第4話 詫びを入れるためのサラリーマンのお持たせ

河井シュンスケは動揺していた。

自分のミスで取り引き先を怒らせてしまったのだ。

彼は打ち合わせの予定をすっかり忘れていたのだ。

連休の谷間の出勤で、気が抜けていた事は否めない。


青ざめながら、慌てて向かう。

雨が降っていたので、会社に置いてある傘を持って出た。

せめてものお詫びに駅でシュークリームを買った。

経費清算に出すため、レシートを大事にしまう。


途中の乗り換え駅、階段の下の方で電車が来る音がする。

彼は慌てて駆け下りた。

しかし、その脚に傘が絡まり、残り数段のところでよろける。

「うわっ」

手に持ったシュークリームの箱を投げ出してしまった。数メートル先まで転がる。


中は滅茶苦茶になっているに違いない。

発車ベルの音がしていた。


彼は電車に飛び乗った。


「経費申請、無理だな。」

彼はポツリと呟いた。

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お土産を忘れた事から始まるオムニバス @sakata-ko

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