18 カリキュラム

 聖子が目を覚ますと、周りに見知った物は何一つ無かった。天井、壁、窓、畳。部屋を成立させるだけの最低最小限の構成。センスが古かったり、ところどころ妙に煤けていたり、染みや汚れのあるところを見ると、それなりに年季の入った建物らしい。昭和かそこらに建てられたありふれたマンションの一室で、取り立てて異質と呼べるものは何も無かった……天井に一つ、インテリア用にしては異常に頑丈そうな金具が取り付けられている以外は。

 彼女はパンツとブラジャー以外に何一つ身に付けていなかった。起き上がろうとすると肌に食い込んだ畳がぺりぺりと音を立てて剥がれ、ひりつく痛みに思わず顔を歪める。二の腕にくっきりついた縞々の跡を眺め、彼女は思った。

(……ここはどこ? 何でこんな格好なの? 異能者の襲撃はどうなったの?)

 彼女の質問に答える者はいない。彼女の心には、未だに神の声が聞こえないでいるのだった。

 そして異常な空腹感。胃は締め上げられるように痛み、全身に力が入らない。最後に何かを口に入れたのは……能力を酷使するための頭痛薬だ。その前はいつだっただろう? 何でもいいから胃に入れたい。甘ったるいカレーや、バターでベチョベチョになったトーストが食べたい。そのためにはこんなワケの分からない状況で寝転んでいるわけにはいかない。彼女は無理をして立ち上がろうとするが、すぐに立ちくらみを起こし、その場にがっくりと膝をついてしまった。

 物音を聞きつけ、誰かがこの部屋に向かっているのが聞こえた。足音は迷い無く、力強い。聖子は異常な恐怖を感じ、四つん這いで部屋の隅っこに逃げる。裸同然の無防備な体を少しでも守ろうと、膝を抱え、敵意剥き出しの上目使いでドアを睨みつけた。

 がちゃり、と開くドア。部屋に顔を見せたのは、鷹取ココロだった。知った顔ではあるが、彼女が顔を見せた事が果たして自分にとって良い事なのか悪い事なのか、聖子は俄に判断出来なかった。

「佐渡聖子が目が覚ましたわ」

 と、鷹取は部屋の外に居る誰かに言った。

「……鷹取! 他に誰がいんの? ここは何処?」

 聖子は警戒を緩めず、相手にそう尋ねる。

「ヨシノ・マンション302」

「だから、それはどこなのよ! アタシはどうしてこんなところに寝てるの!?」

「私が失神させて、ここまで運んだ」

 聖子は『やっぱり!』という表情。落胆と、一層の警戒心。

「……裏切り者! 何でアタシこんな格好なの!?」

「私が脱がせたから」

「アタシに乱暴してないでしょうね!」

「これからする」

「やめて! お腹減った……ご飯ちょうだい……!」

「ご飯はあげられない」

「騷ぐぞ、テメェ! ここが何処か知らないけど、無人島ってわけじゃねーでしょ! マッパで監禁とか、人呼ばれて言い開き出来る状況じゃねーぞ!?」

「騒いでも無駄」

「ほーお。無駄かどうか試してやろうかゴルァ!」

 聖子は自分のすぐ頭の上にある窓に手をかけたが、窓には補助錠が取り付けられており、鍵が無いと開けられないようになっていた。網入りの丈夫なガラスで、おまけに向こう側には格子のシルエットも覗いている。割って逃げ出す事も難しいだろう。

 聖子は窓を太鼓の様に叩きまくった。

「誰かー! 助けて下さーい! 可愛い女子高生が素っ裸にされてまーす!  乱暴されまーす! 誰かー!」

 ちらり、と振り返ると、鷹取は部屋の入り口でぼんやりと突っ立ったままだった。その目は相変わらす鋭く、無機質だ。

「……ねえ、ご飯頂戴よ……飢え死にしちゃう、このままじゃ変になりそう……ねえったら。一瞬とは言え、一緒に戦った仲じゃない。じゃなきゃ、もっかい騒ぐわよ!」

「ノノ。佐渡聖子が騒ぐって言ってるわ」

 鷹取は部屋の外に顔を向け、そこに居るらしい自分の主人にそう言った。

吊るせっ!

 と、部屋の外から甲高い声。

 鷹取はどこからか長いロープを引っ張り出してくる。彼女は必死に抵抗する聖子をあっさりと縛り上げて、持ち前の剛腕で天井のフックに軽々と吊るした。聖子は両腕ごとロープでぐるぐる巻きにされており、宙に浮いた両足をジタバタ動かす事しか出来なかった。

「やめろー! 放せっ! アタシがあんたらに何したっつーのよー! この人でなし!」

「何をした、ですってぇ……?」

 ノノは半笑いでそう言うと、勿体ぶった歩調で部屋に足を踏み入れ、ようやく聖子の前に姿を現したのだった。彼女の手に握られている“オモチャ”に、聖子の視線は自然と釘付けになる。プラスチックの棒に、手元にはゴムのグリップ、先端には硬そうな革の素材。ジョッキーが使う馬用の鞭だ。ノノに乗馬の趣味があるようにはとても見えないし、食肉加工される肉塊のように宙吊りにされている聖子の目には、それが好意的な未来のために握られたものには到底見えなかった。

「ふざけたクソ女ねマジで! アンタがあたしにした“お茶責め”を、忘れたとは言わさないわよっ!」

 鞭の先端を聖子に向けながら、ノノはきいきいとがなりたてる。

「それは、冗談だったのよ……ほんのちょっとエキサイトしちゃって……」

 聖子の戯言に、ノノは嗜虐的な気持ちを高めるのだった。

「ふぅーん。エキサイト? エキサイトするのが好きなんだ。へー……」

 聖子の胸元から喉元にゆっくりと這う鞭の先端。嫌悪感に肌は粟立ち、心臓は緊張に高鳴る。呼吸を乱し、苦しげに顎を上げる聖子を見て、ノノは満悦した。この憎たらしいクソアマを征服している実感。肉人形の破壊、そして拷問。二度の大きなツケを払わせる時がきた。

「エキサイトさせてやるわよ、ゴキブリ女」

 鞭をぐいっとしならせながら、ノノは粘着質な声でそう言った。

「や、やめ……」

 と、聖子が許しを請おうとしかけた次の瞬間、空気を引き裂く音と共に鞭が振り下ろされた。

 ばちん!

とノノの鞭が聖子のこめかみを打つ。しなった革が彼女に噛みつき、顔面に真っ赤なミミズ腫れが一筋走る。一瞬の無感覚の後、焼けつく痛みが聖子を襲った。何か取り返しの付かないような、例えば顔面の皮がべろんと剥がれてしまったような錯覚に、聖子の心は一瞬にして恐怖に支配された。

部屋に響き渡る怪鳥のような悲鳴。

「ぴぎゃああああ! 痛い痛い痛い痛い痛い痛いたいたいたいたいたい! 痛いよ! 助けて! 誰かー!」

 足をバタつかせながら狂乱する聖子を見て、ノノは更に愉悦を味わう。

「ぎゃは、ぎゃは、ぎゃはは! ぷぎゃーっはっあーっはっはっ! げほっ! ごっほ! ……あーっ。愉快だわ、佐渡聖子! 因果応報よっ! 大体アンタ、態度も能力も調子こき過ぎなのよ! 神様の声が聞こえるんだっけ? 神様は今なんて言ってる?」

「聞こえないのよ、何にも……聞こえない……」

「聞こえろや!」

 ばちん!

とまた鞭が聖子の顔面を捉える。聖子のバタ足は更に激しくなり、ぎしぎしとロープが悲鳴を上げた。

「ぴぎゃあああああああ!」

 口元が切れ、ぽたぽたと鮮血が畳に落ちる。自分の血液を目の当たりにし、聖子の表情は更に強張った。痛みの渦から湧き上がる、恐怖さえ飲み込むような怒り。どうしてアタシがこんなやつに拷問を受けているのか。本来あるべき姿は逆のはず。人形だけがお友達の情けないチビクソに、生殺与奪を握られて、こうも好き勝手やられるなんて……このままじゃ、アタシがアタシじゃ無くなってしまう! 歯を食いしばり、こめかみに血管を浮かせて、聖子は肉食獣さながらの視線でノノを睨みつけるのだった。

「殺すゥッ! 殺してやる! 腐れマンコ! めんたまにその鞭突っ込んでぶっ殺してやる! うぅぁぁぁぁ! 殺す殺す殺す殺す! うわぁぁぁぁ! 放せ、畜生! 降ろせ! 放しやがれぇぇぇ!」

「声でかっ! うるっさいのよ!」

「降ろしやがれえええっ! マンコ野郎ぉぉぉ!」

「マンコはお前だ! キチガイマンコ!」

「全身マンコだらけにしてやるぅぅぅぅ!」

「糞ちびるほど殴られたいの!?」

「地獄に堕ちろぉぉぉ! 糞地獄に堕ちろぉぉぉぉ!」

 耳を塞ぎたくなるような暴言の応酬。暴れまくる聖子に向けて、ノノは再度、大きく鞭を振りかぶる。

 と、その時。

 きんこーん、と金属質なチャイムの音が部屋に鳴り響いた。

ノノは振りかぶった姿勢のまま、思わず玄関を振り返る。

「やべ、隣のババアだ」

 しめた、と、一縷の望みが狂乱の聖子に冷静さを呼び起こす。

「助けてー! 助けて下さーい! 人を監禁してまーす! 拷問されてまーす! お巡りさん呼んでくださーい! 誰かーー!」

「うるっせーのよ! 鷹取、そいつに猿ぐつわ噛ませて!」

 ノノが聖子の顔に指を差すと、鷹取は制服のポケットから何かを取り出す。ゴルフボール大の球体に革のベルト……SMなどで使うボールギャグというやつだった。鷹取は嫌がる聖子に無理矢理それを装着すると、ノノに向かって一度頷く。部屋のチャイムがもう一度鳴らされ、ノノは慌てて玄関へと向かうのだった。

「んんー! んんんんー!」

 うめき声を上げる聖子。鷹取は彼女の髪を掴み、ぐい、と顔を上げさせた。うるさいわ、と鷹取が脅すと、聖子は子犬のようなか細く甲高い音を喉で鳴らすのだった。

 玄関のドアが開く。そこにはノノの予想通り、隣に住んでいる中年女性が立っていた。ノノとは顔見知りで、更年期障害によるニトロの様なメンタルを抱えてはいるが、至って善良な小市民だ。ノノは即席の笑顔で彼女を出迎えた。

「あ、おばさん。こんちわーっ」

「こんちわじゃないわよ! 何を騒いでるのさっきから! ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ動物園みたいに!」

「あははー……す、スミマセン。猿が騒いで……猿飼ってるんスよ」

「猿じゃないでしょ。誰かいるの?」

 聖子の耳にも微かに届く部外者の声。これは神様がくれた最後のチャンスかもしれない。彼女は自身の恐怖に抗いながら、必死に声帯を震わせた。

「んんんーー! んあんあんあんあーっ! ん……ンゴッ!?」

 聖子の顔面を鷲掴みにする鷹取。五本の指が万力の様に頭蓋骨を締め付け、聖子は自分の頭が粉々に砕けてしまうと思った。鷹取にはそれが可能なような気がした。

「何? 今の声」

「あははー、な、なんでもねっスよ……ほんと!」

 不審に思った隣人は、ノノの静止などお構いなしに部屋の奥を覗く。聖子たちの居る部屋のドアは閉じられており、隣人が部屋の中の異変に気がつく事はなかった。

 ……が、ここは聖子も引き下がれない。蜘蛛の糸はそこまで垂れているのだ。

「んんんんぐぐーーーーーーー!」

 尋常じゃないうめき声に、隣人はぎょっとした。

「なに、今の! 誰!?」

瞬間、隣人は履いていたスリッパを脱ぎ捨て、部屋の中へ突入した。ノノは、あちゃー、という顔で彼女の背中を見つめるが、見つめるだけで、あえて闖入者を追いかけようとはしなかった。

 勢い良く開かれる拷問部屋のドア。隣人は部屋の狂乱を――宙吊りにされる聖子、そして彼女の頭を鷲掴みにする鷹取を目の当たりにする。まあ! と小さな悲鳴が一つ。中年女性の勇気ある行動に、被害者は心の中で喝采をおくるのだった。

「……何、これ。ねえ、ノノちゃん、これ何!? 何なのこれ!?」

「……るっせえなあ、ババア! きららの客だよ!」

 ノノは自分の服の中に隠していた鞭を取り出し、面倒臭そうにそう言った。

「きららちゃんの? 何この格好……血も出てるし……! これがお客さんの扱い!? 酷いわあ……!」

「調教が必要なのよ。きららをこの町から連れ出そうとしてっから」

 ノノの言葉に、隣人はがらりと顔つきを変える。

「きららちゃんを連れ出す? この町から? あら、じゃあ仕方無いわね。鞭で叩いてたの? もっと酷い目に遭わせてあげなきゃ。何か要る? くるみ割り器は?」

「要らない。くるみ割り器……?」

「遠慮しなくてもいいのよ。おばさんも手伝ってあげよっか?」

「いいよもう! 面倒臭い! だからバレたく無かったのに……お前が騒ぐからだろーが! ボケッ!」

 ばちこん、と鞭が聖子の頭に噛み付く。聖子は呆然としていた。叩かれた痛みも遠のく程の、あまりに予想外な隣人の反応に。聖子は思った……このババアがグルなら、このマンションは他にもきらら信者が居るのだろうか? マンションの外は? 『騒いでも無駄』と鷹取は言った。まさかこの町全体が既にきららの能力に支配されてしまっているんじゃ……王国とやらの最初のモデルケースとして!

 はいはい、出てって! と、ノノはババアを追い出した。その間、鷹取は油断なく聖子を見張っていた。あるいはただ眺めていた。手も足も出ず、絶叫さえも無意味な状況で、聖子に出来る事はもはや何も無かった。

 去来する絶望。聖子は徐々に項垂れ、やがてがっくりと肩を落とす。身動き一つ取れず、神様の声も聞こえない。周りは敵だらけで、おまけに左右あてら乖田かいだがどうしてるかなんて分かりっこない。酒屋を穴だらけにした例の強力な異能者の襲撃を、二人は乗り切ったのだろうか? それとももう死んでいる? 渚は? 自分は誰の助けも乞う事が出来ず、このサイコどもにオモチャにされ、朽ち果てて、淡風の土となりバクテリアに分解される運命なんだろうか?

 んぐぐぐー、と聖子が呻く。ノノが合図をすると、肉人形は主人の意を汲んで聖子の猿ぐつわを取った。ほたぼたと唾液が零れ、鷹取は自分の手を汚さないように革ベルトの端っこを摘む様に持つ。聖子は少し呼吸を落ち着けてから、懇願するような声色でノノに言った。

「……こんな事もうやめてよ……一体何になんのよ……イカれてんの……?」

「だから、それをお前が言うんじゃないわよ!」

「アタシは仲間の為に仕方無く……」

 鞭の先端を聖子の口元にぐいっと押し付けるノノ。

「お前の都合だけで喋ってんじゃねーわよ。あたしがお前の言い訳なんて聞きたいと思う? あたしの逆鱗に触れたく無かったら、今はあたしの都合だけで喋んなさい」

「そっちの……都合……?」

「あたしの立場に立ったら言うべき言葉があるはずよ」

「……立場?」

「そう……どうする佐渡聖子? どうやってあたしのご機嫌とってくれる? あたしを楽しませてくれるなら、アンタに対する温情も、ほんの少しくらいは湧くかもね。煮え湯か苦汁か辛酸か、どれを飲まされるかぐらいは選ばせてやる。ぷぷーっくすくす」

 既にご機嫌にしか見えないノノ。彼女は聖子の周りをゆっくりと回り始めた。

「一言だけ許してやるわ。たった一言に自分の運命を託すとすれば、アンタはあたしに何を懇願するべきか。気をつけて喋んなさいよ。答え様によってはこの鞭のグリップで、あんたの菊門を青函トンネルみたいに大開通させてやるんだから」

 ぺちん、とパンツ一丁のお尻を叩くノノ。柔らかい肉が波打ち、聖子は身を強張らせた。

 ごくり、と生唾を飲み込み、聖子はノノに恐る恐る尋ねる。

「……た、たった一言……?」

「そう。たった一言。あたしは別に答えなんて決めてない。あたしをいかに満足させるか、無い頭で必死に考えなさいよ。出来るだけ憐れで笑えるやつ。自尊心をズタズタにしながら、必死こいて詫びを入れるアンタを見て爆笑したいわ。さあ!」

 聖子の周りを歩いていたノノは、ピタリ、と彼女の目の前で止まり、生贄の顔を覗き込んだ。

 聖子は戸惑いながら、震える口元を静かに開き、自信無さげに言葉を紡ぎ始める。

「……に……ちろ……」

 蚊の羽音のような聖子の声。ノノはしかめっ面で耳を傾けた。

「んあー? あんだってー?」

「くに……ちろ……」

「もしもーし! 声が小さすぎて、聞こえないんですけ……」

 と、ノノが自分の耳を聖子に近づけた次の瞬間、聖子の目つきは一瞬にしてぎらつき、獲物を狙う狼と化した。相手が完全に降伏したと思い込んでいたノノは、警戒心なんて綺麗さっぱり無くしてしまっていた。

 相手は佐渡聖子だ。彼女の激しい感情は、時に彼女自身の利害さえ無視し、聡明さとは決して相容れない暴挙に出る。例え己を不幸に導こうとも、彼女の性分は計算などとは無縁の世界からやってきて、嵐のように全てを破壊してしまう。

「地獄に落ちろ! ちびクソッ!」

 と、聖子は全身をバネのように動かし、縛られたままの体勢で、ノノの耳元目掛けて思い切り飛びかかった。

 かちん! と聖子の歯が空振りする音。ノノは仰天し、尻餅をついた。

「はあわあああっ!」

寸前のところで耳を狂犬に噛み千切られるところだったノノ。彼女の小さな胸から心臓が飛び出しそうになる。彼女は失禁しながら(ノノには失禁癖がついていた)ずりずりと聖子から離れていった。聖子の馬鹿笑いが響き渡り、部屋を制圧する。ノノの恐怖心はやがて羞恥心と憤怒に変わり、彼女は真っ赤になりながら頭を抱えるのだった。

聖子は雲間から覗く日の光のような解放感を感じた。

「なーっはっはっは! てめーにゃそれがお似合いなのよ、紫電ノノ! まるでデュカリオンの大洪水のごたる神話的大失禁ね! おしっこ漏らして人類を滅亡させるつもり!? あんたの大好きなきららや鷹取を溺死させたくなかったら、尿道に栓でもして一人で地獄に堕ちろ! 人間スプリンクラーッ! クソチビッ! クソに紛れたコーン粒以下のクソ雑魚がッ! 聖子様に逆らうなんて百年早えーのよッ! なーっはははははははははは!」


 ……その日の夜、聖子は泣いた。

うつ伏せになり、酷使されたお尻の穴に少しでも負担をかけないように、自分の惨めさを噛み締めながらしくしくと。

「痔になっちゃう……痔になっちゃう……」

 彼女の心は敗北感に塗れていた。自分の純潔を無抵抗なまま踏みにじられるなんて、最低な事だ。ましてやあの佐渡聖子だ。絶対に他人の風下に立たない、彼女の人一倍の強情さが粉々に砕かれた心的苦痛たるや、こちらの想像を絶するものだったに違いない。身も心も肛門もボロボロになった彼女は、いよいよ自身を襲う深い無力感に抗えなくなっていた。

「本当にやりやがった……アタシのケツマンコ……あのガキ……絶対に殺してやる……うううっ……!」

 虚しく部屋に響く怨嗟のうめき声。それは誰にも届かずに、真っ暗な部屋の虚空に漂って、煙のように掻き消えた。彼女はあまりの孤独に、今にも死んでしまいそうだった。

 ふと、部屋の隅に動く黒い点のようなものが視界に入る。彼女はぼんやりとした意識でそれを眺めていたが、やがて目の錯覚じゃないと分かると、産まれたての子鹿のようによろよろと立ち上がり、痛むお尻を庇って近づいた。

 それは蜘蛛だった。暗い部屋の中ではっきりとは見えないが、親指ぐらいの小さな蜘蛛が部屋を這っている。彼女は手をお椀の形にし、そっと蜘蛛の上に被せ、それを捕えた。

 彼女は思った。

(思えば蜘蛛って孤独な生き物ね……ひとりぼっちで巣を張って、雨が降っても風が吹いてもじっと獲物を待ち続けて……今のアタシは蜘蛛の巣に掛かった獲物の方だけどね……そしてあんたにとっては、アタシが狩る側。狩ったり、狩られたり、狩ったり、狩られたり……死ぬまでこれを繰り返すのが人生ってわけよ。同情するわ。あんたも同情してくれる?

 そういや、寂しさのあまりゴキブリを飼う囚人の話を聞いた事があるわ……独房ではゴッキーだけが唯一の理解者で、友人で……そいつの死に目には涙さえ流すと言う。極限での幸福は、一般論を超越するって事よ。そう、平和や成功を超越するほどの幸福。まあ、こんなもん飼っても、アタシの気持ちは紛れんけど)

 聖子は手を握り、ひょいっと蜘蛛を口の中に入れる。じゃりじゃりとした食感と、得も知れぬエグみが口腔に広がる。

(何これ……まっず! こいつら、カニと同じじゃないの? 全然ちげえし。カニに生まれ変わって出直して来い! ああ、お腹減った。喉も乾いた……誰か助けて……きらら……)

 と、その時、ドアの隙間から一筋の光が差す。てっきり拷問が再開されると思い込み、聖子は慌てて部屋の隅っこに逃げ出した。汗が吹き出し、引き攣る顔面。

 だが、開かれたドアからそっと覗く顔を見た途端、聖子の全身に雷が落ちたような衝撃が走る。やがて彼女の両目から、大粒の涙がボロボロ零れた。

「……きらら……大淀きらら……!」

 掠れる声で聖子は言った。きららも涙を流して笑った。彼女は手に持ったトレイ(おにぎりと水が乗せられている)を床に置くと、聖子にぎゅっと抱きつくのだった。二人はお互いの温もりを共有し、感動に打ち震えた。

「聖子……ごめん、ごめんね……!」

「きらら……帰ろう……帰ろうよ、もう……! こんなところで何やってんのよ……!」

「ごめんね、聖子……私なんかの為に……! 酷い目にあったでしょ? 体は無事?」

「今すぐここから逃げ出したい、今すぐ!」

「うん……そうだね……もう少しの辛抱だから……ほら、これ食べて」

 そう言うと、きららは持って来たおにぎりを聖子に差し出す。聖子はその時初めて食べ物の存在に気が付いた。全てが蜃気楼のように消え去るんじゃないかと恐れ、彼女は慌ててそれを胃に叩き込んだ。続いて、水を飲む。渇ききった彼女の食道に、煌めくような清涼感が走った。それはまさしく全てを超越した幸福だった。

「ごきゅ……ごきゅ……プハーッ! 神かよマジ……ねえ、きらら。もう少しの辛抱って、どういう意味? 脱出計画があるって事?」

 きららは軽く笑う。これ以上ない程に普遍的で、地味で素朴な笑顔だ。

「脱出……うん。そうだね」

「聞かせて。あんたの脳みそじゃ充分じゃないでしょ。アタシがブラッシュアップしてやるから」

「聖子は天才だもんね」

「そう。アタシは天才だから、気を悪くしないで」

「何でも分かるし、何でも出来る。だから私の事なんて何一つ分からない」

 きららの言葉の意味が、聖子にはよく分からなかった。少なくとも褒められた気はしなかったし、皮肉にしても相手を笑わせようなんて意思は感じられない。彼女は思わず眉を潜める他無かった。

 きららは言葉を続ける。

「……脱出するって、どこに? 汐摩に帰るの? 私にとっては、聖子がここで苦しめられているのと同じぐらいの苦痛が待っている場所に? せっかく脱出した場所へまた戻れって言うの? 聖子、あなたはどうしてここに来たの? 私を助けるため? ほんとに? 本当はどこかから脱出したくて、ここに来たんじゃないの……?」

 淡々とした口調で、相手の答えや反応なんて気にも止めない。まるでピッチングマシンのように質問を投げ続けるきらら。部屋を包み込む闇が、邪悪な生き物のように成長していくのを聖子は感じた。彼女には目の前の親友がどういう表情をしているのか、全く分からなかった。

「人が何処かから脱出する方法は、ただ一つ。自分を受け入れる事。自分の才能、容姿、好きな事、嫌な事、我慢出来る事、出来ない事……それら全てが私なのに、もっと良い人生があるはずだ、違う人間になれるはずだって勘違いする。

努力が華を開く? そういう事もあるかも知れない。でも他人の綺麗事に踊らされて闇雲に突っ走るのは、それはもう努力じゃない。ただの現実逃避だよ。努力とはその人の一つの有り様で、本来の自分の有り様を否定するものであっちゃいけない。

私は努力してた。必死に努力してた。知ってるでしょ? 落ちこぼれアイドルの無様なダンスを一番近くで見てたのは、聖子、あなただもんね。努力すれば努力する程、隣の“天才さん”がメキメキ上達していくのに、私は気が狂いそうなほど嫉妬した。そして、それと同じぐらい焦ってた。

このままじゃ聖子に見捨てられちゃう! 私はもっと努力しなきゃ! 歌った数が足りないんだ! ステップを踏んだ数が足りないんだ! 筋トレが足りない! 読んだ本が足りない! 栄養が足りない! 活動時間が足りない! 喉が潰れるまで歌わなきゃ! 足が血まみれになるぐらい踊らなきゃ! ……でも、全部違ってた。努力なんて小綺麗な思想の中で、私はぐるぐると回り続けていただけ。私に足りなかったのはたったひとつ……“才能”。ただそれだけが、絶望的に私の中に足りてなかった。

そんな私に無理矢理突っ込まれた、悪魔のお節介とでも言うべき贈り物。プリンセスっていう望まない私の有り様。でもこれが私で、私の運命は良くも悪くも明確に提示されたの。どうしたの? 聖子。なんで泣いてるの? 私が選んだ人生は、多くの人々を幸せにする素晴らしいもので、そんな私を私自身が受け入れた。自分を受け入れた私は無敵だわ。他人の意見なんて通用しないし、聖子、あなたにだって負けやしない。そもそも、ありとあらゆる事に勝利できるあなたが、ちっとも自分自身に勝利出来ずにいるって、あなたは気づいてた?

聖子、あなたも早く脱出して。大抵の事ならなんとでもなるあなたが、どうしていつも苦しい思いをしているの? 我が侭で、自意識過剰で、あなたが求める自由はただの孤独の出来損ないなのよ。自分の居場所が無いのは社会のせい? それとも時代のせい? ここは昭和でもないし、平成でもない。ここはあなたが望むものを、あなたが構築していく場所なんだよ。そしてあなたにはその才能がある。私の言ってる事分かる? どうして泣くのよ」

聖子の目からは涙が止まらなかった。傷めつけられ、自尊心をこれでもかというまでに打ちのめされた彼女は、それでもたった一つの希望を胸に秘めていた。きららの友情への盲信だ。彼女を支えるたったひとつの目的が、友人の面影が、信じていた絆の形がすっかり変わり果てた事に、聖子は愕然とするのだった。途方も無い喪失感。信じるべき希望は蜃気楼のように消えてしまっていたのだ。

 ……何より彼女がショックだったのは、それが今日に始まった事じゃないという事実だ。聖子はきららの才能なんてどうでも良かった。そこに優越感を感じたりもしないし、彼女が足枷となろうが構わない。ただきららが彼女らしくあれば、それで良かった。スバラシ会にたぶらかされたのだってほんの一時の気の迷いで、『こんなとこダメよ! さっさと帰るわよ!』と一言かければ、きららは笑顔で自分についてくる。それで全ては元通りのはず、むしろきららはそれを待ち望んでいるはずと、聖子は本気で信じていた。

聖子の独善性は知らず知らずの内に親友を傷つけていた。彼女は“一人でいい気になっていた”のだ。彼女はきららを守ろうとした。レッスンの居残りに付き合ったし、『クオリティは自分が担う』とがむしゃらに頑張ったし、他のアイドルにきららの陰口を言われないよう悪役を買って出た。全てはきららのためと思ってやっていた事だ。それが彼女の自尊心を傷つけるなんて、考えもしなかった。

長く悲しいスレ違い……神様の声はそんな事を一言も教えてくれなかった。人の心は神様の管轄外だったのだ。

「アタシのせいなの……? きらら。アタシのせいで、あんたは居場所が無くなったの……?」

 きららは聖子の涙を親指でそっと拭う。

「違うよ。聖子は私に居場所を作ってくれていた。でも、そこは私の本当の居場所じゃ無かった。ただそれだけ。そしてここは、私とあなたの二人の場所になる……私はそう確信してる。その為にはもうちょっと辛抱して。苦痛に耐えれば、聖子はきっと変われるはずだから。ね?」

「……アタシのせいなの?」

「だから……じゃあ、そうだよって言えば満足? 私達はいつも一緒じゃない。あなたのきらら、私の聖子。二人揃って私達。あの英会話の広告のTシャツみたいにね」

「Tシャツ……!」

「『英会話で個人レッスン』、『あなたにピッタリの先生を見つけよう!』……」

 個人レッスン、ピッタリの先生。聖子にはそれが示唆的に聞こえた。先生は貝川で、きららは個人レッスンの受講生。彼女たちの青春の象徴たる例のTシャツが、連中の真っ黒な陰謀に汚されたような感覚。聖子はがっくりと項垂れた。みっともないながらも大切だった、聖子ときららの二人だけの煌めきが脆く消え去ったのを、彼女ははっきりと理解した。

……もはや精神力は尽きた。聖子は頭を抱えて『ぐぐぐ……』と小さく唸ると、そのまま動かなくなってしまった。きららは置物のようになった彼女をしばらく見下ろしていたが、やがて小さなため息をつくと、そっと部屋から立ち去った。ばたん、というドアの音が静寂に響き、聖子の中で何度も木霊した。体を壊され、心を壊され、からっぽになった彼女の中を、洞窟の中での叫び声のように何度も何度も反響した。自責の鉄塊がずしんと両肩にのしかかり、重力は今にも彼女を押し潰そうとしているのだった。

そしてそれこそが聖子に対する個人レッスンの、貝川先生の目的だった。絶食、拷問、絶望。全ては彼女が巧妙に仕組んだ“カリキュラム”で、聖子はまんまと蟻地獄のような悪意に飲み込まれてしまっているのだった。

聖子は自分の事を“昔はシャイな女の子だった”と言った事がある。元々心の弱い少女で、彼女の傲慢さも、破天荒さも、見方を変えれば全ては自分の弱い心が追い詰められない為の、必死の防御策のようでもある。彼女の本心は彼女の振る舞いよりずっと遠くにあって、きららだけはきっと分かってくれるはずだと、彼女はそう思い込んでいたのかも知れない。彼女の傲慢さが生んだスレ違いとは言え、そのほころびをあっさりと看破する貝川は、まさしく邪悪な天才であり、相手の卓越した知性を前に聖子はやはり傲慢過ぎたのだった。

つまり、敵を軽んじていた。

“連中がアタシより賢いワケがない”と……。


 翌日、聖子の前にまた鷹取が現れる。手には例のロープが握られており、昨日と同じ拷問の始まりを告げていた。が、聖子は仰向けに寝転んだまま両手をお腹の上で組み、ぼんやりと天井を眺めたまま動かない。眠っている訳では無いし、当然鷹取の存在にも気づいているはず。傍目には生きているのか死んでいるのかすら分からない彼女を、鷹取はやはり生きているか死んでいるか分からない目でじろりと睨むのだった。

「……起きるか、無理矢理起こされるか、選んで」

 鷹取がぽつりとそう言うと、聖子はゆっくりと彼女の方に顔を向けた。しばらく意味のない時間が続いた後、聖子は意外なほど素直に、ゆっくりと上体を起こし、胡座をかく。鷹取は特に疑問も持たず、聖子の体にぐるぐるとロープを巻き、先日と同じく天井のフックに彼女を吊そうとするが……ひょっこりと顔を出したノノはされるがままの聖子を見て、「ちょっと待って」と従僕を制止するのだった。

 ノノは無気力な聖子を見下ろし、眉を潜めた。

「なんで抵抗しないのよ」

 聖子はちらりとノノの方を見る。

「……さっさとやれ」

その言葉には何の感情も無かった。拷問を受けようが受けまいが、まるで全ては他人事のように。

「あっそ。今日は何して遊ぼっかなー。あんたがアタシにやった例のお茶責めはどう? ババアに“くるみ割り器”ってのを借りてみるのもいいわね」

 聖子はぐったりと俯き、畳を眺めるばかり。

「……なにコイツ、もう壊れたの? まだカリキュラムが残ってんだけど……壊れかけたら次に行けって言ってたっけ。えーと、なんだっけ。メール、メール……」

 ノノはスマホを手に取って目的の指示書を探し始めた。カリキュラムは全てメールに保存してあるらしい。

「えーと、どこだ。貝川、貝川……」

「貝川……?」

 初めて聖子が言葉を発した。

「あんた、貝川と離反したんじゃなかったの……?」

「……ふん。教えてやんない。本当の事を知ってるのは、あたしと貝川姉弟だけよ。まあ、あと鷹取と」

 聖子の脳裏にぼんやりと浮かぶ陰謀の真相。要するにこいつらは、ザナドゥという架空の存在を拵えてきらら誘拐をでっち上げる事によって、スバラシ会の闘争心に火をつけ、僕(乖田)や左右たちとの戦争を勃発させたのだ。

 巧妙なのは、ノノの鷹取に対する感情を利用し、彼女を仲間に誘い込んだ事だ。これによって淡風島にゾンビ事件を起こし、聖子を追い詰め、最終的に彼女を誘拐するに至る。――もちろん、プランの全てが上手くいったわけではないだろう。僕や左右が生きているのはきっと誤算だ。聖子の能力ならともかく、僕と左右程度なら例のゾンビ事件で手っ取り早く消せると思ったに違いない。あるいは、こんな場所に居られない! と、さっさと逃げ出すと思ったのかもしれない。でも、僕も左右もまだこの島に居る。度重なる襲撃からほとんど奇跡と言っていいほどの幸運で生き延びている。それは僕と左右、そして聖子の運命操作が貝川の野望に必死に抵抗した結果で、小さな戦争に小さな勝利を収め続けた結果だった。

 でも、勝利なんて何の意味も無かった。僕も左右も聖子も、結局はこうして貝川の手中にいるのだから。

 次のカリキュラムが見つかったらしく、ノノはスマホを眺めながら、苦虫を噛み潰した表情を浮かべた。

「……これ読むのヤダ。鷹取読んで」

「分かったわ」

 ノノにスマホを手渡された鷹取はじっと画面を睨みつけ、朗読を始める。

「私達が、は、苦しめたい訳ではない。聖子、あなたを。本当のスバラシ会になるため……きららには必要な人材。自尊心を傷つけないように注意して……ああ、ここは読まないの。今のは無し。あなたは馬鹿だ。自分の……たいまん? ゆるまん?」

「傲慢」

「あ、ごうまん。ごうまんさできららを深く傷つけた。でも誰も怒ってはいない。きららがすきならあなたもきらら、きららはすき……あながた、あな、あなたがきららをすきなら、みんながあなたをすきになる。選択のよちは……ある。孤独を選ぶか、きららを選ぶか。天国か地獄か。全てはあなたの決めること。天国か地獄か……」

 鷹取がスマホから顔を上げると、ノノは「どんだけ下手なのよ!」と彼女のお尻に蹴りを入れる。鷹取は微動だりせずいつもの無表情で、自分の仕事に満足しているようにすら見えた。

 天国か地獄か、と聖子は心の中で復唱した。そして自分の感情が、選択が、彼女の提示した未来を吟味している事に気がつく。酷い目にあった。酷い目続きの人生で、きららとの青春を、ほんの一欠片の煌めきをも否定されてしまった。それなら、自分には貝川の提示する未来も、ひょっとするとアリなのかもしれない。それがきららの望みで、その先に理想郷が待っているのなら……それに……。

(それに、アタシの“有り様”は、それしか無いんじゃん……)

 と、彼女は思い始めるのだった。

 ……見も蓋も無い言い方をすれば、これは動物としての反応だ。決して聖子の自責の念が強すぎるわけでも、きららの本当の幸せがプリンセスだと判断したわけでもない。疲れて、お腹が減って、痛みや恐怖に震えれば、ほんの少しの正論が背中を押して人の判断力を虜にする。

疲れた人間が道を踏み外すのを、“仕方の無い事”と言い切ってしまうのは乱暴だろう。それでもこの意識変革は聖子には抗うことの出来ない必然の成り行きで、誰も彼女を責めることは出来やしない。飢えた獣が山を降りるように、迷子になった子供が誰にでもすがりつくように、彼女はスバラシ会の元へと下ってしまうのだった。

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