第2話 楽しさは何倍にも増やし、辛さは分かち合う、これが家族!

 何が言いたいのかというと、


「実家住まいだし、皆でミィの世話をすればいいよねー」


 ということである。

 つまり家族がいる利点を最大限利用して、皆にミィの世話を押し付け、もとい皆でミィを可愛がろうということなのだ。


 このたくらみじゃなくてくわだてでもなくて計画は上手くいって、うちの家族は揃ってミィを文字通り猫可愛がる様になった。

 翌日には猫用トイレが設置され、いくつかのおもちゃが買い与えられており、さらに彼女専用の食器も――皿だけに!?――準備されていた。


 当然その上には子猫専用の餌やおやつが乗っていたのだった。

 ついでに、動物病院での診察――診察券の飼い主欄には僕の名前があり、その費用も僕持ちである――も完了していた。



 もちろん僕が楽をしたいがためにこんなことをしたわけではない(ここ重要!)。

 猫を飼うのは初めてであり、しかも僕は仕事で家にいない時間が多い。

 何か不測の事態が起きた時にも対応できるように家族にも一緒に世話をしてもらうことにしたのだ。


 そうでなければ可愛くてラブリーで素敵な子猫の世話を人にさせるものか!


 え?トイレの始末?おーい誰かー!片づけてー!


 ……コホン。とにもかくにも全てはミィのためなのだ。

 彼女の幸せな人生――猫生?――のためには家族の手も必要だったのである。

 こうしてミィもまたうちの家族の一員となっていくのである。



 さて、ミィを飼っていく上で辛いこと、というか大変なことはいくつかあるのだが、その中でも子猫の時限定だったのが、甘噛みが出来ないことだった。

 子犬や他の動物の子どもにもいえることだが、加減を知らないので『ガブリ!』とくるのである。


 子猫といって侮るなかれ、かなり痛い。頑張れば泣けるくらい痛い。

 下手をすれば流血沙汰になるほどである。時には『ぺちり』と教育的指導をしなくていけないこともあった。

 虐待は論外だけど、この辺りの躾はきちんとしておかないと後々大変なことになる。我々家族は心を鬼にして『ぺちり』と指導を行っていくのだった。


 そして現在、本気モードに移行させることがなければ、甘噛みで怪我をするということはなくなった。


 しかし本気モードは危険である。何せ本気なのだから……。

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