2話 神船の攻防
Chapter2 "battle on the flying ship"
シャアアアアアア!
恐怖そのものを顔に貼り付けた
「メイ、後ろ!」
少女は、金色に輝くショートヘアの残像を残すと、羽交い締めにしようと飛び込んできた
後ろを取ると、いとも簡単に傀儡の首をひねって投げ捨てた。
胸元の開いた黒皮のコルセットに、スリット入りのミニパンツ、ロングブーツにグラブに丸ゴーグル。
まるで映画の撮影現場から抜け出してきたような スチーム・パンク スタイルのボーイッシュ系少女。振り向きざまに、声をかけた "灰色の兎" に向かって慣れた手つきで何かを投げつける。
トン
半透明の傀儡が姿を現すと、"灰色の兎" の前で崩れ落ちていく。
その
メイと呼ばれた少女は、陶器人形のような
「気ィ 抜いてんじゃないの」
「分かってたのに…」
少し不服そうな声で "灰色の兎" が呟いた。
子供用の兎の
海賊さながら無数の傷跡の残る茶革コート姿は、歴戦の戦士の
慣れた手つきでライフルを構えると、ためらわずに引き金に指をかける。
パァーン
乾いた銃声の先で、喉を撃ち抜かれた傀儡が弾け飛び、飛行船の
美しく
その船底には、蜜に群がるアリのように、黒々とした無数の傀儡が
ドグオォーン、 バン・・・ババン・・・
爆音とともに、側面にズラッと並んでいたプロペラが順々に吹き飛んで海に散っていく。
グラっと大きく船体が揺れはじめた。
船底にへばりついていた傀儡どもが、爆発で開いた穴から次々と中に入り込んでいく。
「チッ、 動力体が
甲板に辿り着いた次の傀儡に
パチ、パチ
ライフルのスコープが
「ねぇねぇ、このままじゃ
「そうね、確かにこのままじゃマズイわ。」
バリ! バリ、バリ!!
クォーォォオーン…
グウォオオ!!
低い唸り声とともに、裂け目から巨大な傀儡が顔を覗かせる。
「ギ、
「上昇は駄目だ!
"灰色の兎" の背後から、獣の顔をした長身の黒い
トン、トン、ト、トン
ギガスの腐敗臭から逃げるように、メイ は甲板から船尾にジャンプしてくる。
「ミコりん、ナムチの気が消えた」
「そうね、でも、もう
"
一瞬、世界のすべてが消えた…
次の瞬間、何もなかったはずの海岸線に、無数の家々が立ち並んでいた。
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