うちのミィの話
京高
第1話 ミィがやってきた みゃあ!ミャア!みゃあ!
まだまだ暑い日が続く九月の半ばにミィが家にやってきた。
知り合いの所に捨てられていたミィは片手の掌にのるくらいの大きさで、まさしく『ザ 子猫!!』といった感じの可愛い子だった。
雑種だけど、ベースのアメリカンショートヘアの血が濃かったのか結構しっかりとした模様がついていた。
だけど僕は実家住まいなので、
「家族にどう説明するべ?」
「他に飼いたい人がいるんじゃないの?」
「うちで育てられるの?」
とまあさんざん迷ったけれど、結局引き取ることにした。だって可愛かったんだもん。
ところが帰り道に試練が訪れた。
きっと怖かったり寂しかったりしたんだろう、まあ、鳴くわ鳴くわ。エンドレスで「みゃあみゃあ」鳴いていた。
ウサギに犬は飼ったことがあっても、猫は初めてなのでどうしたらいいのか分からない。
仕方がないので合の手を打つように僕も「みゃあみゃあ」言っていた。
傍から見るとものすごく怖い光景だったと思う。夜だったのと車の中だったので、誰にも知られていない――と思われる――のが救いかな。
しかもこの時鳴きすぎたのか、声が枯れてしまって、再び泣き声を聞けるまで数日かかってしまった。
翌日病気にかかっていないかを調べてもらうために連れていった動物病院で「子猫にはよくあること」と教えてもらってホッとした。
後、その影響だったのか、小さい時には余り鳴かない子だった。口は開けても声になっていないということも良くあった。
ちなみに今では結構大きな声で僕たちを呼びつけている。……甘やかしすぎたかな?
で、ミィを連れて帰って紹介した時の家族の反応はというと……呆れていた、というのが一番だと思う。
それでも受け入れてくれたのだから結果オーライである。
そうそう、ミィという名前は母親がつけた。猫だからミィ。なんとも安易な名付けである。
が、きらきらネームよりはましだろう。
以前飼っていた犬の名前がキラキラだった。
命名者は僕と弟。
言い訳させてもらうなら、当時僕らはあの病が発症しやすい年代だった。若気の至りだったのだ。
若さゆえの過ちは認めがたい……ってそれは関係ないか。
そんなこんなで家族を巻き込みつつ、猫初心者の僕らとミィの生活が始まることになる。
仕事もあるので付きっきりで世話をすることはできないので、家族さまさまである。これでまあ何とかやっていけるかな、と思った。
さて、その日の終わりにもう一つある出来事があった。
さあ寝ようという段階になると、ミィはベッドである段ボールを抜け出し、部屋の隅に行ってしまった。
いきなり連れてこられて怖かったのか、狭い場所にもぐりこんで小さくなって眠っていた。
思い出すと今でも涙腺が緩み、ウルッとしてしまう話だが、数ヵ月後には僕のベッドのど真ん中を占領、さらには腹を出して人間でいうと大の字のような格好で寝るようになるのであった。
……ちゃんとオチをつくってくれる子で、飼い主としては安心である。
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