第4話 エルの話

一生、恋愛なんてするはずはなかった。

それが私の運命だったから。それが、彼に出逢ってしまった。

「初めまして、イズルです。よろしく頼むよ。エル様。」

「…堅苦しい敬称は不要ですわ。イズル様。」

「僕にもいらないよ。」

穏やかに微笑む、窓辺の青年。その微笑みに引き込まれた。

私だって立場ある娘として生きてきた。だから、彼の真実を知らないわけではない。それでも、恋とは、いや、愛とは惹かれるなんて甘いものじゃなくて、本当に落ちるものだと初めて知った。

ここに私が来たのは、妹の手助けのためだった。最も今は女王になった彼女を、妹として認識はほとんどないに等しいのだけれど。

「姉様。わかっておられますね?」

妹から刺された釘。哀しそうな顔をして、妹は私に告げた。それは、同時に彼女が背負うカルマでもあった。

「わかってる…。」

それでも、彼を愛する気持ちは止められなかった。

「彼と想いを交えることはない…。彼も、私も、未来に命を継ぐ気はないのだから。」

0.5世代としてロミや、新しい命が生まれることは罪ではない。しかし、私の血と、彼の血が混じることは、危険すぎる。そんなリスクを背負えるほど、私たちは子供ではなかった。

涙を流す私を、彼は優しく抱いてくれた。

「ゴメンね、エル。」

「いえ。ですが、私の命が尽きる日まで…。あなたのそばにいさせてください。」

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