いきなり増殖ですか? いいえお約束ですよ 4

「ねぇ、告白かな? 一目惚れかな? モテキ到来かな?」

 おい、そんなんやったら告白を棒にされるとは思わないのか!

 今までこういった告白のフラグさえたてたことがない僕にとって、このなんともいえない布団を連打したいような恥ずかしさは致命的。なんにもしていないのに一瞬くらっとした。

 ポツン、ポツンといた席に座るみなさまがたの視線も、こちらに一斉に注がれている。

 ........最悪だ。........これが負の連鎖大爆発か。

 「........とりあえず、ここじゃあれなんで修道院の外でいいですか?」

 そうだ、とにかく一回この子を連れ出す。そこからだ。

 「もちろん! 告白ばれるの恥ずかしいもんね!」

 お前のせいで、それ以上に恥ずかしくなっていることになぜ気が付かない!

 小春がやっと、不審者顔負けの口笛を止めて、チラチラとこちらを気にしてくる。

 ........それで目が合ってしまう。

 「どっどうしたでござるか?」

 いや、なんも聞いてなよ。こっちがどうしただよ!

 「たったったいせつな話って分かんないでありんす。全く検討もつかないでやんす」

 テンパり過ぎだろ! なんで右手で両目隠してんだ! テレビとかによくある某名者の黒伏せんみたいになってんぞ!

 「いいぞ! よっ、兄ちゃん男だねぇ」

 この状況に心打たれたのか、なぜかハチマキをした漁師のような男が席を立ち、こちらを煽る。

 すると、この修道院の方々はノリがいいのか、

 「いけいけ、兄ちゃん! かましたれ!」

 「お兄さん、当たって砕けろ!」

 「シスターの処女、奪え!」

 「シスター卒業させちまえ!」

 何人か立ち上がりこっちに残念なエールを送る........送る。....................................


 

 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。いっぺん死ね!



 耐えきれなくなった僕は、名前も知らないシスター少女の手を少し強引に取り、修道院を出る。

 「そんな大胆なぁ~~~」

 シスター少女はええわぁ~って顔をして、僕に手を引っ張られているのに抵抗は皆無。

利口で忠誠心の強い犬のようにすんなりとついてくる。

 小走りの僕に、小走りの彼女。

 どこでもいい。人目につかない場所で、この女はなぜ僕の正体を知っているのか事情聴取したい。

 でも............聞いたとして現状が解決するのか? 

 ........しなかったとして、この子を情報漏れ阻止のため殺すのか?

 いや、この子は小春の友達だ。彼女にはたくさんの恩をもらった。大切の大切をを殺すのには抵抗がある。この子は殺さない。

 でも、それならばどうすればいい?

 脅すか? ダメだ。脅しはいつか紐解かれて、その事実と悪魔だったことがばれる。........この町にいれなくなってしまう。それは嫌だ。

 ここには小春がいる。なんでか、彼女ともうちょっといたい........。

 修道院を出て、右に行ったり、左に行ったり、やっとのことで静かな路地裏へとたどり着く。ここならば人が来ないだろう。

 ほんとに告白される! そう思ったのだろうか? ここに来ていきなり彼女がソワソワし始める。

 面倒くさい。最初に告白ではないことを伝えるか。

 暗く殺風景な路地裏をキョロキョロと見渡しながら、シスター少女は僕と目を合わせようとしない。

 さっきまで羞恥心皆無女でいたくせに............。

 「あの告白........」

 

 「ごめんなさい!」


 僕の声は彼女の言葉で吹き消される。

 えっ? どうしたの、この子。

 「私、あなたと付き合えません! たまに下ネタ連呼するけど、腐れシスターであるからして、こんな路地裏で処女を失うわけにはノーノー」

 もしかして、今の『あの告白........』から告げられると予測し、自ら迎え撃ったというのか! 

 とにかくツッコミどころ満載だ。路地裏で処女を奪うとか、どんだけワイルドな強姦魔だよ! 

 本能的な気遣いからだろうか? 顔が愛想笑いのK 点越えの僕。

 「待て待て待て!」

 「なにを待つの! ダメよ、ダメダメ!」

 「とりあえず、落ち着け!」

 「そうやって、落ち着いたところを捕って食べる気なんでしょ!」

 彼女はピーカブースタイルをとり、頭を上下に振りながらステップを取り出す。

 途中途中にジャブをシャドーしてくるのがみそで、非常に頭に来る。

 ........傷つけない言葉を考えていたがもういいだろう?

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