第15話

翌日、俺とスーは朝食を食べ、ギルドへ向かった。

なぜか擬人化を解かないスーだったが、そっちの方が俺は好きなので何も言わない。


ギルドの扉を開けると、俺の事を一目して昨日のギルドの受け付け嬢が駆け寄ってきた。


「ブレイズ様、昨日の件でギルドマスターからお話があるそうなので、応接室へ来てもらえますか?」


ランクを一気に上げてくれるとかそういう話だったら嬉しいな〜


「はい、分かりました」


と、受け付け嬢の後に続き、ギルドの2階へと上がっていく。途中、昨日何があったか知らない冒険者が「昨日アイツ何かしたのか!?まさか俺の受け付け嬢さんに何かしたのか!」とかバカな事を言っていた。受け付け嬢さんに何かしたなら、受け付け嬢さんが俺の近くにいるわけないだろう。。てか受け付け嬢さん、誰にも名前教えてないのか?俺の受け付け嬢さんって....ププッ


応接室の前に着くと、受け付け嬢はスーを見て「スーちゃんはここでお姉ちゃんと待ってよーね〜」と笑顔で言う。受け付けの方は大丈夫なのか?


「ゆーたと一緒にいる!」


しかし、スーは俺の腕を組むと首を振って拒否した。

うんわかってました。スーちゃん可愛い。


「スーもこう言ってることだし一緒に入れてもらってもいいですか?」


「.....はい」


何で残念そうにしてるんだよ。まさかスーと一緒にいたかっただけか?


中に入ると俺がイメージしてた通りの筋肉質の図体がでかいおっさんがいた。この人がギルドマスターか。


「お前がレント・ブレイズだな?まあ、座れ」


何だこいつ、初っ端から態度でかいな。まぁラノベだと大体そうなのであまり気にしないが。

おっさんが座っている椅子のテーブルを挟んで正面にある椅子に座る。俺が座るとスーも俺の膝上に座る。


「むっ、何だ?そのガキは?」


「あ、俺の....俺のなんですか?」


「俺に聞かれても知るわけがないだろう」


スーは俺の娘的存在だけど、娘と言ったら俺は5歳で、産ませた事になる......ナニソレ超人ですか?


「スーはゆーたの恋人!」


なるほどその手があったか!ナイス!


「さっきのは単なるおふざけ、スーは俺の恋人です」


「そうか。お前はロリコンだったのだな」


「ロリコンで何が悪い!」


ていうか俺はまだ15だぞ?10歳と恋人同士って5歳しか変わらないじゃないか。TVなんかでは60歳と25歳が結婚したなんてのニュースも見たことあるぞ!それに比べてたったの5だぞ?これだけでなんでロリコンと言われなくちゃならない......すみません言い訳って事は分かってます。


「い、いや悪いとは言ってないが...」


いきなり大声を上げてしまったのと、その内容におっさんは軽く引いてしまっている。


「で、俺に話って何ですかね?」


俺が話を戻すと、おっさんも俺がこの部屋に入ってきた時に見た真剣な表情に戻る。


「実は今日、お前を呼び出した理由だが昨日私は用事でいなかったのだが、ここでお前とライト・スピーダーが戦ったと聞いている。スピーダーはSランクだがお前はそれを圧倒したらしいな。だからお前のランクをSランクに上げ「お願いします」たいとお....早いぞ!」


即答だった。


「ではこちらでSランクへしておく」


こうして俺は2日目にしてSランクになってしまった。

冒険者倒してランク上げるのって依頼クリアより手っ取り早くていいな。SSSランクでも倒そうかな?まぁこの国にはいないらしいから無理だけど。


応接室から出て、階段を降りると昨日のハゲのおっさんがいた。


「よお!レント!」


「あ、えーっと」


この人の名前って何だっけ?てか言ってないよな。


「あぁ悪い悪い。昨日言ってなかったな!俺はゴルド・ガレンって言うんだ。改めてよろしくな」


「ゴルドさんですね!こちらこそよろしくお願いします!」


「で、2階に行ってたみたいだが何かあったのか?」


聞いた話によると、2階はギルドマスターと話す時だけ行けるらしい。


「えっと今日からSランクにしてくれるって事になりました」


「なぁぁぁあにぃぃぃ!?冒険者になってまだ2日しかったてないのにもうSランクだとぉぉぉお!?」


Sランクになったと伝えた途端、ゴルドはギルド内に響く大声を上げて驚いた。


そのゴルドの声を聞いた冒険者は驚き、俺のところへアリのように群がってきた。

俺の周りに人が集まってくるとスーが怯え始め、俺に抱き付いてきたので撫でる。それを見た冒険者は驚きと共に嫉妬の目線を向けてくる。何だろうこの優越感。さいっこーだね!


「はい。何か昨日の件で、S級に上げてくれるって話になりまして」


「昨日の件ってなんだ?」


「昨日な、このレントはなーー」


昨日の事を知らない冒険者が聞いてきたので、話そうとしたら代わりにゴルドが話してくれた。

ゴルドの話を聞くと、昨日いなかった人達は「あのライトをか!?」ととても驚いていた。


「俺はそろそろ失礼します」


そろそろスーが可哀想になってきたからギルドから出ることにした。途中、話をしたいとかパーティ組んでくれとか言われたが、無視する事にした。


今日は依頼を受けにきたのだが、今はギルドの中には入れない。なので暇になってしまった。


「スー、行きたいところとかあるか?」


「ゆーたといっしょにいたい!」


「もちろんずっとスーといるよ?」


「やったー!」


俺がスーから離れるわけないだろ。ていうかこれじゃ行きたいとことかじゃなくて唯の要望だな。


スーとそんなことを話しながら、あてもなく適当に歩いていると、冒険者が何やら密集しているところを見つけたので行ってみる。


しかし、行ってみたはいいが後ろからじゃ何も見えないので人を掻き分けて前へ行くと、そこには掲示板があった。


「なんだ。ただの掲示板か」


と落胆した俺だったが、掲示板に貼られている紙の内容に目を丸くした。


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【勇者の警護】

募集人数:30人

指定ランク:A以上

報酬額:白金貨

集合場所:城門前

集合時間:10:00

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