第15話 連!続!ネコぱーんち!!!!

 それは怒涛のラッシュである。

 堅いガードもなんのその。気にせずただひたすらに打ち込む。

 やがて抵抗が弱まってくると、トドメとばかりにガブリと鋭い牙がきらめくのだった。


 ミィと遊んでいると、ネコぱんちを当てられることがよくある。

 まあ、遊びのなかのことなので全然痛くない――注、伸びた爪に引っかかるとちょっと痛い。爪切りは頻繁にしてあげましょう――。

 効果音を付けるなら、『タシタシ』とか『テシテシ』とか『ペシペシ』という感じだ。


 ほとんどの場合、片方の前足で「えいえい!」と二、三回ペシペシされる。可愛い。


 しかし、つい先日、両前足での連続ネコパンチを浴びせられたのである!



 それは忘れもしないとある日の夜――え?正確な日付?もちろん忘れた!――のことだった。自室で執筆活動の励んでいた僕の側にミィがやって来た。

 そしていつものごとく「寂しいよう」と言わんばかりに微妙にか細い声で鳴いたのだ。

 この鳴き声というのが何とも言えない哀愁を誘う鳴き方で、「構ってあげなくては!」という気持ちにさせるものなのである。


 その日も見事に策略に乗せられてしまった僕は、執筆活動を放り投げてミィを構ってあげることにした。

 という訳で、筆が遅いのは僕のせいではありませんのであしからず。

 ……それはさておき、いつもなら「わしゃわしゃわしゃわしゃー!」とミィの全身を撫でまくってやるのだが、その日はちょっとそんな気分ではなかった。

 それにいつも同じではミィも飽きてしまう。


 なので、ベッドに乗っていた薄手の掛け布団の下に手を突っ込んで、モグラさんのように『もそもそもそ!』と動かしてみた。

 その瞬間、ミィの顔つきが狩人のものに変わった――ような気がした――。動かしている僕の手をじっと見つめて、タイミングを計りだしたのだ!

 そして僕の手の動きが止まった隙を突いて一気に――



 しばらくお待ちください……。



 などというスプラッターな光景にはならなかったのだけど、両前足による連続ネコパンチが繰り出されたのだった。

 『テテシテシペシペシペシペシ!』ミィさんや、できれば爪を仕舞ってから攻撃してください。薄いので布団越しでも微妙に痛いです。

 いやだからトドメに噛みつくのも加減してってばよ!



 どうやらモグラさんごっこはミィの野生を目覚めさせるものだったようだ。何回やっても、これだけは両前足による連続ネコぱんちである。

 それと、弱っているものに襲いかかるという習性があるのか、素早く動かしている時には真剣に目で追ってはいるが、飛びかかるのはいつも止まった時だった。


 そして遊び疲れると、暖かくというかむしろ暑くなってきたこともあり、ミィはお腹を出してすやすやと眠りにつくのだった。

 引っかき傷だらけの僕の手を残して……。

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