第10話 ミィの野生度は?

 ミィは完全な家猫である。


 布団を干す時などにたまに屋根の上に行くが、その時もお気に入りの場所でごろごろ、ふにふにしている。

 脱走したとしてもその範囲は庭までで、そこから外には出たことがない。

 食事はキャットフードがメインだし、寝る時も僕ら家族のそばにいることが多い。


 そんなミィには野生の心がどれほど残っているのだろうか?



 猫に限らず、犬なども頭の上から手をだされるのが嫌いなのだだそうだ(ソース元不明のあやふや知識です。話半分に聞いておくのが吉)。

 ミィにもその傾向があり、頭を撫でようとすると迎撃態勢に入ることがある。

 攻撃されないようにするには、目線よりも下から手を伸ばすといいみたいだ。


 しかし、その割に後ろから撫でられることには気付かなかったりする。

 背中などに触られて初めて「にゃうん!?」とびっくりしたような声を出すのが普段のミィである。


 後ろからの奇襲に弱い、でもすぐに気が付く。

 ううむ、ワイルド・パワー(以降略してWP)はあまり高くなさそうだ。

 五段階評価だと二くらいかな。



 次に行こう。遊んでいる時だ。

 ミィは一人――猫だけどね!?――でネズミの人形――ネズミなのにね!?――などをはじいて遊んでいることもあるが、僕ら家族に「遊べ」と要求してくることも多い。


 で、その飛びかかる直前にお尻を振るのである。

 ふりふりと。

 「行くよー」って感じで。

 ふりふり。


 ……可愛い。なんというかとても和む。


 しかし攻撃態勢に入ったことを知られてしまうのはよろしくない。

 やはりWPは低いと言わざるを得ない気がする。



 ……うん。ミィ、君は家の中にいなさい。



 さて、こんなことを書いてきたが、別にミィを今更お外に放り出そうと考えている訳ではない。

 飼い主として、ちゃんとミィが死ぬまで(あんまり考えたくはないことだけどね)お世話をするつもりである。


 え?ちゃんとした飼い主には見えない?

 まあ、そこはそれ家族に色々と押しつけ、もとい色々お願いして協力してやっていく所存である。



 とはいえ、心配なこともある。災害だ。

 災害と言ってもなろう読者におなじみのモンスターによるものではなく、自然災害の方だ。

 地震・雷・火事・親父というアレである。あれ?後ろ二つは違うような……?


 コホン、まあ、ともかく自然災害だ。

 それ自体も怖いものだが、心配なのはそのあとの避難生活を行う事になった場合だ。

 避難場所には当然ペットを連れてはいけない。

 そのため、野良になったり、家の中に放置されてしまい衰弱してしまったペットの話はニュースでも度々取り上げられているので、知っている人も多いと思う。


 そうなってしまった時、WPが低すぎると生きていけるのか不安になる。

 わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい、と思ってしまうのだった。



 あ、でも、いたずらして色々なものを散らかしたり破壊したりするのは勘弁してね……。

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