第17話
ダンジョンについた俺達は入り口にある、転移陣によって30階層まで一気に移動する。
転移陣はダンジョンの部屋はが端から端まで10km近くあり30階層まで階段で降りると、時間が掛かってしまうと設置したらしい。他にも20階層にも置いてあるが、10階層にだけは初心者冒険者がいきなり飛び込んで死んだら困ると置いていないそうだ。因みに20階層と30階層の転移陣は危険なので許可が必要らしい。
「今からいつも通りチームを組んでもらうが今日は10人のチームを組んでもらう。3チームずつ魔物と戦ってもらい、他のチームはその場で固まって待機。魔物を倒したら次のチームに交代、とそれを繰り返しながらレベルを上げていくぞ」
つまり、俺達冒険者はその3チームに1人ずつ付けばいいってことか。
「じゃあチームを組んだものから、各冒険者の前に並べ!」
「よっしゃ!レミアさんは貰った!」
先にチームを作った無双チームがレミアの所へ行く。
「じゃ、じゃあ俺達はク、クレハさんのところに」
はぁはぁと言いながらクレハの元へ行くのはロリコンとクラスでバカにされてる奴らばかりだった。今思うとこんなにロリコンいたのか。
ははっ、ワロス
「えぇ〜あたしのチームこの人と〜?」
えぇ〜俺のとこ来るの富澤〜?
「助谷〜、レミアさんと変わってよ〜」
「先に取ったもん勝ちです〜!ざんね〜ん!」
おい俺が傷付くからやめろ。あぁこんな時スーを抱き締められたら。
と、思ってるとスーがポケットから出てきた。大きさもいつもの大きさに戻っている。
何で俺が解いてないのに元の大きさに戻れるかというと、今朝スーには大小魔法を自分で解けるようにしておいたのだ。しかし必要な時以外は人前で大きくなるなよ、と言っといたはずなんだけど。
「ゆーた、ギューってしてほしーの?」
とスーが俺の腰に手を回して、抱きついた後、上目遣いで言ってきた。
あ、俺の思ってたことが召喚魔物のスーが感じちゃったのか。
てかヤバい。スーちゃんマジで可愛い。
だから、生徒の全員に見られようがお構いなしにスーを抱き締め返す。ついでに頭も撫でる。
「えへへーゆーたー」
スーは嬉しそうに顔をスリスリと擦りつけてくる。俺も手を止めない。
「ちょ、ちょっと待てお前!そこの子は何だ!」
と2人でいちゃいちゃ(俺はそう思っている)しているとガルドから制止の声がかかる。
「あー、俺の連れです」
今思えばギルドマスターにスーの事を聞かれた時も普通に連れとか仲間とか言えば良かったのかもしれない。いや、どっちにしろスーが恋人って言ってたかもしれないから結局結果は同じだったのかもしれないけど
「いつからそこにいた!?」
「え、えっとですね、さ、最初からいましたよ?スーは影が超薄くてですねー、普通の人が視認するまで30分以上掛かるんですよ〜」
「そうなのか....?」
「そうです!」
「そうか」
何とか納得させられたようだ。
「や、やっぱり俺達、レントさんのとこ、い、行こうかな〜」
と動き出したのは、ロリコン軍団。
クレハよりスーは幼く、可愛さは異常なのでロリコンじゃない人もみんな頬を朱に染めていた。
無双も「レントさんと変わってやるよ!」といいはり、ロリコン軍団と上位カースト軍団の睨み合いが始まった。が
「お前ら、さっさと行け!冒険者の3人が迷惑してるだろうが!」
と、ガルドの一喝で、静かになり、そのまま変更無しで行くことになった。
ここら辺には魔物がいなかったので、俺達は3方向に散り、森の中へと入っていく。
「ちょっと〜ほんとにあんた役に立つの〜?」
さっきからこいつうるさいなー、スーがちょっと怖がってんじゃねぇか。
「じゃあ帰れ」
実際、暇潰しに来たわけだし、白金貨だってギルドの依頼をしてればすぐに手に入る。だからここであいつらが怒って帰って、ガルドにチクったところで別にどうでもいい。
「あ、帰っていい〜んだ?ガルドにチクっちゃお〜っと」
と周りの女子達と笑い始めて、女子全員が帰ろうと後ろを向いたその時だった。
「ガルルルルルッ!」
唸り声を上げて出てきたのは、体長が2メートルくらいで目が一つの全身漆黒の毛色をした狼の魔物で名前はダークウルフというらしい。
鑑定で調べてみると、どれも能力値が高く一番高い素早さは700少しあった。これくらいの強さの魔物がこの階層に何体もいたらそりゃS級もギリギリだわな。
「狼じゃーん!何これ目一つしかないんですけど〜!ウケる〜!」
自分よりもデカイ相手を目にしても全く動じない富澤。ある意味尊敬するわ。
しかし、それも一瞬のことで、ダークウルフが一声吠えると、女子全員が竦み上がってしまった。
ダークウルフのスキル『威圧』だ。
「ちょ、ちょっとあんた!早く助けなさいよ!」
さっきまでの余裕はどこへ行ったのか、焦りだす富澤。
スーを怖がらせた罰だ。ちょっと意地悪しちゃおーっと
「え〜でもぉ、俺弱そうって言われたしぃ。てかその弱そうな俺に頼る勇者様とかマジウケんだけど」
きゃはは〜っとギャルっぽく笑ってみせる。
「真似するとかマジキショイんだけど。てかガルドから私達を命掛けで守れって言われてるんでしょ!?さっさと私達の為に死になさいよ!」
「ゆーたしんじゃめだよ?」
富澤の死になさいに反応したのか、怯えてずっと抱き付いていたスーが顔を上げ、上目遣いで言ってきた。
あ、俺スーの為なら死ねるわ。まぁHP∞のせいで死ねないんだけど。
「大丈夫。スーを1人にはしないから」
「やくそくだよ?」
「おう!約束だ」
「あんたら、こんな状況で何やってんのよ!早く囮になりなさいよ!」
は?何言ってんだこいつ。お前のせいだろ。
つかここに来た理由ほんとはわかってねーんじゃねぇの?
「おいおい、何で逃げるみたいな流れになってんだ?」
「だってあんなの勝てるわけないでしょ!」
まぁ確かに今のお前らじゃ無理だな。
「俺達はここにレベル上げに来たんだろ?なら倒すしかない」
「どうすればいいのよ!」
今思ったけどギャルって焦るとギャル語じゃなくなるんだな〜。
「俺がHPを残り少しまで削るから、お前らでトドメをさせ」
確か、トドメをさした人が経験値を貰えたはずだ。
チームを組んでる場合はその全員に経験値がいくっていう話も聞いたな。俺は付いてるだけだから俺が倒したところであいつらには経験値はいかない。
「あんたに出来んの?そんなひょろひょろの体して」
「俺はS級だぞ?こんなの余裕余裕」
うん、マジで余裕。なんならドラゴンも余裕なまでもある。
「じゃあ、さっさとやんなさいよ」
と、みんな立ち上がり、剣を手にする。
じゃあそろそろウルフに掛けた『威圧』解きますかね。
お前らが動けるのは俺のおかげだぞ?俺が『威圧』をウルフに掛けたから富澤達に掛かっている『威圧』が解けたっていうわけだ。
「グルルルァァアッ」
『威圧』を解くと同時ウルフが襲い掛かってくる。
前脚の鋭い爪で喉をかっ切ろうと俺の喉元を狙って飛んでくる。それを横に躱し、ゴブリンに打った時よりも力を抜いてウルフの横腹にデコピンを打つ。
ウルフはグギャッと声を上げて、飛んで行ってしまった。
・・・てへぺろ♪
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