第23話

1時になり、体育館に行くと朝より人がだいぶ少なくなっていた。それでも多いことには変わらない。


時間ぴったりに来たので俺達よりあとに来る人はいなかった。感心しながら列に並ぶ。


「これより2次試験を行う。1次試験では魔法の威力が審査内容だった。2次試験ではこの的に魔法を当ててもらう。魔法がどれだけ凄かろうと当たらなければ意味がない。

的は魔力数値が高かった者ほど小さくしている。っていっても魔力がAランク並みにあるやつは、的に魔法が当たらなくてもBランクにはなれる。Bランクと小さくランクも同じで外してもランクが1つ下がるだけだ。

しかしDランクからは別だ。的を外せば不合格とみなす!

以上で説明は終わりだ。」


つまり、2次試験は命中率が審査内容ってことか。


1次試験と同じく、男の人が台から降りると試験が始まった。


次々と試験場に入っていく試験者。

1次試験で、銀髪美少女含め魔力数値が高かった人は次々と的に当てて合格していく。なかには広範囲な魔法を使う人もいて、それはズルいだろと思ったが、採点者は何も言わなかったので合格なんだろう。


2次試験は魔法の威力は関係ない。だから集中すれば簡単に的に当てることができるので不合格する人はたまにしか見なかった。


最後に俺達の順番が来て俺とスーを含めた20人がそれぞれ試験場に入って行く。


俺も入ると、だいたい今朝と同じで変わったことといえば魔力壁が1メートルくらいの的に変わっていた事くらいだ。


ステータスカードを見せて1次試験合格の証拠を見せる。

採点者はそれを確認すると合図をするので決められたラインの位置から火魔法の火球を撃つ。


ステータス値が高ければ高いほど、各ステータスが上がっていき、その数値にちなんだものになるので、命中率∞の俺に当てれないものはないので当然当たる。まずこの距離とあの大きさの的なら命中率が20〜30くらいで当てられるのだが。


「合格です。おめでとうございます。明日は入学式なので朝の7時には体育館にお集まりください。クラス発表などはそこでしますので」


はいと答えて試験場を出ると、スーを含む他の19人もちょうど出てきて、皆いかにも嬉しそうな顔をしていた。きっと合格したんだろう。


「ゆーたー!」


と朝と同じように飛び込んでくるスー。しっかり受け止めてからゆっくりと下ろして頭を撫でる。


「合格出来てよかったなー」


「うん!」


気持ちよさそうに目を細めながら言うスーにズキューンと来たので抱き締める。みんなから視線を感じるがお構いなしだ。スーは俺の体に顔を埋めているため周りが見えていない。


スーが周りを見て怯えないように、抱っこをしながら体育館を出る。


少し進んだところで降ろして、今から何しようか考えていると、前で銀髪美少女が歩いているのが見えた。


「嘘....だろ...」


男と。


えぇえ!あの子はこの世界の主人公の太一と出会うはずじゃないの!?超ヒロインっぽいのに!?あんなに可愛い子滅多に見ないよ!?スーくらいだよ!?


「ゆーたー?」


俺の顔を見て心配そうにするスー。

よし落ち着いた。


「なんでもないぞ」


さて、とりあえず付けてみるか。


「スーこれから喋っちゃダメだぞ?」


「なんでー?」


「んーとね。喋ったら俺が消えちゃうの」


「ぇ....ゆーたきえちゃうの? そんなのやらぁ......」


「あぁ!うそだごめんよぉ!」


「..........ほんとに..?」


「ほんとだ」


「ゆーたぁ」


「ほんとはこれからあの人の後を付けるから気付かれないように喋っちゃダメって事なんだ」


「そういってよぉ...」


スーにこういう類の冗談を言うと後で罪悪感やらで後悔してしまうから2度と言わないようにしよう。


ステルスを使って後を付ける。


付ける事10数分。工場らしきところへ入っていく2人。


「あ、これあかんやつや」


やっぱヒロインだったと確信して中へ入ると、やはり不良みたいなやつらが10数人いた。


「へへっとんでもない美人を連れてきたなぁ?」


「早くやっちまおうぜ!」


「俺からな!」


など不良達は口々に言う。


しかし、ここである疑問が湧く。


ステータスを見るに不良達はゴミだ。なのになんで銀髪美少女は戦わないのだろう。なんか弱みを握られてるのか?


「付いてきた...だから叔母さんを解放して」


おぉ!銀髪美少女の声だ!綺麗な声してるなぁ!とそんな事じゃなくて、叔母さんが捕まってるのか?どこにもいないが。あの扉の奥かな?


「おぅいいぜぇ?ただしお前が俺達に身を捧げるってんならな!」


工場内に不良達のゲスな笑いが響き渡る。


「っ....なんで...! ここに付いてくるだけって」


「そんなの嘘に決まってんだろ?」


「ッ....!!」


いやぁ銀髪さん。それは流石に分かるだろぉ。


「どうする?大事な叔母さんを捨てて逃げてもいいんだぜぇ?」


うーむ。俺が助けていいのだろうか。ラノベだったらここで太一が来てババッとやっつけるんだが。


来ない.......服を脱ぎそうになったら行こ


「........」


「どうしたぁ?叔母さんが大変な目にあっちゃうぞぉ?」


その言葉に、遂に銀髪さんは服を脱ごうと服に手をかけた。


「はいはいそこまで」


「誰だぁ?お前は」


「名乗るほどの者でもない.....うわ思ったより恥ずかしいな。やっぱり言ったほうがいいか...俺の名前はレン・ブレイザーです」


「ガキが。さっさと失せ...ん?その女だけは置いていけ」


スーを見た瞬間にニタニタしだす不良達。


「嫌ですよ」


「あぁ?口ごたえすんのかクソガキが!ぶっ殺すぞ!」


「スーは下がっとけよー」


「......ぅん」


「ほぅ。俺らとやんのか?」


「こいつ馬鹿だなっ!」


「殺りましょう!」


「うらぁぁああ!死ねぇゴハッ....!!」


全員で殴りかかってきたので、風初級魔法の風球ウインドボールをお腹に当てると不良達は2メートル程飛び地面に激突した。


「弱すぎぃ」


「あなたは?」


軽く不良達を倒すと、銀髪さんから声をかけられた


「俺の名はレン・ブレイザー。てかさっき言わなかったか?」


「聞いてなかったわ」


「そ、そうか。あ、叔母さんのところに行ってやったら?多分その扉の先だと思うし」


「そうね。あなたには感謝するわ。レン・ブレイザー...覚えておくわね」


と言い扉を開けて行ってしまう銀髪さん。


あぁぁあ名前聞くの忘れたぁぁあ。あとなんで肝心な時に俺は鑑定を使い忘れるんだぁぁああ!!

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