⑭
「マタタビって事は酔ってこうなってるって事?」
「そうみたい、川があまりに高濃度なマタタビ水になっていたみたい」
つまり幽霊というのも夜目すら効かなくなった酔っぱらいの戯言というわけだ。
対策方などを検討しているとマタタビの中から這い出してきたニャルがつまらなそうに口を開く。
「幽霊じゃないとかつまんなーい!」
*
「僕はこのまま帰って報告してくるね」
ケイタ様と別れ、猫島を出る。未だ寝ている五十鈴に別れを言えないのは残念だが、仕方あるまい。
「さあ! お祭りの街にしゅっぱーつ!」
一人元気なニャルを加えて俺たちは三人で街へと戻った。
とりあえず宿へと向かっていると見覚えのある人影……先生とコカナシを見つけた。
俺たちに気づいたらしい先生は肉を口に入れながら近づいてくる。
「おお、終わったのか?」
「……何してんすか」
「串焼き、いい具合の濃さで美味いぞ」
「いつ帰ってきたんですか?」
「さっきだ、ちょうど腹ごしらえをしてお前たちと合流しようと思ってたところだ」
「…………」
絶対嘘だ、祭りを満喫していたに違いない。
「で、何でそいつがいるんだ?」
視線を向けられたのは……
「ニャル! ようやく見つけたよ!」
大声で思考が途切れる。振り返ると真っ赤な服を先頭にした三人組、確か……
「マッカファミリー?」
「そうです! 作業代行社マッカファミリー! ワタクシが発明家のカリ! そして!」
「…………」
カリから視線を向けられた小人族はゆっくりと自身を指す。
「……モウ」
「ちょっとモウ! 肩書きを名乗ってからと打ち合わせしたじゃないか!」
「……モウ」
「何やってんだいアンタ達! 目的を忘れたのかい!」
ファミリーのボス、マッカさんが二人を小突く。
「ごめんなさいマッカ姐……そう! ようやく見つけましたよ、ニャル!」
「え? あ、久しぶりー」
今気づいたのか……
「大人しくトリトスに帰るよ! 付いてきな、ニャル」
「え? 嫌」
「嫌と言われてもこっちは仕事でね、それにアンタは天才だからトリトスでは豪華な暮らしができるんじゃないかい?」
「豪華より自由がいいの!」
「そうかい、ならば仕方ないね」
マッカファミリーの目つきが変わる。
「帰らないというのならば……」
肩頬だけをあげた笑みを浮かべてマッカさんがニャルに指を突きつける。
「お祭りで勝負だよ!」
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