第4話

目の前ではゴブリンに殴られた太一が、倒れていた。ゴブリン達が、棍棒で突付いたりしているがピクリとも動かない。


 主人公ポジションが死んでしまったぁぁぁぁあああ!!


大体の主人公最強系ラノべのの主人公最強系ラノべの主人公達って、主人公が最強になっても魔王とか神は興味ないって言ってるけど最終的に戦うよね?今太一がいなくなったら誰が戦うって言うんだ!?


俺?やだよ面倒くさい


そんなことを考えていたら、いつのまにか太一を囲うように純白の魔方陣が発現していた。


発現したのを目視してから数分経つと太一の体に異変が起き始めた。


 まず太一の腹部辺りから黒い鎖のような物が出てきて、空中に浮かぶと、魔法陣から発せられる光に灼かれるようにジリジリと焼き消されていった。


 そして太一の髪が黒髪から銀髪になっていった。


うわぁ。かっけぇー。偽装使えるから出来ると思うけど。


「んん、あれあの女の子は?」


 あ、起きた。おい、つか今なんて言った?女の子だと?早速、神とかそういう感じのと会ってきたのか。ラノべ読んでなかったら女の子?夢見てたのか、とか思うな多分。


 あと目が紅いよ...神ってテンプレが好きなの?そうなの?


「グギャギャギャ」


あ、ゴブリンいたんだった。3体もいるのに忘れてた…


太一もゴブリンの事は目に入っていないのか、ブツブツと何か言っている。


「「「グギャァッ!」」」


無視されたのが頭にきたのか、ゴブリン達が太一へ向かって一斉に襲いかかった。


分かるよ無視されたときの気持ち。

俺もね1つ下の妹がいてね。、反抗期なのか喋りかけても無視するんだよ。でね俺もムカついたから、たまーに向こうから喋りかけてくる事があるからそれを無視したんだよ。そしたらさ?無視すんな!って思いっきり蹴ってくるんだよ?酷くない?.....おい妹に蹴られるなんてむしろご褒美とか思ってるやつら、妹は昔から空手やってるから洒落になんねぇからな。


「ん?あぁゴブリンか」


前方、右方、左方から一斉に襲いかかってくるゴブリンに気づくと、太一は右手の人差し指を上に向けてから下にくいっと下げた。


すると、ズドンという音を立ててゴブリン達が急に地面に押し付けられた。


「「「グギ.....ギググ」」」


何かに押し付けられるようにゴブリン達は地面に張り付いている。

やがてピキピキと地面にクレーターができていく。


ゴブリン達は遂に押し潰され、体から血が噴きでた。


「うわぁグロいなぁ」


「!?誰かいるのか」


あ、やっべ声だしてたか。まぁでもいいか。もう太一本来の力使えるようになったし、


「あぁ、俺だよ俺。木陰からのぞいてました~」


「優汰か、全然気配がなくてびっくりしたぞ」


まぁ気配押し殺してたし、隠蔽魔法使ってたから無理もない


「今来たとこなんだよ、ところであのゴブリンを潰した技はなんだ?」


本当は『聖圧』っていう聖魔法ってことだって知ってるんだけど


「誰にも言うなよ?」


「別にいいけど。あとお前口調変わったな」


「俺、本当はこっちが本来の口調だったんだけど、学校生活に馴染めなくて、空気扱いになって、その空気が俺~だぜとか言うのは合わないだろ?だから俺は俺口調を封印して、僕口調に変えた」


「へ、へぇ」


別に空気扱いされたところで口調変えなくてもよくないか?まぁ本来の口調に戻ったようなので言うつもりはないけど


「で、あの技は?」


「あれはな聖属性の魔法の1つ『聖圧』って言うんだ。ってもお前含め学校の全員が聖属性って知らないだろうな。」


「うん。属性って基本属性の火・水・風3つと持っている人が超少ない光・闇属性の2つだけじゃなかった?」


まだまだあるのだが王国で聞いた属性はこの5つだけだったので疑われないように伏せておいた。


「あぁ、王国ではそういってたな。だがなこの世界にはあと二つの属性がある。それが昔魔王と相討ちした勇者だけが持っていた聖なる属性-聖属性と、聖属性と対になる魔王だけが持っていた闇よりも暗い属性-暗黒属性だ」


「な、なんだってー。じゃあなんでお前はその聖属性を使えるんだ?」


「俺、力が封印されてたらしくてな、女の子に封印解いてもらったら力が沸いてくると同時にこの魔法を使えるようになってた。」


聖属性・暗黒属性っていってるけど聖魔法・暗黒魔法ってことでいいんだよな。


「マジかー。あ、力上がったならステータスカード見せてよ」


神鑑定あるから見なくてもいいけど。


「いいぜ、ほらよ」


渡されたカードを見てもステータスは前と変わっていなかった。こいつ、隠蔽持ちか


「あれ、変わってないよ?」


「そうだろうな。俺のスキルで隠してるからな」


やはりな。ま、普通の人なら驚くだろうから驚こう


「な、なんだって!?」


「そう驚くなって。あとこの事は絶対秘密だぞ?もしバレたら王国に使いっぱしりにされそうだからな」


「お、おう分かった」


グルゥゥウウオオオオオ!!!


その時、地をも悲鳴をあげる咆哮が10階層に響いた。


「なんだ?この階層にはこんな声を出す奴はいないはずだが」


お!まさか!異世界ダンジョンで定番のあれなのか!


「おい、太一。これはあれだぞ定番異世界ラノベ展開だぞ」


「まさか、ドラゴンかなにか出たのか?」


「多分な、実際さ1層から9層まで冒険者も魔物も見なかっただろ?冒険者なんて、いえばフリーター。魔物倒さないと食っていけないのに誰もいなかったというのはおかしい。それに魔物も、いなかった。魔物の場合一定時間過ぎたらまた出現するけど」


「ま、まさか」


「あぁ、そのまさかだぜ太一さんよぉ。犯人は、今咆哮を上げた魔物だ!皆はその魔物に食われたか何らかの方法で消されたんだ!」


「な、なんだってー!」


「・・・」


「な、なんだってー」


「・・・おいお前全然驚いてないだろ」


「だってさー優汰余裕あるじゃん 。どこぞの探偵みたいな言い方だし」


太一は笑いながら答えた。まぁ確かに余裕あるしな。まず俺が弱かったとしても太一がいるから大丈夫だし


「まぁお前いるからな」


「俺も今だったら誰にも負けない気がする」


誰にも負けない?ハハッ


「じゃあ行こうか」


「だな」


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グルゥゥゥゥオオオオオッ!


「なんだよあれ....ガルド隊長の言ってたことと違うぞ!」


「なにあれ・・・」


男生徒の名前は高見晴信、女生徒の名前は小野桜。2人は付き合っていて、一緒にチームを組んでいた


2人の前には、漆黒の鱗に覆われた爬虫類を思わせる体、鋭い爪と牙を具え大きな翼を持ち、10mを越えるであろう体長。その姿はトカゲに似ていて、ヨーロッパにおいて伝承や神話における伝説上の生物。


ドラゴンだ。


ドラゴンは右の前足を挙げると右から左へなぎ払った。生徒2人はこれをギリギリで避けるが、なぎ払った時に生じる風によって吹き飛ばされる。


「うぁぁあ!!」


「きゃあああ!!」


地面に叩きつけられる衝撃が強かったのか、ドラゴンの力の前に圧倒されているのか誰も身動き一つできない。


ドラゴンが再度前足を挙げると高見晴信はまだ動けず小野桜は悲鳴をあげる。そしてなぎ払おうとした。


瞬間


「闇夜を照らす炎よ、この手に集い力を示せ火球ファイアーボール!」


どこからか火の球が飛んできて、ドラゴンの額に命中した。ドラゴンはグルゥと唸るが、傷一つ付いていない。


「チッ、ノーダメージか」


そう言って駆けつけて来たのは、勇者の中で最もステータスが高い助谷無双だった。無双の後に無双のチームメンバーと他の生徒、ガルド隊長と他の騎士達も来た。


「な、なぜここにブラックドラゴンがいるんだ!?」


ガルド隊長と他の騎士達はドラゴンを見て愕然としている。


「ガルドさん、ドラゴンが強いってのは分かりますが、アイツはどのくらい強いのですか?」


「あのドラゴンはなブラックドラゴンと言って数十年前王国へやってきて街を破壊し尽くした竜だ!奴が数十年前と同じ竜かは分からないが、王国に滞在していた12人のSランク冒険者と50人のAランク冒険者が挑んでも勝てなかった相手だ!」


「Aランクってどのくらいの強さなんですか?」


「Aランクのステータスは大体、無双のステータスの3倍はある。」


その言葉を聞いていた皆は言葉を失った。


直後


グルァァアアアアアッ!!


ドラゴンが先程とは比べ物にならないくらいの咆哮を上げる。咆哮で周りの木々は根元から吹き飛んでいってしまった。生徒達も大半が飛ばされる。辛うじて耐えたのは無双などステータスが高いもの達とガルド隊長と騎士達だけだ


「俺達が時間を作る!お前らは今すぐ逃げろ!」


「う、うわぁぁああああ!!」


飛ばされた生徒や、飛ばされた生徒を見ていた無双達は恐怖でパニックを起こし一目散に逃げ出した。


「僕も戦います!」


そういったのは無双の次にステータス値が高かった中内天馬だ。優男で正義感が強い天馬は逃げ出さずにガルドと共に戦う事を決意した。がガルドがそれを許さなかった。


「それはダメだ!勇者を殺すわけにはいかない!いいからお前も逃げろ!」


「嫌です!僕は勇者だ!勇者は逃げたらダメなんだ!」


「今は逃げろって言ってるのが分からんのか!俺達じゃ絶対にこいつには勝てない!」


「クッ!そ、それでも皆で一緒に帰るんだ!」


「いつまでも甘えた事を言うな!ここはいつ死んでもおかしくないダンジョンだぞ!無双も皆ももう逃げた!あとはお前だけだ!」


「それでもいや『グルルゥゥアアア』うわあああ!!」


ドラゴンという自分の目前で話していたガルド達に腹が立ったのかドラゴンは会話を断ち切るように前足で天馬を横に叩きつけた。天馬はくの字を描いて20〜30mほど吹き飛び、地面でバウンドを繰り返して止まった。激しい衝撃で天馬はピクリと動かない。


「天馬ああぁぁああ!!!」


ガルドは天馬の元へすぐさま駆けつけ生死の確認を取る。


「なんとか生きているようだが重傷だ。おいお前ら!1人だけ天馬を.....な!?」


振り向いたガルドは絶句した。自分が天馬の元へ駆けつけて振り向くまで、数秒程度だった。ドラゴンには絶対に勝てないにしても時間を稼ぐ事くらいは出来ると思っていた。しかし、目の前の光景はそれを裏切った。騎士達の鎧は切られたのか切断されていて、その鎧を着ていた騎士達は当然、上半身と下半身が分離していた。恐らくドラゴンの爪で引っ掻かれたのだろう。


「う....ガル....ド....隊長.....早く....に...げて......く......だ..さい」


上半身だけになった騎士が訴える。騎士が喋るたびに切断部分からは大量の血が漏れ出ている。


「くそ!お前らすまない....」


ガルドは仲間を見捨てる男ではなかったが、勇者は生かさなければならない存在、それに戦場で仲間を失う覚悟が出来ていたのでガルドは見捨てる事が出来た。


ガルドは天馬を背負い、無我夢中で走った。走り際様にクチャクチャと何かを食べる音がしたがガルドは足を止めなかった

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