第3話 夢

気がつくと、目の前は火の海だった。所々に、死体が転がっている。

・・・いや、これは人間だったのだろうか。原型をとどめていない。

「助けて・・・クダサ・・・イ・・・」

皮膚は焼け落ち、目もこぼしそうでありながら、最期の一声を発した男はもう動かない。・・・ここはどこだ?俺は・・・死ぬのか?

いや、違うだろう。いきなりこんなところに出されて死ぬなんてあり得ない。少なくとも、何かしらできることがある。力強く前を向いた。遠くの景色が見えた。小さな影がひとつ、飛行機のようにまっすぐ進んでいる。ついに助け船が来たのか!両手を天に伸ばし、影を見つめる。しかし、それは助けなどではなかった。さらに小さな点が影から落ちる。すると、そこに炎が上がった。少し遅れて、轟音が体を震わせる。

・・・爆弾!?これはマズイ、と後ろを向けば、先ほどのような影がいくつも視界にはいった。絶望である。今度こそ逃げ場はない。諦めのような暗雲が広がった。そうして立ち尽くしていると、あの影が自分の真上に来てしまった。生き残りの排除、かな。黒い塊が、俺にまっすぐ向かってくる。ああ、俺もいよいよおしまいか。ありがとう、みんな。さようなら、地球。その時、自分の前に女性が走ってきた。謎の言葉を口にし、漆黒の凶弾に手をかざすと、それが一瞬にして消え去った。

「無事だね、よかった」

とだけ言い残し、何処かへ走り去る。

遠くから声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。そちらへ体を向け、目を閉じ、見開いてみれば、俺は正気を取り戻した。

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