あまり話(思い付きなので続きません)

「おい!大娘!そっちはいくつだ?わしゃー100とんで4じゃ」

「いち・・・じゅう・・・たくさんだ!爺ちゃん!」

「"天災"さん・・・もう少し、ちゃんと数えようよ・・・」



 目の前に山と積まれている魔物。

 大蟻と言われる魔物だった"モノ"である。

 これは、大氾濫といわれる魔物の異常増殖という現象により、災害対策という事で傭兵団が派兵され、その討伐というか、倒した結果というものなのだが・・・



 そうそう、結局自分、傭兵団を抜ける事は出来ないまま、時間に流されるままここにいます。

 契約書とか見せられたんですよね、契約書。

 当時の自分をぶん殴りたくなります。なにせ、5年は働かないと罰金として金100枚必要とか、しかもちゃんと自筆のサインしてますよ。


 確かに、当時は食うに困ってて募集してた所に天の助け!という恰好で飛びついた記憶がある。

 内容を詳しく確かめずにサインした事も覚えている。とにかく飯にありつきたい一心だったし。はぁ・・・



 で、話を戻すと、この二つの山というぐらい、魔物が山積みされた物っていうのが、剣才さんと天災さんが競い合ってるというね、そして、どちらが勝者かの判定として自分がここにいるわけで・・・ほんと、なんなんでしょうね・・・


 とまぁ、そんな感じでさっきから言い合いしてるその二人はというと


「山の高さじゃ負けとるが・・・こいつはどうじゃ!隊長クラスの奴じゃぞ!」

「んー、ちょっとだけ強かったコレかな?」

「なっ!将軍級じゃと!?大娘め・・・幸運も味方につけとるのか・・・」

「いや、普通そういう強い相手と出会うのは、幸運と言わないよ?どちらかというと不運だよ?ねぇ、わかって?!」



 これである。


 この二人の一般常識がズレている事を棚に上げなきゃいけないのはわかっているのだが・・・、どうやってもこの二人のペースにかき乱され続ける恰好になる為、当初は何も言わずにいたのが精神衛生上無理。

 いつの間にか、声を大にしてツッコミを入れるという形で、心の平静を何とか保っています。



「こうなれば、王級を仕留めたほうが勝ちじゃ!!」

「負けないよ!!」

「だからね!それで競い合う事態がおかしいんだからね!!」


 そうして、二人は陣地から魔物の巣穴へと走り出していった。なんつーか、出てくる魔物が通り過ぎ様に細切れにされてるのは、なんなんでしょうかね・・・あ、魔物さんに同情してしまう自分がいるのもなんだろかなぁ・・・


 そして、ポツンといった感じで取り残される自分だったが、そんな視界に入る異常を眺めながら



「で、コレ、どうすんの?」


 と、つぶやくしなかった。


 なにせ、見上げるのは積まれた魔物の死骸という山。山、山・・・

 倒しては積んで倒しては積んでと、いったいいつの間に・・・って、あれ?山がもう一つ増えて・・・



「あのぉ、討伐した魔物はここに集めろって副長に言われたのですけれど・・・」

「あぁ、そういう事ね・・・」

「はい?」

「いや、こっちの話。で、そっちの隅の山の方に積んでってください、こっちの二つの山はちょと訳アリなので・・・混ぜないでくださいね」

「わ、わかりました」



 いつの間にか自分がいる区画が魔物の集積所になってるのは、もうあきらめるとして、この魔物の山どうするんだろうかね・・・はぁ・・・。



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