第3歩 〖出会い〗


 レイが、村を出てから1ヶ月程たった。


 “イア=ダラゴ”付近の森林地にレイの姿があった。

大木が連なり、森に入り込む者の行動範囲を狭めている。

「うぅ、中々、抜けれないなぁ、この森・・・・・・」

朝早くに森に入ったが、もう時間は昼を過ぎている。

それなのに、全く抜け出せる気がしないのは、どういうことだろうか。


「そ、そんなに広いのかな、ここ・・・」

 汗ばむ額を袖で拭き、尚も進み続ける。


 ーーーいつ、モンスターが出てきても対応できるようにしないと・・・。

この一帯には四季はなく、年中蒸し暑い。

特に森林地は、日光で地面が温められるも木々や、葉の重なりで温度が空に抜けず、籠もっている。

「だから、こんなに暑いって、他の冒険者も言ってたな・・・・・・・・・」

 汗が、肌からどんどん滲み出る。

ーーー暑い・・・・・・・・・。

身体の水分が抜けていく。

レイの足取りはしだいに、規則性を失い、おぼつかなくなっていた。


 ガサッ!

「ーーーーーッッ!!!」

突然、前方で草木をかき分ける音がした。

鞘から、片手剣を抜きはなち、構える。

ーーーモンスター・・・・・・・・・?それとも、冒険者狩りっ!!?

意識を瞬時に戦闘態勢に切り替える。

警戒を解かずに数秒・・・。

しかし、何も起こらない。

ーーー動物、だったのか?

それでも、警戒を続けながら一歩ずつ進んでいく。

生い茂る高草を横にわけながら、進む。

少し、夕暮れが近づき、昼間よりも暗くなった森を剣を手に音源の方へと、向かう。

 その時だ。

レイの視界が白く塗りつぶされた。


 ーーーッ!眩しーーーーッ!?


 ただ、それは攻撃ではなく、すぐに視界は元の森林に戻った。

ただ、眼前には、草木、ではなく。

「・・・・・・・・・家・・・?」

ーーーじゃなくて、屋敷・・・?

木々の中に、どこいらの貴族の豪邸のようなお屋敷が建っていた。

「な、なんで・・・こんなモノが・・・・・・・・・ここに・・・」

 レイは驚愕を露わにし、佇む。

そして、その目線は屋敷の外観を一通り、巡ってから一点に留まった。

 その視線の先には、

・・・・・・・・・一人の少女がいた。

彼女は、腰まであるその髪を、木々の隙間を縫って届いてきた風になびかせ、レイの方をじっと見つめていた。


 そして、その小さな口が、開いた。

「・・・・・・・・・ひ、と・・・です、か?」


「・・・・・・・・・ぇ、え・・・?」

レイも、突然の疑問系に何か返そうと、言葉を紡ごうとするが、そこで彼の限界が来た。

疲労と、緊張から彼は、その場に倒れ伏した。


 彼が最後に聞いたのは、目の前にいた彼女が駆け寄ってくる足音だった。

そして、意識は闇に落ちた。

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