フィアナルファンジターフォーティーン season1 珍生エオ◯ゼア

@User201605071855

第1話 気を使って下さい。

以下は、小鳥の囀ずる中での出来事だ。


Naokiはその日、今までにない興奮に包まれていた。自分がプロデューサー兼ディレクター(以下、P/D)をしているグローバルサブスクリプションコンテンツドリヴンマッシブリーマルチプレイヤーオンラインロールプレイングゲームのβテストが始まったのだ。

多少ログイン等に問題はあったがNaokiはテストプレイヤー達が順調にプレイしているのを見てほくそ笑み、自分もゲームの中に入りプレイヤー達に呼び掛けた。


「フィアナルファンジターフォーティーン、楽しんで貰えてますか?」

ーもちろん!

ーこれはすごい!

ーフィアナルファンジターは人生!


あちこちから賛美の声が聞こえてくる。Naokiは高まると今度は英語で呼び掛けた。


「How do you feel fianalfansytar?」


このゲームはグローバルスタンダードなゲームだ。そのP/DたるNaokiは英語ができるのだ。後ろで社員が笑っていたので無言でボールペンを折って黙らせた。


ー最高です!

ーこれは面白くないわけがないと思ってます。


誰も英語に気づかない。当たり前だ。ログインしたのは日本語サーバーだ。

しかしどれも賛美の声、滑り出しは好調と思われたその時ー。


「今のところ正直グラの綺麗なクリックゲームって感じです。」


カ ッ チ ー ン !

アンチだ!まだβテストだと言うにも関わらずはっきしものを言うアンチが早速現れたのだ!Naokiは怒りにうち震えた。しかしまだフィアナルファンジターは始まったばかりだ。ここで問題を起こすわけにはいかない。


「クリックゲームだと思われないように工夫していきますね。」


Naokiはなんとか自分を抑え込み、返答を行った。しかし、アンチの回答は…


「正直な感想を言ってはだめなんですかね?気を使えって…」


会話になっていない。アンチは何を言っているのだ。

Naokiはしばしゲーム画面から目を離し、考える。そして何かに気付き、あわてて開発者用の画面からアンチへ送られているチャットを表示した。


「そんな事言わないでください」

「気を使って下さい」

「なんで公で返事をしてるんですか」

「イジワルですね」


テンパだ!まだβテストにも関わらずフィアナルファンジターフォーティーン用語で「信者」を表すテンパが現れたのだ!

しかもこのテンパ、特定のプレイヤーにだけ聞こえるチャットチャンネル、【テル】を使っている。アンチに裏で脅しをかけて公にばらされたのだ。これではNaokiの我慢が台無しだ。


「そうですね、死力を尽くしてがんばりますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございました!」


この場合は早急に場をおさめるのが最良だ。グローバルP/Dは炎上にも対応できるのだ。

Naokiは一息つくと、帰り支度を始めた。


このテンパとアンチのやり取りがこの後数年に渡って行われる争いの始まりであることにNaokiはまだ気づいていないー。

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