夢の中へ走れ
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第一章 夢
第1話 夏
洸太は今日を楽しみにしていたが、俺には面倒事でしかなかった。
時は一週間ほどさかのぼり、ある暑い日。
「おい、翔太。お前、今度の日曜空いてるか」
「空いてねーよ。」と嘘をつくがばれる。仕方なく話だけ聞いた。
親父は相当な自由人で、末っ子の洸太のためのイベント…キャンプを企画したらしい。洸太は友達が少ないので、交流のためにも洸太と同年代の子供に声をかけて回っていた。しかし、近所の小学生たちを集めようとしても強面の親父の力だけではどうにもならず、結局いつも一緒に呑んだくれている仲間たちにたのんで人を揃えた。
他の子供たちは乗り気でないだろう。大人たちもそれを察していた。だからそんな子供たちをまとめるのは面倒で難しくなりそうということで、大人たちは大人たちで宴会の予定をたてた。結局子より酒かよ。
「そこでだ、お前、洸太たち引率しろ」
「・・・はぁ?嫌だよ」
つーかなんでそーなるんだよ。しかし親父はこの程度では退かない。
「そこをなんとか頼むよ、500円あげるから」
「嫌だっつってんだろ、大体高3が500円で釣れるわけねぇだろ」
「なぜそんなにいやがる?」
「いや俺受験生。切羽詰まってんの。勉強したいの」
「どーせお前は東大なんかいけねぇって、諦めな。じゃ、頼んだぞ」
「え、いやおい、なぜ勝手に話を進める!めんどくせぇんだよ、おい!」
そして今、俺はキャンプ場へ向かっている。
「なぁ、どうにかなんねぇのか、親父。やりたくねぇんだよ」
「俺だってたまにぁ昼間っから飲みてぇんだよ」
「いつもだろ、この飲酒運転常習犯!」
「もうやんねーよ、そんなこと。それに、なにもお前一人に重荷をのせた訳じゃねぇ。お前の他に2人。近い年代のやつ集めたからさ」
そういう問題じゃねぇんだけどなぁ。すると親父の携帯に着信。
「もしもし?ああ、おう、そうか。わかった、また今度な。おい、翔太、一人来れなくなった。」
「聞いてたよ、残念だったな、トムさんもよぉ!」
「そう怒るなって」
もう目的地かよ、あー、いやだいやだ。
まったく、最低の3日間になりそうだ。何て思ってた。
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