第24話

「まだ終わらないのか...」


入学式の挨拶を延々とする校長。


今日はセブニス魔法学園の入学式だ。

俺は朝は苦手なので、昨日は早く寝たのだが、スーに起こしてもらわなかったら遅刻していただろう。


「ーー以上で入学式の挨拶を終わります」


パチパチ


やっと終わった。何も見ずに2時間近く話すとはな...


「ではこれより、クラス発表を行います」


校長が言うと、前方空中に大きなディスプレイが表示された。

そこには、学年別にAからKまでの英字が横に並んでいて、各数字の下に、そのクラスに入る生徒の名前がのっていた。


「えっと俺は...よし狙い通り」


俺は高等部1年でクラスは思った通りKクラスだった。スーもKクラスなのを確認したあと、俺はふと疑問に思ったことをスーに問う。


「スー、2次試験が終わったあとに、採点する人からなんか言われた?」


「んーとねー、スーのじつりょく?だったらうえのひとといっしょにうけれるようになるけどどうする?ってきかれたから、うんっていったよー」


その場で上がるかどうか、決めさせられるのか。


「では、自分のクラスを確認して、その教室へ各自向かってください」


確か、高等部は校舎の左側だったか。


ゾロゾロと体育館を出て行く生徒に続き、俺とスーも体育館を出て、体育館と校舎を繋ぐ渡り廊下を通り下駄箱へ向かう。


上履きは、学園側で用意してるとのことだったので自分の名前を見つけ履き替えた。


「初等部の皆さんは私に付いてきてねー」

「中等部の皆さんは私に付いてきてください」

「高等部は付いて来い」


各学年の案内係の先生が呼びかけているので、生徒達はそれぞれの先生に付いて行く。


俺とスーのクラスは、校舎左側の1階だった。ちなみに1階は、IクラスとJクラスとKクラス。2階は、FクラスとGクラスとHクラス。3階は、CクラスとDクラスとEクラス。そして4階は、AクラスとBクラスがあるらしい。


教室の中は、至ってシンプルで日本の学校と余り..というか全く変わらなかった。

黒板に席の位置が書かれていたので、指定された席に座る。


俺は窓側の席の一番後ろで、スーは俺の隣だった。


しばらく待っていると、ゾロゾロと合格者が入ってきて、席を確認すると自分の席に座っていった。


合格者全員が座ったが席はあと4席ほど余っている。おそらく中等部から進学してくる生徒だろう。にしても4人しか上がってこない事からこの学校の受験合格率がどれだけ低いか分かるな。

まぁ卒業できたらいきなりS級だししょうがないか。


「うーっす。今日からこのKクラスを担当することになったミキナミだ」


「なん.....だと..」


「どうした? ...えーっとお前は..........レン・ブレイザーか」


教室に入ってきたのは和装ロリだった。


「いえ、なんでもありません」


「そうか。ならよい。えー私は今言ったばかりだがミキナミだーー」


とミキナミは俺からみんなに視点を戻すと自己紹介を始めた。


「ーー魔法は闇属性と火属性を使える。とまあこんなところでいいか。何か質問はあるかー?」


ミキナミの自己紹介が終わり質問タイムに入ると次々に手が上がる。


「先生って二属性持ち(ツインキャスター)なんですか!?」


「何歳ですか!?」


「パンツ履いてますか!?因みに俺は履いてます!」


「分かった分かった1つずつ答えてやる」


質問の答えによると、二属性持ちで、22歳で、パンツは履いていないらしいですゲヘヘ。


「おっと忘れていた。お前ら入ってこい」


ミキナミがドアの方を向くと男女が2人ずつ入ってきた。

男子の方は緑髪の静かそうな人と茶髪のチャラそうな人がいて何というか何処ぞのハリケーンソードさんっぽい。見た目で判断するのは悪いが俺の苦手なタイプだ。


一方女子の方といえば......


可愛い。

きっとこれはクラスの男子のほとんどが思ったことだろう。


1人は黒髪を後ろに一本に纏め上げていて、なんというか大和撫子という感じの女の子だ。女性にしては背が高く、出るとこは出ていて引っ込むところは引っ込んでいる凄い美人さんだ。


もう1人は金髪碧眼で15か16歳なんだろうけど、若干幼さが残る見た目だ。 ....が、それがいい!実にいい!


・・・にしても、男子の方はKクラスにいるのは分かる....が女子の方はどうだろう。大和撫子さんとか優秀そうなのだが...おっと見た目で決めたらダメだな。チャラチャラしててもS級行く奴とかいるし。


「チーッス!アーサー・デスゲームで〜す。15歳でぇ風魔法使っちゃう的な?まぁよろしくぅ〜」


「俺は...ジャンヌだ。15、水魔法を使う」


2人とも凄い名前だな。俺の世界にいたら超からかわれそうだわ。


「私はヨスガ・キリサメだ。年齢は15歳で魔法は風魔法を使う」


「...えっと、名前はリリカ・マルナです。14歳で火魔法を使います。よろしくお願いします」


大和撫子さんの名前はヨスガと言うらしい。見た目通り落ち着いた感じでかっこいいと思ってしまう。


リリカって子はどうやら同年齢の子より一回級くらい上らしい。まぁ一個下のAクラス以上なのに何故もっと上のクラスに行かずにこのKクラスに来てるかってのは分からないけどな。


「さて、次はお前らの番だな。名前と年齢、使っている属性を言ってもらおうか」


ミキナミの言葉で次は俺達の自己紹介が始まった。


ほとんどが俺と同じ年なのだが、スーと同じ飛び級をした子も2人いた。


「この人が終わった次はスーだからなー」


「わかったー」


前の人の自己紹介が終わり、ついにスーの出番になった。


スーが前の教壇に立つと、男子全員「可愛い...」と頬を染めつつボソっと言っていた。


「スーじゅっさい!ひぞくせいのまほーをつかうよー」


とスーが自己紹介を終えると、男子から先程の2人同様に拍手が飛び交った。

その拍手に驚いたのか、スーが少し怯え初めたが、念話でスーを宥めると笑顔になったので安心する。スーが笑顔になったことで、男子軍の頬が更に赤みを増したのは言わずもがなだ。


・・・っと次は俺か


「えっと、レン・ブレイザーです。年は15で火属性の魔法を使います」


基本から応用...なんなら伝説級の魔法も使う事が出来るのだが試験会場で使ったのは火魔法だったので他の魔法を言うと、モニターを見てた人達に質問に合うかもしれないと思ったので火魔法にしておいた。


「よし、自己紹介は終わりだな。ではこれからこの学園の話をしようか」


俺が最後だったので席に座ると、ミキナミがこの学園について話始める。


「まず皆知ってるとは思うが、ここは魔法を使う者達を育成する為の学園だ。この学園を無事卒業出来たら兼ねてお前らも冒険者の仲間入りだ。だがこの学園はそう甘くはない。基本的に義務教育だが初等部から中等部にあがる時や高等部に上がる際には試験があり不合格なら退学になる」


この学園の校長も言ってたな。


「1度退学になったら2度と当校には入学は出来ないからなー」


やっぱどの世界でもルールは同じなんだな。


「あとは...そうだな。他の学園といえば年に二回行われる、各学園から十数人の代表生徒を決めて戦う大会が約五ヶ月後にある。新人戦の方は二ヶ月後だ。高等部全員が参加するからな。今のうちに鍛錬はしとけよー」


とまあこんな感じだ。と話を終えたミキナミは教卓に座った。


新人戦が全員参加って、Kクラスとか絶対役に立たないだろ...


そんな事を思っていると、授業開始のチャイムが鳴る。

聞くと、どうやら午前は座学、午後は実技の授業を行うそうだ。


「じゃあ授業始めるぞー」


ミキナミの言葉によって授業が開始された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る