第20話

「うーん名前....スーはカッコいいと思う名前とかあるか?」


「んー?」


「スーはカッコいいなーとか思う名前ある?」


「えー?きこえなーい」


「スーは!カッコいいなーとか思う名前あるか!?」


「ゆーたー!!」


「嬉しいけど!俺以外でっ!!」


「んー....なーい!」


飛びながらの会話は大声で話さないと聞こえないな。

今結構速い速度で飛んでるし。多分もう少しで王都に着くってくらいには速い。


ちょっと速度落とすか。早く着きすぎても暇なだけだし。観光?んなのいらん。


ゆっくりと飛んでいると、下の方で大きな音がしたので見てみると、馬車が2台と騎士っぽい人が10人くらいと冠被ったおっさんが、デカい魔物数十体に囲まれていた。


鑑定で見るとエビルオーガというオーガの上位種で、ステータスは攻撃力と防御力が400を超えていて、魔法攻撃力以外も300を超えているという近距離専門的なやつだった。


対する騎士達の方は、一番強い人で平均500くらいのステータスを持っていて、他の人は300中盤くらいだった。


数は魔物の方が圧倒的に上なので苦戦している。


よし、暇だし助けるか。


1kmくらい引き返して適当な場所に降りる。

そこから走って行くと、エビルオーガの姿が見えてきた。


「助太刀します!」


「おぉ!どなたか存じませんが感謝します!」


さてと、サクッと殺るか


火の息ファイアーブレス


オーガを火が包み込む。苦しいのかウゴォと唸り声をあげる。

しかしすぐにその声は小さくなっていき、火が消えるころには黒焦げになっていて、すぐに光の粒子となって消えた。


「あのエビルオーガを....しかも群れをあんなに容易く...」


騎士達は唖然としていたがすぐに取り戻し、冠を被ったおっさんの無事を確認していた。



「ルシファス様!どこも怪我はなされていませんか!?」


ん?ルシファス.....?あぁこの人、王様とは分かってたけど、まさかこれから行くとこのとはな。


「あぁ、この通り何ともない。それより、お主らは冒険者か?」


「いえ、違います」


「ほぅ。では冒険者でなければ何故ここに?」


「旅ですかね」


「旅か....お主らはいくつじゃ?」


「えっと15です。この子は10です」


「そんな歳で旅とはな。面白い奴らじゃな。ワシの国に来んか?」


「今から王都ルシファスに行くんですけど、その冠、そしてさっき騎士の人が言ってたあなたの名前からしてあなたは王様ですか?」


「ご名答。ワシが王都ルシファスの王のファルス・ルシファスじゃ。それより立ち話もなんじゃ。馬車の中で話すとしよう」


なんか馬車に乗せられた。騎士達は別の馬車に乗ったので、この馬車にいるのは俺とスーとルシファスだけだ。


「お主らが旅をするのには、理由があるのか?」


「ただ暇なだけです」


「フォッフォッフォッ!気に入ったぞい!」


フォッフォッフォッ!なんかしらんが気に入られてしまったぞい!


「どうじゃ?暇なら王都にある魔法学園に来てみんか?お主の実力ならすぐに上位に入れるぞ?確か2日後に入学試験があるはずじゃ」


ほほぉ。ラノベで結構見る設定じゃないか。面白そうだな。行ってやるか。


「はい!是非!」


「そうかそうか!そこのお嬢ちゃんはどうじゃ?」


「ゆーたといっしょにいるー!」


「うーむ、学園に入る事は可能なのじゃが同じ学年というのは難しそうじゃのう」


「あ、それなら行かないです」


スーとは離れないって約束したからな。


「なっ!?お主はさっき行くと言ったではないか!」


「それはスーと一緒にいれば、です」


「むぅ....その子がさっきのお主の魔法と同等の威力を持たない限りは一緒にはいられないのじゃが、無理じゃろう?お主のあの威力に匹敵するものは学園にも数人しかいないのじゃ」


なんだ。年齢とかの問題だと思ったが、心配させやがって。


「スーも俺と同じくらい強いですよ?」


「フォッフォッフォ!それは流石に冗談が過ぎるというものじゃ」


「スー」


「わかったー!」


スーが馬車の窓から、手を出して「ハー!」というと火の玉が飛び出して、大きさ10メートルくらいの丸岩に当たると、丸岩は辺りに響く轟音を立てて木っ端微塵になった。


ドヤ顔でルシファスを見ると、目を思いっきり開けて口を開いたまま固まっていた。何これ笑える。


「これでいいー?」


「おーいいぞー」


思い通りに言ったのでスーの頭を撫でる。


「えへへ〜」


てかまだ固まってるんですが。


「ルシファス様?ルシファス様〜おーい」


「.....はっ!ここはどこじゃ?」


いやいや古い古い。


「馬車ですよー」


「分かっておるわい。それにしてもお主が言ってることが本当だったとは....しかも2人揃って無詠唱とは何者なんじゃ.....?」


あれ?俺には無詠唱付いてるけどスーには付いてなかったはずだぞ?そいえばゴブリン討伐の日も、あんな感じだったし。俺の鑑定が進化したみたいにスーも進化してるのかな?とスーのステータスを見てみると、

ーーーーーーーーーーーーーーー

スー 10歳 レベル29 ♀


種族:スライム


職業:


HP:170


MP:280000


攻撃力:210


防御力:320000+1+1


素早さ:120000


命中率:120000


魔法攻撃力:160000


スキル

煉獄魔法Lv1

擬人化

擬態化

無詠唱


パル:0


装備

女の子の服(防御力+1)


称号

スライム

召喚魔物

ゆーた大好き

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

だいぶ強くなったなぁ。てかゆーた大好きって称号なのかよ....俺も大好きだよっ!!


「おーい聞いとるのかの?お、そういえばお主ら名前はなんなのじゃ?」


あ、やべまだ名前考えてねぇや。

うーん.....レントを削ってレンでいいか。ブレイズはちょっと変えてブレイザーで。


「レン・ブレイザーと言います」


スーには念話で、俺の名前に関して何も言うなよと言っといた。


「スーはスーだよー!」


「レン君にスーちゃんか。で、改めて聞くがお主らは何者じゃ?」


「唯の15歳と10歳の子供です」


「無詠唱なんてそう使える者がおらん。それにその歳であの威力の魔法。誰かに教わったのかの?」


「山にいる師匠にずっと修行をつけてもらってました」


「その師匠の名前をなんという」


えぇまた名前かよ.....えーっと


「ユウジ・タナカです」


「ユウジ・タナカ....聞いたことない名じゃの」


そりゃ俺の学校の校長先生の名前だし。


そんな感じで馬車に乗ること数十分。


ついに王都ルシファスに到着した。

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