2 借金

その日の帰り


銀行の残高をかき集めた


全部で6万2千円


今はこれだけしかない


そう手紙を添えて現金書留で送った


次の日


「電話だよ、2番」


受話器を上げ、2番を押す


「お前何考えてんの! お金たりないよ! あと4万すぐに送ってくれないと明日にも電気を止められちゃうんだよ! わかったね」


一方的に切れる母からの電話


地元から遠く離れた勤務先で一人暮らし中の私


お金を貸してもらえるような友達なんていない


とにかく悩んだ


職場の福利厚生事業でお金が借りられたはず


書類を探して内容を確認


一応200万借りられるけど、お金が振り込まれるのは来月末


悩みに悩んだ私は


その日の帰り道


生まれて始めて消費者金融を利用した


融資は10万円からということで10万円借りることに


その帰り道


実家に4万円現金書留で送った


その翌日


カードローンの存在を思い出した私


早速昼休みに手続きした


これで都合50万まではどうにかなる


仕事柄消費者金融の借金をそのままにしておくのは気持ち悪かったので


このカードローン枠で即返済


4万円を送った後


実家からは何も言ってこなくなった


お礼もなかった


翌月末


職場で申し込みしておいた福利厚生事業のお金が振り込まれた


200万


これでしばらくはどうにかなる


でも


しばらくしかどうにもならない


手持ちのお金に余裕が出来たことで


その時の私はかなり楽観的に事態をとらえていた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る