第2話 夜
「じゃ、テキトーにやっといてくれや。頼んだぞ」
・・・だりぃんだよ、まじで。
でも仕方ないので今回だけちゃんとやって帰ったら盛大に愚痴ろうと思った。
集合場所には、子供がある程度集まっていた。そこに、明らかに小学生ではない身長の女性が一人。あ、こっち側の人間か。遅れていたようなので小走りで近づくと、
「あ、翔太君、遅いよー!早くぅー!」
完全に待たせてた。なぜ名前で呼べるのだろう、なんて疑問は、何故かすぐに吹き飛んだ。焦りにも似たなにかがあった。
「遅れてすみません、今日は、よろしくお願いします」
子供たちは、楽しみの現れか静まらない。なんとなく気になったので、その女性を見てみた。・・・かわいいな。っていやいやいや!そうじゃないだろ、うん。年代はほぼ同じかな、服装もいかにもな、動きやすそうなものだ。声の調子も元気でいてきれいだ。名前を伺うと、素直に答えてくれたが、かなり珍しい。美しい王とかいて、
「では、これより町内会の企画、キャンプ大会を開催いたします。
みんな、仲良く楽しんでくださいね」
テンプレ挨拶でも、どこか普通とは違うイメージを受けた。
特に事件はなかった。しかし、からだがもう動かない。意外にも、重労働が続いたのだ。特にテントの設営は、何故一人でやったのかと言うくらい大変だった。部品一つ一つが重いし、小動物に幾度となく邪魔された。人間は一人ではあまりにちっぽけなのだ。間違いなく、一人でやる仕事じゃない。早くも愚痴ネタができた。
「ゴメンね、力仕事ばかり任せちゃって。疲れたでしょう?」
その労いの言葉が救いだった。
「いや、俺男だし、このくらい余裕だよ」
男は見栄張るものだ、なんて親父が言ってたが、どうやら本当らしい。
「じゃ、明日も早いし、お休みなさい」
軽く挨拶を交わすと、俺はすぐに眠りについた。
キャンプファイアがすぐ消えてくれたお陰で、光に眠りを妨げられることもなかった。ガキの悪戯にも、少しだけ感謝できた。
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