないことが多い(大阪はキタとミナミという2エリアに大別できる)。
道行く人に聞ければよいが私のように関西弁恐怖症の場合などはそうもいかず、その恐怖と歩き疲れにより足が生まれたての子鹿よろしくプルプル震えることだろう。ああ、きっとこの瞬間にも誰かが迷っている! 祈ることしか出来ない私を許していただきたい。
え? 北新地駅も徒歩圏内? やめろ、頼むから複雑な要素をこれ以上出して来ないでくれぇ!
しかしそんな我々をあざ笑うかのように、最近、JR北梅田駅(仮)が新たに建設予定となったのである。ヴォルデモート卿の罠としか思えない。助けてハリー。
関西弁をさっぱり解さない私であるが、それにしても「関西」弁とはどこからどこまでをカバーしている言葉なのだろうか。
大阪弁と京都弁はもちろん違うし、神戸あたりはまた異なる独自の言い回しを持っていることが実際聞くとわかる。滋賀や奈良はちょっとわからないが、何か違いがあるかもしれない。
ネットでググれば一発のこの時代だから調べてみればいいのだが、この文章を書いただけで私は相当の疲労感を覚えてしまったのでここらが限界。興味のある方はぜひとも私ではなくグーグル先生から正確な情報を入手していただきたい。
続きはWebで!
ってこれもウェブだった。ホンマかなんわぁ。それよりガッコ休みの日ぃにUSJでハリポタ行けへん?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます