第19話

危ねぇーうっかりバレるとこだった」


まあバレたんですけどね。


とりあえず街に飛んできたわけだが....あいつ凄いなっ!スーが俺の名前呼んでた事が大きいけど、偽装使った俺の正体を見破るとか俺の事好きなのか?


「キモっ!」


「スーがきもちわるいの....?やだぁ...ゆーたにきらわれたくないよぉ....」


「キモって言ったのはスーにじゃないぞ!?スーの事は大好きだからっ!世界一好きだからっ!」


「......ほんとに...?」


「ほんとだ」


「ゆーたー!」


俺が悪いのは分かってるんだけど、たまりませんな!

スーが可愛すぎてしょうがない。


町のど真ん中、みんなに見られても気にしない気にしない。嫉妬の目を向けられようが気にしない気にしない。いや、むしろ最高だね


さて、これからどうするか。偽装で別の姿になるのは確定で、あいつらにバレるのは嫌だしこの国から出ようかな。


なら早速食料とか服とか調達しないと....あ、創造魔法あるからいらないわ。魔法って便利だな。


しかし買うもんいらないってなると暇になるんだが....依頼しようにも、今は行きたいって気分じゃないし。


「スー、なんかやりたいことあるか?」


「ゆーたにずっとギューってしてほしい!」


「いいぞ〜。じゃあとりあえず、宿屋に入るか」


「うん!」


昨日入った宿屋に入り、金を払って部屋に入る。

俺がベッドに座るやいなやスーが飛び込んできた。


「ふへ〜ゆーた〜」


「どうした〜?」


スーの頭を撫でながら答える。


「なんでもないよ〜」


「あはは。なんだそりゃ」


そんな事を話しながら、スーとスキンシップをする事5時間。ずっとスーの頭を撫でていたので俺の腕は痺れて感覚を失っていた。


「スーちゃんやぁ、もうそろそろ終わってもいいかのぅ?」


「んぅ...だめだよぉ......」


気持ちいいのか抱きつきながら顔を俺の胸に擦り付けてくるスー。

何度も言うが可愛すぎだろぉおお!!


「わかった」


結局、スーには勝てずに夕食と風呂以外の時間をずっと撫ででいた俺だった。



翌日、俺とスーはこの国から出るため早朝に起き、朝食を食べた後、門の外へ出た。誰もいない事を確認し偽装で姿を変える。スーも変えたほうがいいかと思ったが、スーの本来の可愛さを弄るのは嫌なのでやめておいた。


「確か北に行けば村があるんだったっけな」


前に冒険者に聞いた事を思い出し、そこへ向かおうと思った俺はステルスで俺とスーを見えないようにして、『浮遊魔法』で空を飛んで向かう事にした。

飛ぶ感覚は初めてなので最初はうまくいかなかったけど暫く練習したら普通に飛べるようになった。スーは飛べないので、俺が抱っこしている。


「すげーなー」


「すごいねー」


下には草原が広がり、見た事ない魔物がいっぱいいて、冒険者がいて、上から見ると異世界に来たんだと再度実感させられる。


慣れたのでぐんぐん加速していき、村までは数キロあるのだが、すぐに着いてしまった。


村の近くに降りてステルスを解除すると、村の方で爆発音がしたので何だろうと急ぎ足で行ってみると、軽装で頭にバンダナを巻いているおっさん達が、家などに魔法で火を放っていた。

多分、てか絶対盗賊だろう。


そして村人と思われる人達は全員中央に集められて縄で縛られていた。


「兄貴、こいつらどうしやすか?皆殺しにしちゃいます?けけけっ」


「年寄りと男は全員殺せ。女は奴隷にして金にする」


「了解ですぜ。けけけっ」


聞いててヤバいなーと思ったので、とりあえず盗賊達の方に向かって火球ファイアーボールを撃っておく。


「どいつから殺して...ウギャァッ!」


死んではないか。うん、ちゃんと思った通りの威力だ。

何故かは知らないが、勇者から逃げた後ステータスを確認するとスキルに手加減が入っていたので力をコントロールできるようになっていた。


「誰だっ!?」


「通りすがりの冒険...いや、冒険者ではないな。うーん....人間だ!」


いや、神だったわ


「そんなの見たら分かるわ!」


分かってないよ!


「あちぃ!あちぃよ!けけけ」


なんだこいつ。なんで語尾がけけけなの?熱くても言っちゃうの?呪いなの?


「おい!お前ら!水魔法だ!」


「清らかなる水よ!この手に集い力を示せ!水球ウォーターボール


「あちぃ!あちうばっぶおがっ........けけけ....」


けけけの人は水球をもろ顔面にくらい、気絶してしまった。てか最後、また言ってなかったか?


「よくもやってくれたなてめぇ!ぶっ殺してやる!」


えっと...全部で12人か。広範囲の魔法で終わらせようかな。

とりあえず、一番威力が弱い火魔法でいこう。煉獄魔法とか使ったら、元々の威力が高いから加減してもこの村くらいは余裕で火の海だろうし。


火の息ファイアーブレス


手を前に出して言うと、手の甲から赤い魔法陣が展開され勢いよく火が噴き出した。


火はあっという間に盗賊達を飲み込むと、その体を焼いていった。


「あつぃいいいっ!誰がぁああ!」


「うがあ....息が......でき.....」


火が消えるとそこには、焼き焦げた盗賊達の姿があった。コントロールしたつもりだったのだが、体全体に火がまわることで息が出来なくなり、皮膚は燃え続けて死んでしまった。


初めて人殺しをしてしまった...罪悪感は勿論ある。しかし落ち着いている自分もいる。この世界に来て俺は結構変わった気がする。いや結構っていうよりほぼだな。種族も違えば、容姿も違うし


「あ、あんたは冒険者か!?」


色々考えていたら、声が聞こえたので向くと、白髪の爺さんが縄を解こうとしていた。


「違います」


冒険者ライト・ブレイズはもう存在しないので、冒険者とは名乗らない。


「そうか。助けてくれたことに感謝する。」


「いえいえ、当然の事をしたまでですよ」


村人の縄を解きながら言うと村人達が頭を下げてきた。


「ほんとうにありがとう。私はナラシャ村の村長のタマキンだ」


おい名前。


「えっと俺の名前は...えーっと、ミジンコ・ダイナソーです」


とりあえず、浮かんだものを言ってみたが.....ひでぇ

あとでこの村でたら、考え直そう。


「ミジンコさんですか。良い名前ですね。」


くそぉ馬鹿にされてる感じがするけど...こんな名前言ったの俺だし、このまま通すしかねぇ


「あはは、それはどうも。ではではこれで俺達は」


村にいようかと思ったけど、家が焼けてるし名前の件もあるしとっとと出ようと別れを告げる。しかし、


「待ってください!ミジンコさん!あなたは私達の英雄です!大したおもてなしは出来ませんが、暫くここにいてください!」


「お、お気持ちは嬉しいのですが、急いでますので」


「そうでしたか。すみませんミジンコさん」


「......え、えっとこの村の近くに町とかありませんかね?クラディ王国以外で」


「ここら辺にはありませんね。馬車で数日かけてならここより北に王都ルシファスがありますが。ミジンコさんはどこへ急がれるのです?」


「........そこです」


「歩きで行くんですか!?ミジンコさん!?」


「..........はい」


「ミジンコさんは村を救ってくれた英雄なので馬車をお渡しできますよ!」


「.............いらないです」


「ミジンコさん!じゃあせめてこの剣を!それかミジンコさんの旅に不可欠である食糧を!ミジンコさん!どうでしょうか!」


「.........」


「ミジンコさん?ミジンコさん!ミジンコさーん!ミジンコさーん!!ミジ「うるせぇぇぇえ!」


なんで会話の一回一回に名前をつけてくるの!?わざとなの!?


「俺もう行きますんで!スー行くぞ!」


「ミジンコさん!私が何かしましたでしょうか!すみませんでした!ミジンコさんの気に触る事を言ってしまって!」


どう考えても俺が悪いんだが、あの人もあの人だよ!


村の外へ出て北を目指す。


あー早く名前考えないとなぁ。

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