2頁目「庭から庭が生えてきたので」
庭の種を買って撒いたら、翌日には庭が大量に生えてくる。
うちの庭にはリンゴの樹が一本生えていて、小さなリンゴが実っていたので、大量に生えた庭にも小さなリンゴの樹の小さな小さなリンゴが実るのだ。
庭の小さなリンゴの樹を摘まんでひっこぬき、水で良く洗って家で飼っているセキセイインコのピー太郎DXにくれてやる。
「うめっす。ちびちゃいリンゴマジうめっす」
「うむ。よく味わって食えよオラ」
ピー太郎DXはリンゴが好きだぜ。三食リンゴだけを食っても飽きないぜ。男子のカレー大好き症候群みたいなもんだぜ。
しかしリンゴというのは、季節によっては中々お高い。なにか安上りになる方法はないかなーと思案していたところ、頃合いよく『庭の種』の存在をしって、ためしにくれてやったら、大成功だった。
「ダンナー、もっとリンゴくれー。美味いが腹の足しになりゃしねー」
「うるせーよ、ボケインコ。冷蔵庫に庭が入ってるから勝手に剥いて食え」
「らじゃー」
最初こそすべての庭から小さなリンゴの樹を引っこ抜き、小さな小さなリンゴを与えていたのだが、そのうち面倒になり、庭をまるごと冷蔵庫の中に突っ込むようになった。
「うめっす、ちびちゃいリンゴマジうめっす!」
ピー音以下略が、冷蔵庫を開けて今日ももさもさ突いていた。そして翌朝、冷蔵庫を開いてみたところ、半ば混沌とした永久表土のツンドラ地帯ができていた。
「ピー太郎、てめぇ……っ! リンゴを食うのに夢中で冷蔵庫に入れといた庭の庭から生えた庭の種を別の庭の庭ん中にこぼしたろォっ!?」
「すげぇよダンナ! なに言ってるかマジわかんねっす! パネェッス!」
「うるせーよ! 掃除しろよコレェ!! ビール出せないじゃん!」
この後、インコとガチでケンカした。
完。
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