それでもあなたは今を選ぶ

@ikikata

第1話 灰色

人生は誰もが送るもの

その人生が納得のいかないものであっても流れてゆくもの

人生は後悔の連続

しかし人は過去には戻れない

前を向かざるを得ない生き物

灰色の中に幸せを見つけるためにあがく生き物である


でも、それらすべてを犠牲にして不思議な人生が選べるならば


あなたはどちらを選ぶだろうか


……


光 「すいません!やり直してきます!」

上司「当たり前だ!」


バサッと置かれるその紙は、俺が昨日残業して作った書類

それを歯を食いしばりながら拾い自分のデスクに戻る


光 「はぁ、間違えた俺が悪いんだ、次は完璧にして叩きつけてやる」

満 「本当に叩きつけるなよ?」

光 「わかってますよ、やったら問題になるし」

満 「我慢しろ、後で飲みに行こう」

光 「うっす」


満先輩…彼は俺の頼りになる先輩だ、この年で奥さんがいるのも納得なルックスと人当たりの良さ

人に恨まれそうにない人だ


光 「やってやる…カタカタカタカタ(キーボード音)」

満 「そうやって悔しがれるんだ、お前はまだまだ伸びるぞ」

光 「そうっすか?あまりいいイメージ持たれないですけど」

満 「そこでもうだめだってなっちまうとすぐ辞めていくだろ?だったら悔しくなっ

   た方がいいに決まってる」

光 「なるほど」


話しに耳を傾けながらもキーボードを打つ俺

本当にそうなのだろうか……

悔しくて諦められないのはただの意地っ張りなのではないだろうか…

そんな事を考えている俺を先輩はクスリと笑って見ている


光 「なんすか?」

満 「いやいや、お前はかっこいいなと思ってな」

光 「先輩……気持ち悪いっす」

満 「変な意味で捉えるなよ、男としてあこがれるってだけだ」


俺は先輩の言っている意味が解らなかった

俺にあこがれる?意味が解らん、なぜだ?


満 「さぁ仕事だ仕事!さっさと終わらせて飲み行くぞ!」

光 「うっす」


……


満 「飲みすぎだろお前」

光 「………うっす」


べろんべろんに酔っていた

民家の光がまぶしい


満 「ほれお前のマンションにつくぞ」

光 「……先輩」

満 「ん?」

光 「俺なんかより先輩の方が100倍かっこいいじゃないっすか…俺が憧れる先輩

   が俺にあこがれるなんて言わないでくださいよ…」

満 「………わかった、ありがとな」

光 「お礼何ていいれす…Zz」

満 「寝るなよ~、お前の部屋につくぞ」

光 「あい!自分はげんきでsZzz」

満 「寝てるじゃないか」


俺の部屋についた後ベットに運んでくれた先輩はそのまま家に帰って行った


満 「ちゃんとYシャツかけとけよー?」

光 「あ~い」


女の人なら確実に告白しているところだ

あんなお嫁さんがいいなぁ~


重い体を持ち上げて俺はシャツとズボンを脱ぎハンガーにかける、体も匂う気がするのでシャワーに入ろう


光 「シャワっと入ろう、シャワーだけに…がはは」


お笑い好きが聞いたら殺意がわくであろう意味不明なダジャレを言いながらバスルームに向かう


ふと何か違和感に気づく俺。何か変な気がする…しかし何もない………


何もない?


周りを見渡すとそこは真っ白い空間であった


光 「…………ん?」


いつの間にか寝ていたのだろうか…

やばいな、明日の朝早起きしてシャワー浴びなくちゃ


? 「おい」

光 「しかし、夢なのに意識がもうろうとしているな」

? 「おーい」

光 「夢の中で酔ってる……がははは」

? 「なにがおかしい!!こっちを見ろ!!」

光 「?なんださっきから夢のくせに生意気な!」

? 「貴様酔っているのか?どれ覚ましてやろう」


バッチヤーーン!!どこからともなく水が降ってきた


光 「ひやああああああああああ!!!つめてえええ!!!」

? 「目は覚めたか?」

光 「冷めたわ!!」

? 「酔っておるのが悪いんじゃ、口答えするなら今度は氷水をごちそうしてやる

   が」

光 「なんでもない」

? 「よろしい」


何なんだこいつは、ほんとに寒いぞ!夢にしてはリアリティがありすぎだろ

冷めた目で周りを見渡す

一面真っ白、今見える色は目の前にいる生意気な少年…少女、いったい何者だ?


? 「ああ、まだ自己紹介してなかったな、ビフと言う物だよろしく頼む」

光 「あ、ああよろしく………今なんで名前を教えた?」

ビフ「そりゃお前さんが俺様の事を何者だと考えたからじゃろうが」

光 「……ギャグだろ?」

ビフ「ギャグなものかお前の思考なんぞ我には筒抜けじゃ」


この言葉が支離滅裂な子供はどうやら本気で言っているらしい…そんなバカな…


ビフ「さてうぬに問う」

光 「な、なんだ?」


目の前で起こっている様々な事の処理に追いついていないままビフは言った


ビフ「おぬしは今、満足しているか?」

光 「……は?」


今日から俺は、凶日だ……


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