第12話

とりあえず何かの依頼でも受けるか、と依頼の紙が貼ってる掲示板へ向かった。掲示板の前には冒険者達が密集していて何とも通りづらかったが、何とか掲示板の前に行くことができFランクの依頼を見る。


<スライム5体の討伐>


生息区域:城下町周辺


報酬金:500パル


<薬草10枚の採取>


採取場所:城下町周辺


報酬金:100パル


Fランクやっぱショボェ.....。

500パルってもうお小遣いレベルじゃん。子供でも倒せちゃう簡単な依頼なんじゃないのか?


スーがポケットから顔を覗かせてスライム討伐の文字をみると「キュゥ」と弱々しく泣くので、スーは討伐されないから大丈夫と慰め頭を撫でてやる。まずスー倒せる奴とか限られてくるし....


もっと稼げるのはないかと探すが、所詮Fランク、一番高いのでも1000パルだったのでFランクの依頼を受ける事は諦め、1つ上のEランクから探すことにした。


<ゴブリン5体の討伐>


契約金:100パル


討伐場所:城下町周辺


報酬金:5000パル


<一角ウサギ3体の討伐>


契約金:100パル


討伐場所:城下町周辺


報酬金:2000パル


お、定番のゴブリンがあるじゃないか。しかも意外と多いぞ。これなら今日の宿代は払えるだろう。


依頼書を取り、受け付けに持っていく。


「これ受けたいんですけど」


「あ、ブレイズ様ですね。いきなりEランクで一番難易度の高いものを選ぶとは.....はい手続きが完了しました。ご武運を」


契約金を払い俺達は城下町を出た。





町を出ると少し遠くに林があった。

町を出ても、冒険者達が結構いるとおもってたのだが見かけたのは数人ほど。まあ城下町周辺の依頼はFかEくらいなんだろう。だからこんなに数が少ないと納得する。


林へ入り誰もいない事を確認すると、スーをポケットから出して大小魔法を解き、擬人化をしてもらう。

今は勿論裸なので創造魔法で服を作りそれを着せる。

ミニスカ...可愛いです


そんな事を考えていると、グギャギャという声と共にゴブリンが2匹飛び出してきた。


せっかくだしスーに戦わせてみよう。


「スー、あいつら倒していいぞー」


「わかったー!」


スーは両手を前に次出すと手を開いて「はー!!」と声を上げた。

すると手の平から炎の光線が出てゴブリン達の体を貫いた。その光線が貫いただけでは止まらなく、直線上にいた魔物や木々を全て貫いて消えた。

当然炎の光線なので木が燃えるわけで後処理が大変だった。

にしても怖いです。問答無用で殺せるスーちゃん怖いです。召喚したとはいえ、一応魔物だから仕方ないかもしれないけど。

今のでゴブリン2体を除く数体の魔物も倒したので、俺のステータスカードに金や素材が入ってくる。ざっと1000パルくらいだった。魔物はたいしてパルを持っていなかった。


「スーちゃん凄いねー」


「えへへー、ゆーたのやくにたててうれしいー」


純情スマイルで言ってくるもんだから、ゴブリン殺したとかどうでもよくなって撫でる。でも


「スーちゃん、次からは軽い魔法で倒してみよっか」


あんなのをずっと出されたら後片付けが怠いし、それにこの林が無くなる。


「わかったー!」





数時間狩りを続けると夕方になっていた。


もう帰ろうかと歩き始めたところでゴブリンの声が聞こえたので向かってみると、100mくらい先でスーより少し大きい150cmくらいの青髪の少年がゴブリンと戦っていた。


ゴブリンのHPをみるとまだ半分も減っていなかったが、少年は手や足が腫れている。おそらくあの棍棒で殴られたのだろう。


助けに行った方がいいかな?と思ってるとゴブリンが動き出した。


ゴブリンは少年に飛び掛かり棍棒を振り下ろす。少年はすんでの所で避け、手に持っている剣でゴブリンの額を突き刺そうとしたが、ゴブリンは棍棒を持っている逆の手で、少年の剣を持っている手首を掴み思い切り蹴り飛ばした。2mくらい飛び、倒れる少年。

ヤバくね?と思い少年を鑑定で見ると少年のHPが残り僅かだった。


俺は一瞬でゴブリンの前に着くとデコピンでゴブリンを弾き飛ばした。その衝撃で後ろの木々が倒れてしまう。

あ、やっベー手加減したつもりなのになぁ


スーは横にいた俺が消えてオドオドしている。


「スーこっちだー!」


とスーを呼ぶと、スーが全速力で俺の胸元に飛びついて来た。


「びっくりしたよぉ....ゆーたもういなくならないでよぉ」


一瞬いなくなっただけなのにこれとは...可愛いですねはい。


「ごめんな。もういなくならないから」


頭を撫でながら言うと、「やくそくだよ....?」と上目遣いで言ってきたので、スーを抱き締めながら一生離れないと心で誓う俺だった。


「おっと忘れてた。こいつを回復させないとな」


倒れている少年、さっき鑑定で見たが名前はリーク・キャルバというらしい。


ーーーーーーーーーーーーーーー----

リーク・キャルバ 12歳 レベル4


種族:ヒューマン


職業:剣士


未転


HP:53


MP:7


攻撃力:33+13


防御力:24+5+1


素早さ:20


命中率:19


魔法攻撃力:8


スキル:連続切り


所持パル:200


装備品

鉄の剣(攻撃力+13)

皮の鎧(防御力+5)

靴(防御力+1)


称号

冒険者

----------------

回復魔法で回復させた後もう一度鑑定を見た俺は驚く。


なんか情報が追加されてる!?

一体何が.....ま、いっか。


「ぅ...ぅうん....」


「お、大丈夫か?」


「だいじょーぶ?」


「....あ、貴方達は?」


「通りすがりの冒険者さっ!俺はレント、レント・ブレイズだ」


「スーはスーだよー!」


「!!ぼ、僕の名前はリーク・キャルバと言います!」


ん?こいつスーを見た瞬間に赤くなって.....あー、なるほど。なるほどね〜


「リークもゴブリン討伐の依頼受けてんのか?」


「は、はい!!も、てことはブレイズさんと...ス...スーさんもゴブリン討伐の依頼を受けているんですね」


リークは話しながらチラチラとスーの方を見ている。そしてスーはそれに気付いていない。


「まぁそうだな。てことはリークってFかEランクの初心者冒険者って事か?」


「はい!最近...ぼ、冒険者になりまして....ま、まだFランクです」


とりあえずスーが好きって事はわかった。だがしかし!俺は無視するぞ!叶わぬ恋なんて応援するだけ無駄だ


「俺達は今日冒険者になったんだ」


「え!!初日からゴブリンですか!?しかも武器も持ってないのにですか!?」


「少し腕に自信があるんでな」


「そうなんですか」


「ゆーたーもーたおさないのー?」


「カード見たら300体倒してるっぽいしとりあえず今日の分はいいや。帰ろうか」


素材やパルもたんまりだ。


「わかったー!」


「てことだ、リークじゃあな」


「ま、待ってください!」


「ん?なんだ?」


「い、いえなんでもないです。助けていただきありがとうございました」


おそらくまた自分がやられるだろうから、手伝ってくれと言いたかったのだろうが、助けてもらった手前、言えないのだろう。


「そうか」


助けた人が死ぬのはいやなのでリークの剣に少し細工をしておき、俺とスーは城下町に戻った。


----------------

優汰とスーが去った後


「スーちゃんっていうのか、あの子。可愛かったなぁ」


ポツリと呟く。


(これからどうしよ。僕じゃまだゴブリンに勝てないし....)


リークは少し考えたあと。依頼を破棄しようと考え、城下町に戻る事に決めた。


しかし歩き始めた途端


グギャギャ


と3匹のゴブリンが草の茂みから現れた。


(どうしよう。1体にも勝てないのに。僕はここで死ぬのかな・・・)


「ぐギャァ!!」


ゴブリンの1体が飛び出してリークに襲い掛かる。


しかし


(あれ?遅いぞ?)


と思いながら、スッとかわすリーク。


残りの2体が飛びかかろうとするも、やはりかわす。


(これは勝てるかもしれない)


そう思ったリークは一歩踏み出してゴブリンを斬ろうと剣を思い切り振り下ろした。


振り下ろした剣は、驚く事に空気を斬るような感覚でゴブリンを真っ二つにした。


残りの2体も同じように真っ二つにした。


(なんでさっきまで倒せなかったゴブリン達がこんなにあっさりと)


嬉しいは嬉しいのだが疑問に思ったので、ステータスを見る事にした。


「ステータスオープン」


----------------

リーク・キャルバ 12歳 レベル6


種族:ヒューマン


職業:剣士


未転


HP:53+1000


MP:7+1000


攻撃力:33+1000


防御力:24+1000+1


素早さ:20+1000


命中率:19+1000


魔法攻撃力:8+1000


スキル:連続切り


所持パル:200


装備品

鉄の剣(オールステータス+1000・自動HP回復・自動MP回復)

皮の鎧(防御力+5)

靴(防御力+1)


称号:冒険者

----------------

「ええええ!?」

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