エピローグ タイのゲストハウス
僕はタイの薄汚くて湿っぽいドミトリのベッドで悩んでいた。
何しろミャンマーからタイに戻ってきてほとんど何もしていない。
昼過ぎに起きて、安いラーメンか定食を食い、ゲストハウスにある漫画を日がな一日読みふける。そして夜になると、同じドミトリに泊まっている学生連中とクラブやバーに出かける。そそして夜中過ぎに帰って来ては、昼過ぎまで寝る。
まるで日本にいる生活と変わらなかった。
クソだ。僕はクソヤローだった。
一体なんの為にここまで来たのか。タイにまで来て漫画を読みふける理由はなんだ。一週間が経過して、ようやく僕は自問自答を始めた。
学生連中と過ごす夜は楽しい。みんな僕を慕ってくれるし、誰もが解放的で良い。
だけど僕はクソヤローだ。これじゃダメなんだ。何故だか強くそう思っていた。
ミャンマーで出会った人々や出来事を思い出し、充実感に溢れていたあの日々が脳裏に浮かんできた。
あれこそが旅だ。何をビビってる?
お前のパスポートにはインドのビザが貼ってあるだろ!さあ行け!
僕の中で誰かが叫んでいた。
僕はその日、新たな決意を胸にみんなと過ごしたドミトリを後にした。
それでも、僕はやっぱり東京の家に帰りたくて仕方がなかった。
僕はなぜ旅に出るのか。その
了
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