⑲
「智野、下がってろ」
「おやおやおやー? 遠距離武器相手に距離を取る? ネタバレしちゃってる系?」
四女は「んー」と暫く考えた後、「にゃるほどねー」と目を鋭くさせる。
「マッカの家族ちゃんか」
『彼女が一歩踏み出せば、既に懐にいます。そこに距離など関係ありませんよ』
そう教えてくれたのはカリだった。
だから俺はあらかじめグローブを強化していた。
近接型リトルガンマン。彼女はその名に相応しく、銃を飛び道具として見ていない。
確実にあたる懐、ゼロ距離でソレを放つのである。
*
「硬いグローブだね、それも錬金術ってやつなのかな?」
数回の攻防の後、四女はまた距離を取った。
一丁を後ろの智野の方に向けたままもう一丁に弾を込める。
「それもって事はその銃もそうなのか?」
「あたし扱いが乱暴だからさ、ゲラっちに錬金してもらったんだ。オーバーヒートもしないし頑丈で素敵なの」
「リロード完了」と歌うように言った四女はまたも懐に来る。
この廊下は一直線。だから来る場所は決まっている。
「……あらら、掴み取り?」
弾を防ぐ事数回。グローブが悲鳴を上げる直前でそれは成功した。両方の銃を掴んだのだ。
しかし四女は余裕の笑み。
「でもでも~、あたしってば力もあるのよん」
勢いよく振り払われ、よろけた身体に銃口が付けられる。
「……あれ?」
しかしトリガーは引かれない。いや、引けないのだ。
「錬金術でテキトーに分解した、それはもう使えない」
「ありゃりゃ、ダメじゃんゲラっち」
銃を放り投げた四女は俺たちが入ってきた方に向かう。
「何処にいく」
「撤退。銃が使えないとかありえないし……それとも」
四女はポケットから小さいナイフを取り出す。
「止める?」
「……いや、いい」
「じゃあね☆」
去っていく四女を確認し、智野と共に進む。
「この先に……ニャルとゲラシノスがいるんだな……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます