時間が余ってたから他愛もない話をして、先生とは一度解散した。

「あ、何処行ってたの?」

「すまん、少しトイレにな。検査はどうだった?」

「うーん。シャーリィさんの診断とあまり変わらない、かな」

 良いのか悪いのか……微妙なところだな。

「そうそう! これ出来たの!」

 微妙な雰囲気を吹き飛ばそうとしたのかそう言って智野はカバンに手を入れる。

「隆也にもあげる」

 渡されたのは前に言っていた『恋なすび守』

「確かこれって縁結びの……」

「うん。案が通ったの!」

「そう、か……」

 俺は目の前が真っ暗になった。


 *


 検査の翌日、買い物をしているといつものようにテンションの高いアデルと遭遇した。

「うわっ、なんだいその顔」

「そんなに変な顔か?」

「この世の終わり数秒前みたいな顔だよ。もしかして検査結果が悪かったのかい?」

「いや、そうじゃないんだ」

 俺はポケットから恋なすび守を取り出す。

「お、智野ちゃんのアイデア土産だね! 中々良くできているだろう?」

「……まあ、な」

「智野ちゃんから貰ったんだね。で、これがどうしたんだい?」

「わからないか?」

「……?」

 わからないのかこんちくしょう。

「ほら、これって『運命の人と出会わせてくれる出会いの恋なすび』だろ?」

「うむ、智野ちゃんのアイデアをそのままキャッチコピーにさせてもらったよ」

 そう、それを俺に渡すって事は……

「フラれたって事じゃないか? これ」

「……はあ?」

「だって運命の人と出会う為のアイテムだぜ? それを渡すって事は……」

 やはりおっさんはダメなんだ! 年の差が!

「……ふむ、なるほど」

 俺の魂の叫びを冷静な顔で聞いていたアデルは何やら嫌な笑みを浮かべた。

「タカは馬鹿だなぁ」

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