きつね
玉藻稲荷&土鍋ご飯
第1話 きつね
きつねが溶けていた。
少しでも涼しくなるために近所の神社を通り抜けようとしたら、鳥居の横にひどい物がいた。
「こぁー……」
うっわ狐だ。狐が溶けてる。暑いしね。都心部最強の暑さのこの地域。無視しようとしたら、助けを求められた。
「そこなおぜうさん。助けて下さいまし」
喋った……。しかも、口調まで溶けている。味噌汁の具で買ってある油揚げを渡せばいいかな。
「……そんな油抜きもしてない様な……」
お気に召さないらしい。最近の狐はグルメだ。とりあえず御手水を柄杓でバシャバシャかけたけど足りないみたいだから、抱えて手洗い場の水に浸けておいた。
「あーいぎがえる」
あ、自分こんな者ですと言って、びしょ濡れになった名刺を渡された。酷い……。濡らしたのは私だけどマナーがなってない。とりあえず名刺によると、いちおーここの偉い狐らしい。御布施がわりに溶けかけ食べかけのアイスをあげたら喜ばれた。
後日、そこの神社に寄ってみたら、くたびれた中年の尻尾出したおじさんがいた。せめて可愛い狐っ娘にして、萌え神社にでもしちゃえと提案しておいた。
前向きに善処するとの事。最近は神社もゆるいらしいです。
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