第8話
太一が部屋に戻った途端、暇になった。
王女から聞いた話だと夕食まであと1〜2時間あるからそれまでやることがない。もう一度寝ようかと考えたが、数時間寝たせいで全く眠りにつくことができなかった。
何をしようと考えていたら、ふと今朝の事を思い出した。
スキルで遊ぼう
今朝は創造魔法を使ったので、次は何を使おうかなとスキル一覧を見る。
ステータスカードに乗り切らなかった、スキルがそこには記されていた。
その中から召喚魔法を使ってみようと俺は思った。
まず暇なのは1人だったからだ。なら1人という条件を排除すればいい。と考えた。
何を召喚するか考えてなかったので、取り敢えずスライムにすることにした。
魔法は詠唱をしなければ使えないのだが、俺には無詠唱というスキルが付いているので問題ない。
右手に魔力を込めつつ、頭の中でスライムを思い描く。
すると目前に淡い光を出しながら魔法陣が展開された。グルグルと回りながら輝きを増していく魔法陣。そしてピカッと一瞬この部屋を覆うようにして光が爆ぜるとプルプルした生き物がいた
スライムだ。
しかし俺が今日戦ったスライムとは違う点が幾つかあった。
まず色だ。ダンジョンのスライムは青かったのだが、このスライムは何故かピンク色だった。
次に形だ。ダンジョンの方はドロドロしてマジで液体って感じだったのだが、こっちはプルプルとしていて形を保っている。
更にダンジョンスライムには無かった目があり、とても可愛らしく、今すぐ抱きつきたいと思うほどだった。
スライムは、俺の方を見ると、「キュー」と鳴いて胸に飛び込んできた。これがスラ・ス◯ライクかとドラ◯エのスライムが使っていた技を思い出した。
暫く撫でていると、スライムが俺の顔を見てきたので、何だろうと思ってると、頭の中にスライムが考えていることが流れてきた。
「お前、名前が欲しいのか?」
「キューッ!キューッ!」
別にスライムでよくね、と思いつつ、名前を考える。
てか性別どっちだろう。見た目的にはメスっぽいけどもしかしたらって場合もある。
俺は鑑定でスライムを調べた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
スライム 10歳 レベル1 ♀
種族:スライム
職業:
HP:10
MP:100000
攻撃力:50
防御力:100000
素早さ:50000
命中率:50000
魔法攻撃力:60000
スキル
火炎魔法Lv 1
擬人化
擬態化
ーーーーーーーーーーーーーーー
メ◯ルスライムかよ!!と内心で突っ込みを入れる。それにこのステ、太一より強えぇ。
更にいえば何故に10歳なんだ.....。
性別はメスであっていたらしい。
「メスなら....うーん、スーでどうだ?」
簡単だなぁと若干思いながらスライムに聞いてみた。
「キューッ!」
とスライムは嬉しそうに鳴くのでおそらく気に入ってくれたのだろう。
名前を決めたところで、スーのスキルで気になるものがあったので、それを見る
擬人化
「スー、擬人化ってのをやってみてくれないか?」
こんなに可愛いスライムが人型になったらどうなるんだろうと期待の眼差しでスーを見る
「キュッ」
スーは頷き、俺の膝上から降りると、一声「キュゥッ!」と鳴いた。
するとボンッとスーのまわりに煙が立ち込めスーの姿が見えなくなったが、煙が晴れるとそこには、まだ幼い女の子がいた。
肌色はピンク色ではなく、人間に近い色をしており、髪はピンク色で腰上辺りまで伸びていて整った可愛らしい顔立ちをしている。
「これが擬人化か」
ポツリと呟く。
「ゆーたー!!」
どうやら、擬人化すると人の言葉を喋れるようになるらしい。まぁスーが考えている事は頭に通達されて分かるから喋らなくてもいいんだが、喋った方が可愛いのでよしとする。
「うおっと」
スーは俺の名前を呼ぶとガバッと胸に抱き付いてきた。これはスラ・ストライ◯に入るのだろうか。などとどうでもいい事を考えながらスーの頭を撫でる。
「エヘヘーゆーたー」
撫でられて気持ちいいのか、目を細めて頭をスリスリと胸に擦り付けてくる。
・・・可愛すぎる。スーはなんか1人の女とかじゃなくて娘って感じがする。だからだろう、擬人化してからずっと裸でもなんとも思わないのは。
スーも自分が裸なのは気にしていないようで、今は俺の体に僅かに膨らみがある胸を体ごとくっつけている。
俺はこういうのに憧れていたのだが、スーは娘のような存在だし、まず自分が召喚した魔物なので、俺のオレが反応する事は無かった。
スーの髪を撫で続けて数十分、そろそろやめてもいいかな〜と思うのだが、スーが気持ち良さそうにするので、やめれない。
更に数十分が経った。スーはまだ抱き付いたままだ。
更に数十分が経った。スーはまだ抱き付いたままだ。
そろそろ晩御飯の為メイドが呼びに来る時間なので撫でるのをやめる。今朝のメイドに見られたら完全犯罪者と思われるかもしれないしな。
「スー、そろそろ降りてくれないか?」
「だめー!ゆーたもっとナデナデする!」
「あとでしてあげるから、な?」
「うー」
なんとか納得してくれたようで、俺の膝上から降りてくれた。
さて、まずスーをどこに隠すかだな。誰かにスーの姿を見られたら、一緒にいる俺が死ぬ。擬人化を解いても、もし見つかったら言い訳がきかない。
ポ◯モンみたいにモンスターを収納出来るボールがあればいいのに.....
「スー、戻れ」
「どうしたの、ゆーた?」
ポケ◯ンみたく言ったのだが、どうやら戻らないようだ。
「いや、なんでもないぞ、それよりスー、一旦擬人化を解いてくれ」
「分かったー」
擬人化は解いたはいいが、このスライム状態で見つかるのは、幼女姿で見つかるのよりヤバいな。
幼女だったら俺が変態で済むだろう.......死ぬな、社会的に。しかしスライム状態だったら、こんなスライム多分世界中探してもいないので召喚魔法を使ったのかと、疑われてしまい、勇者はステータスカードには載らない何かの力を持っているのでは、と思われてしまう。そうするとあとあと面倒だ。
スーがもっと小さければすぐに隠せるのに....
魔法でどうにかならないかと、俺は自分のスキルから大きさを変えられる魔法を探した。
大小魔法
それっぽいのが出てきた。説明を見てみる
大小魔法
生物や物質の大きさを変えられる。大きさを変える物の大きさによってMPを消費する。
そのまんまだった。俺はMP無限だから、なんでも大きくしたり小さくできるわけか。もう慣れちまった.....チートに。
大小魔法で小さく出来る事が分かったので、スーが小さくなるように念じる。するとスーの大きさがみるみる小さくなっていき、手のひらサイズまでになった。
「スー、しばらく俺のポケットに入ってもらうけどあまり大きな声出しちゃダメだぞー」
「キュゥ」
スーを服のポケットに入れると、待ってましたと言わんばかりに丁度なタイミングでドアがコンコンとノックされる。
そろそろ晩御飯かなと思いながら、ドアを開けると今朝とは別のメイドがいた。
「石崎様、夕食が用意なされていますので食堂へおいでください」
メイドはそれだけを言うと食堂の方に行ってしまった。
素っ気ないなぁ。ま、今朝のいきなり入ってきたメイドじゃなかったから良かったんだけど。
「じゃあ、スー絶対に喋るなよ」
「キュッ」
俺が小声で確認するとスーも小声で返してくれた。分かってるじゃないか。うんうん。
確認を取ったあと俺達は食堂へ向かった。
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