第8話 ミィの友達らいよん君

 らいおんである。猛獣である。がおーである。


 ごめんなさい、嘘です。電気湯たんぽのことです。

 充電してスイッチオンであったかいです。


 彼――オスらいおんです――がミィの冬の友達である。

 どこで使っているのかというと、こたつの中だ。


 ミィは猫だ。

 何を今更と言われるかもしれないが、冬は猫らしくこたつで丸くなっているのだ。

 しかし常にこたつに入っている訳ではない。

 おっとこの話は後に回そう。まずはらいよん君の話からだ。


 ミィはこたつが好きだが、暑くなると出てくる。

 また、こたつの電源を入れっぱなしというのも火事の危険がある。そこで登場するのがらいよん君なのだ。


 僕ら人間の就寝時や、仕事などで家を留守にする時に彼と一緒にこたつに入ってもらうのである。

 あまり長時間は効かないのが難点であるが、常に寒いおもいをさせるよりはましだろう。


 しかし、一つ問題がある。

 実はミィはあまりらいよん君が好きではないのか、そうやって二人だけの空間を作ってやるとボチボチな頻度でこたつの外に出てきてしまうのだ。


 あれ?友達?あれ?


 ……まあ、眠っていたところを移動させられて不機嫌になった、または眠気がなくなってしまっただけなのかもしれないけれど。


 うん、きっとそうだ。そういうことにしておこう。



 さて、冬場のミィの主な居場所についても書いておこう。

 まずはこたつ。中にいることも多いが、こたつの上にいることも多い。

 なので、うちはこたつの天版を取り外して熱が伝わりやすいようにしてある。


 次にストーブの前。

 ファンヒーターの熱風が出てくる先に居座っている。

 最近はお気に入りのマットに加えて、お気に入りの座布団――うちの母親が仕事場で使おうと買ったもの――の上でコロンコロン寝返りをうったり、座布団をくくりつけるための紐で遊んだりしている。


 かわええ。



 その他は、一年を通してお気に入りの場所になるだろうか。

 冷蔵庫の上に、出窓や日の当たる窓際、ベッドの布団の上などなど。

 ただ、寂しがり屋なので、人のいる場所の近くにいることも多い。


 電気代を節約してエアコンの暖房を入れていない僕の部屋にやってきてゴロゴロしていることもある。

 それもまた可愛くてラブリーだったりする。



 最後に夜寝ていて寒くなった時のミィの行動を記して今回は終わりにしよう。

 例えば僕のベッドの布団の上で寝ていたとする。

 明け方冷えてくると、ミィはうちの両親が寝ている所に行く。

 二人で寝ているからいい感じで布団に隙間が出来るようなのである。


 そこで、「入れて」と言わんばかりに冷たい鼻をピトッとほっぺたにくっつけてくるらしい。

 ピトッて。


 さらに布団の中で「私の陣地」とばかりに二人の間を背中と足で突っ張って寝床を確保するとのこと。

 横になって伸びをするようなかんじだと思ってもらえれば分かりやすいだろうか。


 その際、背中側は多少冷たいだけですむのだが、足の方は……ちべたい肉球をぐぐいぐいと押しつけられる。

 それはもう、目が覚めるほどの冷っこさだと後に父親が語っていた。



 あなたも猫を飼うと、そんな凍える体験が待っているかもしれない。

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