そのに.情けは欲のためならず

 俺はゆにふぁーむの看板に背中を預けて『一人』で視察を待っていた。

 部活動してますアピールと実用性を兼ねて学校指定の濃紺ジャージ。左胸には長角の二文字が白地で刺繍されている。太陽が張り切りもんだからもう汗だく。

 腕まくりをしながらイライラ足踏み。乱暴にスマホを取り出してメールを開いた。

 一通目。明日葉一途より。

『悪い急用入ったから任せる。清純院会長の写真撮っとけよ』

 二通目。百合多千夏より。わずか三十秒後に届いていた。

『あのねあのね、今日らぶ先生のサイン会があるんだって。だから、ごめん!』

 らぶ先生って誰だよ。お前は自分の居場所よりサインが大事なのか!?

 しかも勝手に休んでおいて写真撮れってバカか、バカなのか!?

 ギリギリと締めつけられてスマホがきしむ。危ない危ない。本気出したら割れるわ。

 一応ふざけるなすぐ来いと返信したが以降音沙汰なし。デスヨネー。

 せっかくあいつらのためを思って事前に準備しておいてやったのに……。

 部活を立ち上げるには活動日や活動内容をまとめて提出する必要があった。

 俺が提出した活動日は水木土。どれも自然っぽいだろ? 安直っていうのは禁句な。

 内容は主に野菜や果物の栽培なんだが時期や天気の問題もあるし、公園を占拠するんだから少しは恩返ししようと、周辺の清掃もやることにしている。

 実際、俺は掃き掃除したり不届き物が捨てたゴミを集めたりしてるんだぜ。

 視察でOKもらうなら活動内容に即していなきゃダメだと、俺ぁ真面目に考えた。

 だから引っこ抜けば収穫できるニンジンをそのままにしてあるんだし、落ち葉を掃くためのほうきも二本持ってきてある。視察団が来たらそれっぽくやるだけで、それだけでいいのに。

 あんのろくでなしどもがああああああっ!!

 叫ぶかわりに体を支えていたほうきを隅にぶん投げた。もう知らん、俺は知らん。

 こうなったらいつも通りに作業するしかない。所詮幽霊は幽霊、見えないと思おう。

 時間までは教えてもらってなかった。ずっと立ちっぱなしなのもアホくさい。

 開き直ってビニールスハウスへ。黙々とニンジンを引っこ抜いてはざるに入れていく。

 ……何が悲しくて華の高校二年生がぼっちで野菜と向き合わなきゃならんのだ。

 もういっそ転部してエブリデイハッピーな学生生活を送るべきなのではないか?

 二年という先輩の立場を使えば後輩たる一年と仲良くなるチャンスもあるはず。

 甘い想像が脳内に広がっていく。

 狭苦しい部室でおどおどした後輩の女の子と二人。ツバがつく前に貰ってしまえば血に苦しむこともない。手取り足取りナニ取りアレコレ教えてあげればそこはもう――ぐへへ。

「ずいぶん楽しそうですね、長角さん」

「はひぃっ!?」

 不意に声をかけられたもんだから驚いて手の中からニンジンがすっぽ抜けた。

 ビニールハウスの入り口に聖女が、いや天使か、もしくは女神か、なんでもいい、男の憧れが形になった清楚で華やかでおしとやかで麗しい美少女が立っている!

 これは夢か幻か。はたまた妄想の続きか。否、現実だ。

 呆気に取られていると美少女はゆっくりとした動作で中に入ってくる。

 腰の辺りでふわりと揺れる黒い髪は艶やかで光沢さえあるように見えた。肌は健康的な程度に白く、美しい。きっととびきりに柔らかいはずだ。背筋がよくて胸を張ってるからすごく、その、強調されてます、はい。大きすぎないからこそ完璧に調和したスペシャルボディ。

 スカートの丈は膝よりもさらに下、昨今の乱れた性を真っ向から否定する長さ。

 そこがイイんだよなぁ。一途が写真を撮れといった意味がよーく分かった。

 化粧っけのない素顔に薄い笑み。ああ、やめてください、腑抜けてしまいますぅ。

 情けないことに俺は棒立ちになって彼女が近づくのをただ、ただひたすらに、待っていた。

「はじめまして。私は生徒会会長の清純院りりさ(せいじゅいんりりさ)です」

「あっ……俺は、いやあの、私は! 長角由仁、園芸部の部長、ですっ」

 やっべ上ずっちゃった。穴があったら入りたい。いやそういう意味じゃないよ?

 どうせなら足元の土を掘って逃げ込もうか。なんて考えていると清純院会長がくすりと笑う。

「そんなに緊張しないでください。私も同じ学生ですよ。普段通りでかまいません」

「あ、あはは、すいません」

「噂通り真面目な方なんですね」

 俺の噂といえばホモくらいしか聞いたことがないので首を傾げた。

 清純院会長は白い靴が汚れることも構わず傍にしゃがみこんで、興味ぶかそうにニンジンの葉っぱを撫でている。飾らない、えばらないその態度、グッドです!

「あなたのことは能木さんから聞いていますよ。今日のことは知っていたのでしょう?」

 先制パンチが顔面にクリーンヒットォッ!

 すでにバレてるじゃないですか。冷や汗に気づかれないように腕で拭う。

 まず俺がすべきことは能木先輩の無実を証明することだ。迷惑をかけるわけにはいかない。ありあまるほど恩があるんだから。

「すいません! 能木先輩が役員だって知っていたから、俺が無理いって――」

「ふふふ。咎める気はありませんから、安心してください。優しいというのも本当のようですね。彼があなたを気に入るのも分かる気がします」

 きっと俺は熟れたトマトよりも赤く頬を染めていただろう。

 素直に褒められることなんてないし、その相手があの生徒会長なんて信じられる?

 結果的にアホ二人がいなくてよかったかも。邪魔されることなくこの時間を楽しめる。

 俺はおずおずと清純院会長の隣にしゃがみこんだ。あ、甘くて優しい香りがする。

 ……すーはー、すーはー。た、ただ酸素が吸いたかっただけなんだからね!

 相変わらず彼女は指先で土を弄びながら話を続けた。

「視察の情報が漏れるのはいつものことなのです。知り合いを助けたいという気持ちは良いものですね。だから咎めたことはありません。禁止もしていませんが」

 言葉を切ってこちらを見る。目と目があう瞬間~……ダメ、直視できない。綺麗すぎて。

 今度は俺が土とにらめっこする番だった。ふふ、という軽やかな笑みに心が満ちる。

「ただ、そういう時は大抵保身に走るものです。応援を呼んだり、普段しないことを無理にしたり。ありのままを見せてくれる部は少なく、そうやって無理をすればするほど、申し訳ないですが存在意義を感じません」

「は、はあ。そう、そうですよね。見苦しいですもんねっ」

 ぐさぁつ。話を合わせながらも内心で滝の汗。指先に力がこもりすぎてニンジンを削いじゃったよ。あーあもったいね。

「長角さんは普段通りの活動を見せてくださってますね。いつもお一人でこの畑の手入れや掃除をされているとか。このニンジンもあなたが作ったものですか?」

「ええ、よ、よかった抜いてください。ちょうど収穫するところでしたから」

「まあ。ありがとうございます」

 清純院会長は軽やかに笑ってそっと細くて長い指を土の中に差し入れた。

 思いのほか深く刺さっていたのか引き抜くのに少しばかり力み、声が漏れる。

「ん、ぅ」

 な、なんだかエロい……。いやいやいやいや邪まなことを考えている場合じゃない!

 やはり生徒会の情報網は確かなのか、普段の活動バレバレだ。

 いい雰囲気ではあるもののこのままだと廃部に一直線な気がしてならないぞ。

 太くて硬いソレを掌で弄ぶ会長をじっくり見つめる。あ、こっち見た。にこっ。

 やっべ可愛い。美しくて可愛い。そんでもってこれじゃ俺変態だろ。

「ああああの、よければそれ、食べてください。生でイケますよ」

 なーに言ってんだ。咄嗟に出た言葉がそれかよ。相手はあの生徒会長だぞ!?

 一握りの超成績優秀者しか所属できない雲の上の存在である特別学科の三年生にして、学科問わず全てに関われる生徒会の長。男子女子問わず生徒の憧れ、清純院りりさに生ニンジンすすめる奴がいるかっ。いるよここに!

 挙動不審な俺から目を逸らし手元のニンジンを見下ろす彼女。小さな口で先っぽをぱくり。

 手が上下に動く。ニンジンの先が出たり入ったり。なんだかいかがわしい動きに見えてきた、ぽり、ごり、と少しずつかじって飲み込む。喉が動いた。

「美味しいですね。こうやって食べるのは、ん、はじめてです」

「や、野菜は生が一番ですよ。ええ、あは、あはははっ。よかったらこれ、どうぞ!」

 生徒会長を見ていると心が惑わされる。俺は持っていたニンジンをビニール袋に詰めた。

 一点の穢れもない人がやるから何でもエロく映ってしまうんだろう。

 ああ、俺の心は土塗れでなんて汚いんだ。でもいい、この時間を過ごせるなら泥でもかぶる。

 だが人生はニンジンのように甘くない。そもそもニンジンは甘くないだろって?

 そりゃお前本当のニンジンを食べたことがないんだよ。ってそうじゃない。

「受け取らせていただきますが、私を買収するつもりですか?」

「まままままっままままさかっ。園芸部の活動の証を見てもらいたいだけ、けけけですよ」

「面白い方ですね。このあとお時間はよろしいですか?」

「へ……は、はあ」

 え、なにこれ、もしかしてお誘い? デートなの? 校内デートしちゃうの?

 立ち上がった清純院会長はビニール袋を胸に抱きながら微笑みかけてきた。ずきゅーん。

 目眩を覚えながらも俺も立つ。土を払いながらちらちら見て会長の姿を網膜に焼きつけた。

 すまんな一途。これは現像できないわ。

「実はあなたに紹介したい部活があるのです」

「え?」

「詳しい話はそちらでしましょう。能木さんの推薦でもありますし、私もこうして会ってみて長角さんのことが気になりました。チャンスを与えようと思います」

「でもそれは、あのぉ、なんていうか」

 ずるくないだろうか。能木先輩の口ぞえでオッケーなんて簡単すぎない?

 だいたい気になりましたってこれもう告白だよね。絶対そうだね。OKです、喜んであなたに身と心を捧げます、捧げさせてください。とは言えないので口ごもった。

 きっと一途と多千夏は喜んで飛びついただろうなぁ。あとで怒られそうだ。

「もちろん、無条件で、とは言えません。それにえこひいきというわけでもありませんよ。これまでも将来が望めそうな部活には、チャンスを与えてきました。長角さんの園芸部にはその価値があると思ったまでです。さあどうぞ、制服に着替えてきてください」

 清純院会長がビニールハウスの入り口を開いて待ってくれている。惚れちまうよ。

 足早に外に出た俺はそのまま建物の陰に逃げ込む。雑に脱ぎ捨てた制服を拾い上げた。

 そしてガッツポーズ。なんだか分からないが存続のチャンスがあるらしい。

 さらに、会長からもなんかこう好意的なものを感じる。ついに俺の青春がキター!?

 待たせるわけにはいかないので大慌てで着替えて飛び出した。さあてどうなるのかな。


☆ ☆ ☆


 清純院会長に連れられて入ったのは実習棟の近くにある三階建ての棟だった。

 普通科の生徒はこっちに来る用事がほとんどない。実習棟は家庭科や科学科なんかの専科の教室を兼ねている。どうやらこの棟は部活に使う棟らしいが。

 部屋に掲げられているプレートには科学実験部だとか書かれているし。

 まだ明るいのに窓からは光が入らず、全体的に薄暗くて地味だ。

 リノリウムの床を蹴り上げる音があっちこっちに転がっていく。落ち着かないので喋ろう。

「いつもお一人で視察されているんですか」

「普段は生徒会のメンバー数名で行います。今日は、特別です」

「やっぱり能木先輩の口ぞえ?」

「ふふ、どうでしょう。さあ着きましたよ」

 意味深にはぐらかされて俺の期待度がアップ。これはワンチャンあるんじゃねーの。

 立ち止まったのは『家庭部』のプレートがある部屋だった。

 当然、身に覚えはないし関係もないはず。会長を見ると入る前に教えてくれた。

「この部活も園芸部と似た境遇にあります。部員は事実上部長が一人。新入部員を勧誘することもありません。公園にしても、この部室にしても、利用を望む方は他にもいらっしゃいます。公園のほうは、何名かから苦情も来ていますよ」

 リア充たちはイチャつく場所奪われてご立腹だろうね。ケッ。

 さすがにこの時ばかりは清純院会長も苦笑いだ。申し訳なくて頭を掻く。

「このままいけば両部とも廃部になりますが、力を合わせれば変われるかもしれません」

 そういうもんかねえと考えている間に清純院会長が自然にドアを開けた。

 え? カギかかってないの? と思ったら左手に鍵束がある。

「抜き打ちでするには必要でしょう」

 マスターキーってことね。微笑がちょっとだけ悪魔に見えた。

 会長権限で部屋の奥に入り静かにドアを開ける。俺はそれに続き――目を丸くした。

「はじめまして。生徒会会長の清純院りりさです。部の視察に……どうかされました?」

「「「あっ」」」

 真っ先に分かったのは、女の子の対面に座っているのが一途だってことだ。

 おいおいサボって女の子と二人なんていい度胸じゃねえか。というかお前のビッチ病はどうしたんだよ。で、視線を問題の女の子に向けると、この前チャラ男から助けたチャラ子だった。

 三者三様に驚いたまま固まっている。事情を知らない清純院会長だけが口を利けた。

「お知り合いでしたか?」

 俺と一途の間で飛び散る火花。なんでお前がキレてんだよと言いたいね、こっちは。

 手前の女の子はさりげなく俺の顔を窺いながらも体は清純院会長のほうに向けている。

「知っていらっしゃったらすいません。こちらは家庭部の部長、三稜草真純(みくりますみ)さん。こちらが園芸部の部長、長角由仁さん」

「ど、どうも」

「……」

 せっかく会長が紹介してくれたので頷いてみせたが、三稜草さんとやらはそっぽ向いた。

 一途と一緒にいるだけはあるな。ふん、こっちだってギャルなんて願い下げだい。

 気まずい空気が渦巻く中でも生徒会長は堂々とした振る舞いで話を続けた。

 それどころじゃないけど、耳だけは立てておこう。

「お二人を会わせたのは提案があるからです。部室や公園など敷地は限られています。そこで、よければ一つの部に統合しませんか?」

「はっ?」「えっ?」

 部長の声が重なりあった。いきなりそんなこと言われても、ちょっと。

 反応は予測済みだったらしく生徒会長は優しく頷いた。

「今すぐにとは言いません。二つの部が協力しあって……あるいは単独でも、十分な存在意義を証明していただければ両方とも存続することができるでしょう。ただ、二つを一つにしていただけるなら、話は早くなります。あくまで、手段のひとつですよ」

 確かに相手は部長ひとりの部活だし、こっちだって実質俺ひとりみたいなもんだ。

 統合したって一人足りないくらいだけどそれで許されるならありっちゃありかも。でもさーどうみてもビッチ系ですよ、彼女。今だってさ胸元バーンって開いていて半分くらい見えちゃってますし。スカートから伸びる生足が麗しいですしー。触れたら絶対アウトでしょ。

 相手も好ましくないのかビミョーな顔しているよ。一途は会長に見惚れてるわ、これ。

 統合しないまでも協力するくらいならできるかなぁ。幽霊部員は頼りないしありか?

 ぐるぐる悩んでいる間に清純院会長が話を切り上げた。

「私はできるだけの提案をしました。あとはそちらでお話し合いください。素直に廃部を受け入れるのも、統合して続けるのも、何かを成し遂げるのも、選ぶのはあなたたちです。では」

 ふわっと長い髪を泳がせながら彼女が通り過ぎる。刹那、耳元で呟かれた。

「私、長角さんに興味があります。是非、頑張ってください。ニンジン、ありがとう」

「どう、いたしましてぇ」

 甘い吐息に意識がぶっとびそうだ。こんなに高揚したのはいつぶりだろうか。

 去りゆく会長の背中を見送った。ドアがぱたんと閉まった瞬間、振り返ってモードチェンジ。

「サボってなにやってんだよ、一途」

「まあ落ち着いて座れ、由仁」

「てめえが言うな!」

 素早く接近して机をバシッと叩いてやった。キツく言わなきゃわからんようだこいつ。

 手前に座っていた三稜草さんは神業のような速さで身を引いて壁際に逃げた。

 どんだけ俺に近づかれたくないんだよ。俺だって触りたくないわ!

 急に一途の顔色がよくない方向に変わった。言うなれば爆発寸前の火山。

「ここじゃなんだな。行こう。またな、真純」

「うん、ありがと」

 目を交し合う二人。あれ良い感じ? 

 だとしたらお兄さんはもう許しませんよ。サボった挙句イチャイチャだと。

 心底裏切られた気分だ。先に歩くいかり肩の一途を睨みつけてやる。

 結局、三稜草さんとはろくに言葉も交わしてないが、それは後回しだ後回し。

 決して『あの時は助けてくださってありがとうございます! ステキ抱いて!』って飛びつかれるんじゃないかなって警戒アンド期待してたわけじゃないから。


☆ ☆ ☆


 どこに連れていかれるかと思ったら俺の部屋ね。はいはい知ってましたよ。

 というかさ、部屋の主より先にカギ開けて入るってどうなの?

 贅沢にも全室オートロックで暗証番号入力型のカギなんだぞ。

 絶対盗み見て覚えているよな。変えてやりたいが申請出すのもめんどい。

 黙って人の部屋に上がりこんだ一途と改めて対面した。

 二人を隔てるのは小さなテーブルと巨大な心の壁。さあ、どうしようか。

 異様にムスっとしているが俺が何したっていうんだ。お前はサボったくせに。

 そうだ、俺に否はない。一途が悪い。せいぜい文句を言ってやる。

「しっかし意外だよな。あの処女厨の一途くんが、あーんなビッチっぽい――」

「真純のことをそんな風に言うんじゃねえよ!」

 小さなテーブルの片側が跳ね上がった。思いっきり叩きすぎなんだよ。

 予想外の反応と迫力に背中を後ろに引く。一途のこんな顔を見るのは久しぶりだ。

 ある日、彼が愛してやまない二次元の女の子が作者により『非処女』宣言されたことがある。ネットでもファンが相当に荒れたらしいが、こいつのキレようは尋常じゃなかった。

 誰かを殺しかねない勢いだったのを体張って押さえ込んだが、やばかったねありゃ。

 一途がああまでキレんのは二次元だけだと思ってけど、どういうこっちゃ。

 何を理由に怒ってるのか分からない。分かりたくもない。理不尽さに余計腹が立つ。

 しかもこいつ、人の部屋のお茶を勝手に飲んで落ち着いている。クソが!

 ここでキレたらこいつと同じ位置まで落ちるから俺は冷静になろうと努力した。

「そもそもあの子はお前のナンだ」

「中学からの友達だ。いけないか?」

「んじゃその大切なお友達と部活の運命を決める日にサボってなにやってたんですかねぇ」

 一々つっかかるので俺もつき返す。まだまだ子供だね、俺も。

 結果的にサボってくれたほうが良かったんだがそれとこれとは別。

 前もって伝えたし、メールもしたのにバックれるほうが悪い。よほどちゃんとした理由がなきゃ認めてやらん。好き勝手振り回されるのはうんざりだ。

 一途は残りのお茶も飲み干してからぼそぼそと話し出す。

「お前、この前真純を助けたんだってな」

「ああ。電話で言っただろ。女の子を助けてたって。あれだよ。それがどうした」

 思えばすごい偶然だな。たまたま通りがかりに助けた子が友達の友達で、部長同士として引き合わされるなんて。運命というやつか、単に行動範囲が狭いのか。……後者だな。

「真純はそん時お礼を言えなかったことを後悔していて、俺に『白髪の生徒知らない?』って訊いてきたんだ。いくらすげえ生徒がいたって白髪のアホなんてお前だけだろ。すぐピンときて詳しく話を聞いてたんだよ」

「アホっていうな。好きでこうなったんじゃない」

 そうだ。紅い目だって白髪だって、草食べちゃうのも股間が角になるのも血のせいだ。

 俺の苦労なんて知りもしないくせに。お前のほうがアホだろ、バーカバーカ。

 口に出さないだけ勝った気分になって話を進めた。えらいっ。

「じゃあなんでさっき言わなかったんだ。むしろ避けてただろ」

「……それには理由があんだよ。なんていうか、男が苦手っつーか」

「ふんっ、どうみてもビッ――」

 ひゅっと鼻先を拳がかすめる。テーブルから身を乗り出してまで殴るかね、フツー。

 やれやれ手の早いことだ。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

 間一髪避けたところでマジギレしている一途の顔を見た。次は、やばそうだ。

 こいつが二次元以外にも興味があったことの驚きも隠せない。

「とにかく、こうなったらしかたねえ。真純に会って話を聞いてくれ。あいつに触れたり、傷つけたりしたら、ぶっ飛ばすから、覚悟しとけよ。伊達に鍛えてねえからな」

 わざわざ二の腕を出して力瘤自慢しなくていいわ。お前がどれだけ鍛えていても俺は平気だもんねー、ふーんだ。

 それに注意されるまでもなく誰があんな見え見えの非処女に触るか。

「よくいうよ。お前はいっつも女の子にビッチビッチって暴言吐くくせに。傷つけるな、だ? 鏡見てから言え」

「うるせーな。何も知らないくせに言うんじゃねえ」

「あーはいはい、そーですよ何も知りませんよー。教えてくれなきゃ分かるわけないすよねー。はっ、どうせ部活のことを話そうと思ってるから会ってきてやるよ。どっかの幽霊部員と違って、彼女のほうがまだ話が通じるだろうしな。同じ苦労を知る部長として」

 こうなりゃ俺も自棄だ。利用できるもんはなんでも利用して俺のパラダイスを守ってやる。

 最悪部活が廃部になっても敷地だけ残してもらえるよう、会長に頼み込んでもいい。

 統合するならするで部活とアホ部員二人をあげるから菜園だけ譲ってもらおう。

 会長が気を利かせてくれたんだし、使わない手もない。会えば彼女もクソ一途も満足するなら万々歳じゃん。

「お前、言ってたよな。部活のことは部長が考えればいいって。どうなってもうらむなよ」

「好きにしろ。でも」

「彼女は傷つけるな、だろ。お前じゃあるまいし、俺はんなことしねーよ。もう帰れ」

 しっしっと手を振る。一途は不満げだったが黙って立ち上がってそのまま出て行った。

 はーあ、なんでこうなっちまったんだが。ただ、楽しい青春を送りたいだけなのに。

 憧れの部活はこのザマ。桃色イベントは全部股間が台無しにしちまう。

 やっと出来た友達は……アホで身勝手でバカだし。

 おっと噂をすればだ。そっと忍び込んできた猫の気配がする。

「よお。サインはもらえたか」

「うっ、うん。ごめんね、今日しかなくて、さ」

「別に。どうせ来ないと思ってたから。いつものことだろ」

 大人気ないとは思う。あいつの態度が癪でイライラしてんだよ、俺だってさ。

 肩越しに振り返ると申し訳なさそうに俯いている多千夏がいた。手にはぱんぱんのビニール袋。なんだそりゃ。と目で訴える。

「これ、その、お土産。よかったら、食べて」

「ふーん」

「さっき一途くんとすれ違ったけど何かあった? すごく怖い顔してた。もしかして」

「そういうのいいから。今は聞きたくない」

「……そうだよね、ごめん」

「そうそう、廃部になるかもしれないから、後のこと考えておけよ」

「うん、分かった。それじゃあ、私、帰るね」

 苦し紛れにてへへと笑みを浮かべてみせて、ビニール袋を置いて出て行った。

 いつもみたく妄想を垂れ流すんだろと思ってキツく言ったが、本当にそうなのか?

 あいつはところ構わず妄想を口に出しちゃう痛い子だけど、俺らの前だから激しいだけだ。他の奴らといるときはだいぶ控えめ。

 そう思えば、じゃれついていただけなのかな……ちょっと、言い過ぎたかも。

 いいやいいんだたまには厳しくするのも飼い主の役目だぞ、と小悪魔。

 ライオンは子を崖から突き落とすといいますから、大丈夫、と小天使。

 だから言ってることほとんど同じじゃねーか、俺の中の二面性。

 まあでも、あいつらを相手にここまでやってこれたんだ、他でもやれるんじゃないか?

 野菜にしたって能木先輩に融通してもらえればいつだってイイもんが喰える。

 手塩にかけて育てたいならプランターでも持ちこめばいいじゃん。ほら居場所いらない。

 なんていくわけねーよ。建前だってこと、自分が一番知ってんだから。

「あああもうくそっ、イライラする!」

 壁ドーン。震動が起きるくらいの衝撃だったが気にするもんか。

 最新技術を駆使して作られた寮だからこの程度なんてことないはず。

 どうにかこの気持ちを解消しようと多千夏が置いていった袋に指を引っかける。

 寄せるはずか失敗して中身が転がり出した。これはトマトにジャガイモにナス?

 なんでサイン会にいったお土産が野菜なんだよ。どういう理屈だ。

 BLグッズとか貰っても嬉しくねーけどさ。とりあえず、トマトにがぶり。

 溢れ出す汁は酸味でいっぱい。俺は果物みたく甘いよりも、こういう野菜の味をしているトマトが大好きだ。結構ウマイぞこれ、どこで買って来たんだ。

 あっという間に完食してもう一個。なんだよ見る目あんじゃん、あいつ。

 見分けられるくらいなら部活に参加してくれたっていいのに。ぐすん。

 一人で野菜を食べているうちに心が落ち着いてきた。単純だなぁ俺。


☆ ☆ ☆


 翌日、さっそく俺は記憶を頼りに家庭部の部屋まで辿り着いた。

 不慣れな場所だから迷ったのは言うまでもない。あーあっついあっつい。

「すいませーん。園芸部の長角ですけどー」

 こんこん、とノックをしながら声を張り上げる。反応なし。

 ならばと、ここんこんここん、ここんこんここん。

 未来からロボットが差し向けられそうなリズムで叩いてみる。

「いませんかー」

 耳を澄ませてみるとかすかに物音がするような、しないような。

 まあ約束もせずに来てるから不在でもおかしくはない。無駄足だったか。

 こういうことは早く済ませるにこしたことはないんだがねぇ。

 しょうがない、とドアに背を向けた瞬間にがちゃり。

「……どうぞ」

「あ、どうも」

 顔を見るなり素早く引っ込んだ。本当にお礼を言いたいのか?

 もう少し歓迎ムードだと思ったんだがそんなことはないらしい。

 改めて見回すとこじんまりとしてずいぶん綺麗に片付いていた。縦長のショーケースには愛らしいテディベアやら刺繍の入ったハンカチやら、作品と思しき物が並んでいる。

 すすめられたワケでもないが自然と三稜草さんの反対側の席に腰をおろした。

 彼女といえば、イスの上に体育座り。短いスカートが危険な領域に突入している。

 両腕に押し潰されて胸が歪むのも危うい。そわそわして座りが悪いぞ。

 けど男の子だもん、ついつい見てしまうんだが、特に気にしていないのか何も言われない。

 やはり、ビッチか。

 二人とも黙ってるもんだからどんどん空気が重くなる。お礼はよ、お礼。

 交差した腕に顎を乗せてる三稜草さんは上目遣いで俺を観察している。ちょっと可愛い。

 いや顔立ちはかなり可愛いぞこれ。思い返してみればマジマジ見てなかったや。

 派手な見た目と違って化粧が抑え目なのがイイよね。まあその長いネイルはどうかと思うけどさ。あれも自分でやってんのかな。

 などと思ってもラチが明かないから俺から話し出す。

「あー、その、改めてはじめまして。園芸部の部長、長角由仁、です」

「……はじめてじゃないけど」

「うん、まーそうですね。覚えていてくれてありがとう」

「真純」

「へ?」

「真純でいいよ。それに普通に喋って」

「じゃあ俺のことは由仁でいいから」

 なんだろう、恥ずかしがりやなのか面倒くさがりやなのかな、彼女は。

 多千夏以外で女の子の名前を呼ぶことがないからちょっとドキドキ。真純。いい名前だ。

 ここでまた会話が途切れる。彼女は急に立ち上がったかと思えば裁縫道具を手にして席に戻り、作りかけと思しき作品に取り掛かる。なるほど、家庭部の部長だけあって手先が器用だ。

 すすすすと糸を通した針を手繰って模様を作り上げていく。

「へえ器用なんだね。ちょっと見せてよ」

「ひゃぁっ!?」

 手に触れないように極力注意しながらハンカチに手を伸ばしたんだけど。

 彼女は素っ頓狂な声をあげて仰け反った表紙に後ろに倒れてしまった。どったーん。

「おいおい、大丈夫かよっ」

 慌てて駆け寄る。手を差し伸べるべきか、だがしかし、触れたが最後。

 にしても目のやり場がない。倒れた拍子で大胆に開けていたシャツがずれて赤いブラがこんにちは。スカートはめくれちゃってもう、ああ、ダメ、これはこれで股間がっ。

 戸惑っていると真純は這いずって俺から距離をあけた。そして鋭い一声。

「み、見てもいいけど、近づかないで!」

「ごめん。そんなに嫌がるとは思ってなくて」

「いや、嫌って言うか、その……とにかく、ほら、見るのはいくらでもいいから、ね?」

 そういってハンカチを差し出すのかと思ったらさらに胸元を開き、スカートの裾をあげた。

 え? 見ていいってそっち!? そっちなの!?

 いいならガン見しちゃいますよ。思春期の男子高校生ですよ、襲われますよ!?

 混乱しながら俺は獣にかわりそうな気分を堪えて目を逸らした。

「あー丸見えだから。俺が見せて欲しかったのは、こっち」

「……わ、私別にそういうんじゃないから。勘違いしないで」

 何がそういうんじゃなくて、何を勘違いするのか、俺にはもう分からん。

 真面目な話をするべく襟を正し、席に座りなおした。

 真純も考えなおしたのかシャツの第二ボタンをかけて、スカートをほんの少し伸ばす。

 ハンカチを一通り観察している間に状況を整理、返すと同時に話を変えた。

「家庭部って何やんの?」

「裁縫とか、料理とか、色々」

「料理もできるんだ。意外……と、ごめん」

「いいよ、慣れてるから。こんなカッコじゃ家庭科の生徒に見えないよね」

 そういって笑う彼女の顔はいくらか寂しそうだった。

「部員いないんだって?」

「うん。みんなやめちゃった。私ひとり」

「そりゃ廃部になっちまうよ。どうして続けてんの」

 何気なく訊いただけだった。本題に入る前フリ。

 でもそれが意外と大事なことだったりもするんだよね。

 真純は照れくさそうにはにかみながら言った。ほんと、可愛いは可愛いなぁ。

「居場所が欲しいから、かな。私、家庭科じゃ浮いてるし。ここなら落ち着いてやりたいことがやれる。だからなくなるのはちょっと、困る」

「はは、なんだ、おんなじじゃん。俺もそうだよ」

 俺が部活を始めた理由と、続けたい理由。どちらも聞かせると真純は頷いてくれた。

「分かる分かる。でも由仁ってあの一途と仲いいんでしょ? だったらどこでもやれそう」

「やっぱそう思うか。自分でも思っちゃったもん」

 二人の笑い声が重なった。話してみれば案外打ち解けられるもんだな。

 これまで見た目で“非処女”と思ったら避けていたが、間違いだったのかね。

 きっと共通の思いと、共通の友達がいるからだろうな。自然と話題はやつのことに。

「一途って昔からモテモテ?」

「そりゃもう。中一から毎年チョコレートが山積みだったよ」

「ケッ、面白くないな。それがなんでああなっちったんだ」

「……ごめん。それは本人に訊いて」

 なんだかまた気まずい流れ。どうやら一途に何かあったのは中学時代らしい。

 彼女が拒否する以上強引には聞きだせないし、俺だってそんなことはしたくない。一応、友達だしな。あいつがどう思ってるかは知らんが。

 会話を繰り返して距離が縮まったのか、今度は真純から話し出した。いよいよ本題へ。

「あの、さ。この前、助けてくれてありがとね。大丈夫だった?」

「へーきへーき。こうみえて頑丈だから」

「そっか。お礼が言いたくて一途にお願いしてたんだ。だから、あいつのこと悪く思わないでね。お互いに借りがあるから、断れないんだよ、きっと」

 むむむ。柔らかで優しい笑顔で言われちゃうと、まるで俺が悪役だな。

 バツが悪くて頭を掻くだけにしておいた。これで許しちゃったらそれはそれで、な。

 相変わらず真純は器用に手を動かしながら話を続けた。

「何か好きな料理ってある? 今度お礼に作るよ」

「いいよ、そこまでしなくても」

「私の気が済まないからダメ」

「んーそうだなぁ。カレーとか? 俺、野菜が好きでさ。ベジタブルカレーなんていいね。ああそうだ、どうせ作るなら――」

 うちの野菜を、と言いかけて電光が走った。そうか、二つの部の協力、これだ!

 ガタッとイスを倒して立ち上がる。前のめりになって真純に近づいた。

「きゃあっ!」

「いったぁっ」

 見せつけるスタイルと裏腹な控えめな少女の悲鳴をあげながら突き出された針がぶすり。

 手の甲に刺さった。小さな赤い点が浮かぶ。真純は全力で逃げながらシャツのボタンを外す。

「見てもいいから、近づかないでってば!」

「分かった、分かったよ。見たいけど見せなくていいって」

「え?」

「あ」

 空気が凍る。俺はさっさと傷ついた手を背中に隠した。1、2、3、はい治った。

 刺さった事実に気づいてないようだからそのまま話を進める。し切り直しの咳払い。

「清純院会長が言ってただろ、二つの部で協力して存在意義を証明すればいいってさ」

「そうだったっけ」

「そうだったの。で、うちは園芸部で野菜を作ってる。そっちは家庭部で料理ができる。だったらさ、うちの野菜で作った料理を出して、みんなに食べてもらうってのは、どうよ?」

 我ながら咄嗟のアイディアにしてはナイスだと思う。

 正直、俺は自分の野菜に自信がある。能木先輩のお墨付きでもあるし、味はイイ。

 でも今時の高校生が生野菜を食べたり買ったりするわけもなく。評価される術がなかった。

 その点料理にしてしまえば彼らだって喜んで食べるだろう。

 彼女の腕前は知らないが、それなりにウマイもんを出して『こういうことしてます』ってのを見せつければ、きっと会長も認めてくれるし、もしかしたら新入部員だって期待できる。

 結果を残せというなら売ってもいい。秘密兵器を使えばある程度売り上げは確定だ。

 真純は気が乗らないのか唸りながらネイルを眺めている。

「ダメ?」

「そうじゃないけど、あんまり人に食べてもらったことないから、どうかな」

「でもお礼に食べさせてくれるつもりなんでしょ。じゃあそれから決めようよ」

「うーん……」

「お互い、自分の居場所を守りたい。だろ?」

 これが決めてになった。真純は顔をあげてゆっくりと頷く。

「分かった。そんなに期待しないでよ」

「だいじょーぶ。俺の野菜は自慢じゃないがすげえウマイから」

「それって私が下手でもイイって言ってる?」

 キッと睨まれた。怖い顔をするといかにもギャルっぽい。針が飛んできそう。

 俺は慌てて手を振った。知らない味に文句をつけるほどバカじゃないさ。

「違う違う。食べれば料理人としてのやる気が出るってこと」

「そういうことにしておく。私これからバイトだから」

 暗に出て行けということだな。了解。話しやすいけど扱いにくい子だと分かった。

 帰ろうとすると後ろから声をかけてきた。

「一途にお礼言っておいてね」

「なんで俺があいつに……」

「教えてくれたの。由仁が来るって。だから、待ってた。あれでほんとはいい奴なんだよ」

 はっとなって立ち止まる。都合よく居たのは、そういう裏があったのか。

 でも俺は言い合いしたあと一度もあいつを見かけていない。どうして今日、この時間に真純のところに行くと思ったんだ。さてはエスパーだな。

「分かった。言っておくよ。じゃあまた」

「うん」

 ドアを閉めるついでにもう一度真純を見てみた。豊満なバストと短いスカートが眩しい。

 しかし、あれだな、イイもん見せてもらいましたわ。一途には内緒にしよ。

 触られるのはすげえ嫌がるけど見せびらかすのは好きってのも変な話だ。

 あれかな、誓い合った彼氏でもいるとか。だったら見せびらかしもしないか。

 容姿の自信の表れ? それとも誘って試している?

 わかんねえけど、お互い触りたくないなら好都合だ。

 あんだけ可愛くてあんだけ見せびらかしちゃうんだもん、答えは見えているぜ。

 下着も見えていたぜ。ってそればっかだな俺。ふと虚しくなる、これも思春期ゆえ。

 トボトボ外に出ると何人かの女子が咄嗟に木陰に隠れた。スマホを構えている。

「そういうこと」

 からくりは解けた。一途のやつ、大嫌いな『ビッチ』に声をかけて見張らせていたな。

 それだけ彼女が大事ってか。やっぱこう、シャクだな。まあいいや、帰ろう。

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