第5話

「えっとー、こっちの方向で合ってるよね?」


「わかんねぇ.....」


「えぇ...」


今、現在僕達は絶賛迷子さんでした・・・


でもな!誰だって迷子になるぞこれ!だって歩いても歩いても周りは木ばかりで全然景色変わんないし!


「あー、もう1回でっかい声出してくれないかなー」


「そんな都合良くはこないだろ」


その時先程とは比べ物にならない咆哮がこの階層に響いた。


グルァァアアアアア!!


「フラグ回収キタァアアア!!」


「よし!あっちの方向だ!行くぞ優汰」


「おう!」


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「優汰・・・あれってー」


咆哮が轟いた場所へ向かうこと数分。俺達は遂にその魔物を見つける事が出来た。


「おう!ドラゴンだな!」


つかこの世界の神ってテンプレ好きすぎだろぉ!ラノベ読んでるのか?そうなのか?


俺が神?あー・・・


グルァァアアアアア


「近くで聞くとうるせぇなー」


「だなー」


「じゃああとはお前に任せた!」


「おう!任せろ、優汰は木陰に隠れてな!」


「木陰に隠れろって言われても、木が周りに無いけどな!」


「じゃあ適当にそこら辺で待ってろ」


「へーい」


そう言って俺はドラゴンと対峙する太一から離れる。ドラゴンは離れる俺を一目すると、こちらへ向かおうと太一から俺の方を向くように替えたが太一がすぐに俺とドラゴンの間に入ってドラゴンが俺の方に来るのを阻害する。


グルァァアアアアア!


と咆哮を飛ばしたあと、ドラゴンが前両足を上げ、一気に振り下ろす事で太一を押し潰そうとする。


が、太一はこれをなんなく回避する。太一のいた場所にはドラゴンの前足が叩きつけられ、その衝撃で爆音のような音と砂埃が盛大に巻き上がった。


「遅くね?」


太一は余裕なのか微笑しながら言った。それがドラゴンを怒らせたのか、ドラゴンは咆哮を飛ばしながら、先程と同じ攻撃を数段増した速さと威力で太一に襲い掛かった。


しかし、また太一に躱される。その直後、隕石が落ちたような爆音がこの階層を支配した。耳を劈くような爆発音に砂埃も盛大に巻き上がり、辺り一面が数瞬見えなくなった。


その瞬間ドラゴンは俺に向かって全速力で襲い掛かってきた。


太一も砂埃に気を取られたのか反応が遅れてしまい追いつく事が出来なかった。


が、太一は人差し指を上へ向けてから下にくいっと下げた。


その瞬間、ドラゴンを地に押し潰そうと重力が何倍何十倍となる。『聖圧』だ。


ドラゴンは地に張り付き、もがき苦しむ。


「お前の相手は俺だ」


太一は、右手を前に出し魔法陣を展開させ『聖成』と呟く。すると、魔法陣からは全身漆黒に染まった、聖属性とは疑わしい聖剣がその手に出現する。


「なぁそれって聖剣?」


「おう、よくわかったな」


「聖剣とは思えない色だけどお前が聖属性の魔法使うから

そうなのかなって」


「俺も初めて出したんだが、想像したものとだいぶ違くて若干ビビってるよ」


太一も聖剣とはいえない色に驚いていたようだ。


「まあかっこいいしいいじゃん」


暗黒の剣みたいでなんかカッコいい、なんて思ってしまった。


「使えたら俺は良いんだけどな」



グル...ルルル...アァ


「まだ生きてたのか」


聖剣の話をしている途中にドラゴンの呻き声的なのが聞こえた。


「さーて殺す前に準備運動」


太一は漆黒の聖剣を手に素振りをしている。聖剣は軽いのか振りながら「軽いな」と呟いている。


太一がドラゴンの前で素振りを初めて、今更かよとか色々と突っ込みたくなったが、余裕なんだろうなと思い、突っ込むのをやめた。


それにしてもどうするか。何もすることがねぇ・・・


暇潰しにアイツのステータスでも見ようかな。鑑定と念じる。


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ブラックドラゴン 128歳 レベル132 ♂


種族:竜


職業:


HP:1200/20000


MP:11980/12000


攻撃力:7000


防御力:8000


素早さ:6900


命中率:6500


魔法攻撃力:7700


スキル

煉獄魔法MAX

竜の咆哮

威圧

ブレス

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おぉ、ステータスたけぇ。HPとMPは太一よりも多いし、竜特有のスキルもあるな。気になるのは煉獄魔法ってのだけど......


煉獄魔法

火魔法の最終派生。火魔法をLvMAXにすると火炎

魔法を覚えることができ、火炎魔法をLvMAXにすると覚えることができる灼熱の魔法


ありがとう説明さん大好きだよ!


説明見る限り強いな。けど何で使わなかったんだろ。太一が『聖圧』使って動き止めてたからかな?


つかよ、ステータス見たら竜人で女の子でしたーなんて展開にはならなかったな。ちょっぴり残念


「よしこんなもんか」


声のする方を向くと太一が聖剣を自分の体の一部のように器用に操っていた。慣れるの早いな。さすが勇者。


太一は今にも息絶えそうなドラゴンの首を聖剣で横一閃に斬り飛ばした。ドラゴンの皮膚は鱗などで覆われていてとても強度なのだが、聖剣はあっさりと切断してしまった。


「ドラゴン弱ぇぇぇ」


「お前が強すぎなだけな!」

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