③
「先生、決着って」
「ま、決闘みたいなものだ。互いの体力を飛ばし合って相手の的に到達させた方が勝利……昔よくやった練習がてらの遊びさ」
「…………ぅ」
先生の手の中でコカナシが目を開ける。
「起きたか……良かった」
「キミア様、アルスは……」
「今から決着をつけてくる」
「それって……」
「そろそろ体力の回復をしないとな。タカ、体力を分けてくれ」
名残惜しそうにしながらも先生はコカナシを智野に預ける。
「キミア様」
「大丈夫だ。絶対に負けないさ」
*
「…………」
「……オーケーだ」
先生の合図を受け錬金石のコネクトを解く。先生に渡した分どっと疲れる。やはりあの錬金術は相当消耗するらしい。
「……そろそろだな」
頑丈そうなケースから見たことのない汚れた指輪……錬金石のついた物を取り出し、先生はソレを指につけた。
*
「もう一度だけ聞こう、キミア・プローション。オレと未開錬金術を根絶する気はないか?」
「無い。万に一つも、死んだ方がマシだな」
「そうか、惜しいな」
二人は一歩近づく。
「ワタシからも聞くぞ、アルス・マグナ。錬金術を辞めろとは言わない、せめてワタシのように錬金術から身を引かないか?」
「有り得ないな。この手から錬金術を手放す時は死ぬ時だ」
「……残念だ」
二人の錬金石がコネクトされる。
「お互いに相容れず、お互いを許せない。なら……」
「そうだ、残る道は一つ」
「「殺し合うしかない」」
*
殺し合い!? そこまでするなんて聞いてないぞ!?
俺たち三人が声を上げる前にアルスの後ろから声が飛んでくる。
「ちょっとアルス! あたし納得してないんだけどー!」
いつのまにか来ていたらしいニャルが叫んでいる。
彼女の方を一瞥したアルスは小さく息を吐いて先生の方を見る。
「キミア様! ダメです、そんな……」
コカナシの言葉に先生の顔が和らぐ、しかしソレは一瞬の事で元の険しい顔に戻る。
二人はそれぞれ心配する者に同じ言葉を発した。
「「何があっても、手を出すな」」
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