第3話 暁人の話。
恋というものは難儀なもので、さらに幼馴染が重なるとややこしい。
俺らの世代はともかく遥たちの世代は絡まりまくってる。
三角関係未満。
少しだけ年が上の俺は、みんなのお兄さんをずっとやってきた。
だからみんなの恋愛事情をたぶん、一番知っている。
遥と奈津の二人の妹。それに灯と奏と蒼、詩音と百奈。糸は絡みあっていたけれど、気長に一つずつほどいていけば、その糸の両端を誰が持つのか。はたまた切れているのか。それを理解するのはそう難しいことではなかった。哀しい真実も。
ただそれが、理解できたところで、なんだという話だ。
その糸が絡まっていることも、切れていることもたぶん、わかってる。やつもいる。でも、それでもあがいているんだ。
誰もが何本もの違った色の糸を握りしめ、真の赤い糸の相手を探している。
厄介なのは、真の赤い糸はたった一本でも、ただの赤い糸が何本も何本も混じっていることだ。
蒼からのびる従妹への想い。遥からのびる幼馴染達への想い。妹から伸びる蒼への想い、詩音から伸びる不器用な幼馴染への想い。そして年の近い二人が俺に向けてくれる想い。そして俺から伸びる妹分達への想い。
初恋が最後の恋になるなんて言わない。
でも、初恋は大きな影響を与えてる。この赤い糸の先は、おそらく初恋だ。そして家族の情だ。
みんな一緒にいる時間が長すぎて、愛しさがあふれている。この愛は俺たち全員にとって大切な宝物だけれども、同時に俺たちを縛る枷でもある。
いつか、みんながこの愛を捨てる日が来るのだろうか。
それでも、全員が真の赤い糸を手に入れるのだろうか。
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