15話 一発の銃声
Chapter15 "single gunshot"
『
「うん、よく出来てるんだモン。
『従魁、よ~く聞いてくれ。アンリの考えた飛行船の構造、これを取り入れて君の美しい翼をより美しく構築し直す。イネの変化能力じゃ
「くっ、翼の進化、ってことだな。」
空間に映しだされた飛行船の設計図に
「狙われていたのはその設計図?」
「う~ん…そうね、違うかな。狙われていたのは、メイ、あなた自身。
「うふふっ、だとしたら先に見つけられてたら、危なかったわね。」
「ナムチだったら、メイの
「そうね、つまり?」
パァーン
「イヤあぁぁぁ!」
(イネ!?)
メイも
少し先の広場に、胸を撃ち抜かれて血まみれになったアーサーが倒れていた。
「なぜ撃った!?」
「あの男に、と、取り
若い近衛兵は青ざめていた。
「くそっ、まずいぞ…ん?」
ドス、ドス
アパートの屋上、年配の近衛兵が上空の黒い影に気付いた時には、2人とも倒されていた。
「くっ、安物ワインの
従魁は、自分より大きな近衛兵を軽々と
「アーサー! アーサー! しっかり!」
傷口を抑えながらメイが叫ぶ。
血が止まらない。
見えない涙が頬を流れる。
今まで何人もの人を
助からないことはすぐに分かった。
メイは心の震えを初めて感じていた。
「どうしよう、どうしよう…?」
建物の影に隠れながら、イネが
「そうね、人が集まり過ぎだから出られない… イネ、馬車になって。まずは、ここから連れ出さないと。」
△ ▼ ▽ ▲ △
人気のない郊外の
いつの間にか、夕陽が差し込みかけていた。
「くっ、これで大丈夫だろう。」
「そうね、後は血液が増えるのを待てば大丈夫ね。」
(あの傷を…一体どうやって…?)
メイは、アーサーの治療を終えた従魁と
枯れ草で覆われ、崩れかかった地下室へと続く階段。
その先から、
「ぬうぉい、おぉ、ヘルフリートは何で俺たちを追っていヤガる? あぁん? 早く言わねぇと、その首、モイじまうぞ! 」
「ふん、悪魔に魂を売った物の
「あぁ? 神って言いやガッたか? あいつらのこたぁ、でぇキレェなんだがなぁ!」
守人は若い近衛兵の口を
「うふふっ、さすがヘルちゃんのお友達ね。守人、あとは任せて…」
太乙はセクシーな長い足を見せつけながら、嬉しそうな笑みを浮かべていた。
獲物を
年配の近衛兵の顔が引きつりはじめる。
蛇に睨まれたカエルとは、こんな顔になるのだろうか…
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
--数分後--
ドサッ、バタン…
魂を吸い取られ、もぬけの殻となった近衛兵がゆっくりと床に転がり落ちる。
太乙は地下室へ向かう階段からゆっくり上がってくると、腰に手をあて、モデル並みのポーズを決める。
ペロッと舌なめずりしてその美しい髪をかきあげた。
「ざ~んねん、何も知らないわね。でも、うふふっ、ナムチもヘルちゃんも従魁が飛行船に進化すること、分かってて仕向けてるみたい。」
「右!|危ンない!」
反射的に太乙が何かを
シュン! ドサ、ドサッ!
右方向から高速で飛んできた、その何かは地下室に落ちていった。
切り落とされた太乙の髪が数本、ヒラヒラと地面に
バシッ!
近衛兵が地下室から投げ飛ばされ、空に高く舞う。
ド、ドン
すぐに地上に叩きつけられる鈍い音が響いた。
ガッ、ガッ、
地下室から何かが階段を上がってくる。
空気が緊張で凍りはじめた。
(うっ)
太乙が
シュッ、バシ!
1回転半!
カラーン…
よろける絡繰りからペスト医師のマスクが地面に落ちた。
異形の顔。
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