児童文学のような語り口調、可愛らしい幼いマリエールとロージー。子供の頃に感じていた、物語への無邪気な憧れと好奇心を再び思い出させてくれるような文章に、図書館でのお泊まり会というなんともわくわくするようなイベント!しかしじわじわと這い寄る暗黒からの気配に気付けば、もう神話の一部に取り込まれたも同然である。雰囲気の秀逸な、夢見るような短編小説。
秀逸。この物語を読むとそんな言葉が浮かびます。短い掌編の中で、美しくリズムのある文章がちりばめられ、その世界観にどっぷりと浸からせてくれます。何処か不思議で何処か知的な物語。純真さと残酷さの狭間で考えさせる珠玉の物語をご賞味あれ。