12話 戦いの幕開け
Chapter12 "Outbreak of the battle"
「そう…ね…
ミコが応える
「じゃあ、メイは一体…」
「ふん!」
ミコの言葉を
「確かに神后に触れた
金色に輝く翼を鎧の様にまとった、寺院の守護像のような巨大な塊。
5mほどはある、まさに "闘将" にふさわしいオーラを放つ巨大なドラゴンそのものが立っていた。
「
ミコが大声で問いかける。
「ふん!
ドラゴンは空間を切り裂いてしまいそうなほどの大声を上げる。
スッ、と大吉はその振動を収めると、ゆっくりと、そして
「何か大きな力が働いていることは確かです。しかし、
天剛を少し下がらせると、大吉の光のような体はミコの前へ流れるようにやってくる。
「魂が急激に薄まり
ミコが
「大穴牟遅に取り込まれて戻れなくなるとは… 神后の意識はいつも
再びミコに目を戻す。
「
「ふん! そうなると
「そうね、
大吉の光の体が天剛とミコの間を霧のように通り抜ける。
メイの前に立つと、我が子を
「あなたはアンリの愛に応えようとしても出来なかった。それは
メイの無垢な瞳から、見えない涙がどっと溢れ出ていた。
「誰がどうやって愛憎を封じているのか、今は隠されています。今、大穴牟遅という
(な、なかま…?)
音は徐々に遠くなると、大吉の存在は完全に消えていった。
「ふん!従魁と小吉は
「うふふ、さぁ、ミコ、行きましょ。」
太乙がいつのまにか背後にいた。
メイは、何が起きているか理解できなかった。
ただ、心のつかえが取れる、という気分を初めて味わっていた。
コォーン、コォーン
美しい音色とともに門が閉じていく。
再び、真っ白な空間の中にいた。
「戦になりヤガるか!」
門の外で待っていた守人は
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「うふふ、やっと抜け出せ…たぁ~っ!っとぉ!」
太乙が大きく伸びをして嬉しそうにはしゃいでいる。
「守人を助けて貰った時…以来だから…そうね、250年ぶり?」
「本当は追い出したかったのよね。ふふっ、あら? イネは?」
「えっ、誰が追い出し…」
「シーッ ここでしか言えないけど、何か大きな力が働いているの。まだ解らないけど大穴牟遅に会って確かめないと。」
「ナムチは奈落に封印されてたこと恨んでるんじゃないの?」
「うふふっ、彼が恨むなんて有り得ないわ。ただ、神后はヘマなんてしないじゃない? 何かが可怪しいの。私も気付いていない何かが。」
「けっ、神ってやつが考えていヤガることは全く分からないね。」
巨大な月を背に機械館に真っ白な光が宿る。
一行は元の鉄カゴの中にいた。
カン!カン!カン!カン!
「そこを動くな!!」
警備員たちが階段を駆け上がってくる姿が見える。
「早速、きヤガった。こっちだ!」
守人は床に転がっていたアーサーを肩に担ぎ、メイを小脇に抱えると、床から10mほどはある鉄カゴのてっぺんから軽々と飛び降りた。
「うきょっ? 待ってよ~」
鉄カゴがイネの姿に戻る。
「うぉぉぉお???」
「でぇ~?」
「いやぁあ~」
足場を失った警備員たちが落ちていく。
ザッ!ザッ!ザッ!
今度は、銃を構えた兵士たちが
「うふふっ、さすが、用意周到ね。」
「ナムチに気付かれてたってこと?」
「大丈夫よ。ナムチだったら、もう捕まってるわ。」
「そうね… じゃあ、イネ!
「うきょっ?えっと、どんなヤツだっけ?」
「水で吹き飛ばす楽しいやつ!」
イネはガッテン!と手を叩くとホース姿に変身し、兵士たちに向かって勢い良く放水を開始した。
「どわ~!!!!」
悲鳴を上げながら押し流されていく兵士たちを
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エピローグ
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「ヘルフリート様、追い詰めますか?」
「いや、まだだ。他にもいるはずだからな。」
細長い氷目の男が赤ワインを片手に振り返る。
(ふん、 あれが太乙か。
やはりな、もうこっちに気付いているようだ。)
エッフェル塔の第一展望室。
奇抜な武具をそれぞれにまとったゴロツキのような黒い
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(次回)第3節「
Episode3 "Sekigan gray hare"
1890年、
集った
メイに迫る悲しい試練、一発の銃声が響く。
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