「……決して邪魔を入れるな」

 俺たちに小さくそう言った先生の錬金石が光る。今までにない強い光、生命力の光りだ。

 視界を変えるとコカナシとエルフの血には既にコネクトしていた。

「よく見ておけ」

「アルス!?」

 いつの間にか隣にアルスがいた。その後ろにはこれまたいつの間にか警戒を解いていた三匹のキメラ。

「構えずともよい」

「…………」

「よく見ておけ、アレが天才の錬金術だ」


 *


 強い光の中央で先生はコカナシの散らばった内臓を結合させていく。

 弱った部分には強化を、足りない部分はエルフの血を持ちいて補修を。身体の中に人工臓器を直接作り出していると言えば分かりやすいかもしれない。

 ともかく普通ではあり得ない錬金術だった。


 *


「…………」

 錬金術が終わる。俺の目で見た限りコカナシの内臓に異常はない。

「ハハハハ!流石だ!」

 アルスが叫ぶ

「やはりキミア、お前は天才だ! 惜しい、錬金薬学なんぞに使うには惜しすぎる才能だ!」

「アルス……決着をつけよう」

「ハハ……決着、か」

「きっとワタシたちは一生平行線だ」

「ああ、そうだろうな」

「だから決着をつけよう」

「いいだろう……方法はアレで、本気のアレでいいな」

「ああ」

 先生の答えを聞いたアルスは身を翻す。

「一時間後だ、お互いに万全の状態でいこうじゃないか」

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