第13話

今すぐ追いかけて返そうかと思ったが、すんなり返すのは名残惜しい。

それに持っていればまた今のような仕草をまた見れるのではないか、という期待を抱いた俺は鍵を鞄に入れ、屋上を後にした。


しかし、先生はなぜ屋上を”あたしの場所”と言ったのだろう。

あたしの場所というぐらいだ、何か思い入れがありそうだ。

場所と言えば……あ。


先生の仕草でドキドキしてしまっていたせいか赤い自転車のことをすっかり忘れてしまっていた俺は、自転車置き場に急いだ。

しかしそこには赤い自転車はなかった。

ここ数日いろいろ探してみたが、全く宮田麻央の手がかりがつかめない。

俺はツチノコでも探しているのだろうか?

スマホを確認すると「明日は休日ですが、14時から部活があります。」という連絡が入っていた。



次の日の12時頃、俺は校門にいた。部活前に屋上で昼を食べるためだ。

しかし、自転車置き場についた俺は屋上に行くか悩んだ。

”俺の場所”に赤い自転車が停まっていたからだ。


(byらゆと)

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