異世界物を書いたのにウケないのはなぜ?(2)
私の小説はつまらないのだ!!
私がWeb小説を書き始めて数か月目にしてようやくたどり着いた結論がそれでした。
それまでは、そんなこと考えもしなかったのに。
だって、私の中ではもう私の小説はアニメ化して動いていて、それがすっごく面白くて毎日妄想してたりするんだから!
でも冷静に読者の視点になって自分の小説を読んでみると、私の小説がつまらない理由は沢山ありました。
多すぎる登場人物、長すぎるバトル、着地点の見えないストーリー。
自分の中ではいくら面白くても、読者はついていけないのだと悟りました。
たぶんだけれど、初心者がいきなり長編ファンタジー、それも異世界転移ものを書いたというのが、そもそも良くなかったと今になっては思うんですよね。
これは私の主観ですが、長編小説というのは短編に比べて書くのが難しい。
例えば小説を書くとき、私はまず書きたいシーンがパッとアニメや映画のように思い浮かび、そのシーンはノリノリで書けます。
でも長編となると、書きたいシーンと書きたいシーンの間に繋ぎのシーンを入れなくてはいけない。
ここを書くときは何とかしてストーリーの辻褄を合わせようと四苦八苦して書く。
結果、そのシーンはグダグダになる。私の長編はそういうグダグダが多いのではないかと思うのです。
一方で、ランキング入りしている長編をみると、最初から最後までダレずに一気に読めるものが多い。
一気に読ませるだけの筆力があるわけです。そういう作品は、やはり高評価を得ている、と私は考えました。
それから書いてみて分かったんですが、長編の中でもファンタジーというのは特に難しい。
誰も見たことも聞いたこともない世界を描写しなくてはいけない。上手く書かなくては、読者に伝わらない。
異世界転移なんて低俗なラノベ、誰にでも書ける、そう思う人もいるかもしれないですけど、簡単そうに見えるのは、その作者に力があるから。実際に書くとなると全然違う。
本気でファンタジーを書きたいと言うなら止めはしないですけど、「流行っているから」「読者ウケが良いから」「評価されたいから」という理由で書こうとしているなら止めた方がいい、と私は思います。
もし読者にウケようだとか評価されたいという理由で異世界物を書いているんだったら、ファンタジーよりも、もっと書き手の少ないニッチなジャンルでトップを目指したほうがよっぽどいいです。
ファンタジーはPVは増えるかもしれないがライバルが多い分、すぐに埋もれてしまう。
☆やレビューを貰うにはそれなりのできでなければいけないんです。
そう考えれば、むしろ異世界転生の小説を書くのは茨の道……。
特に小説をあまり書いたことの無い初心者には、いきなり超大作を書こうとしないで、まず短編を書いてみることをおススメします。
何作か完結させるうちに自分の書き方というのが分かってくるので、そうして慣れたら中編、長編と長くしていけばいいんです。
短くても完結させた、という経験があれば自信につながるので。
コンテストのことを考えるのは、そうやって長編に慣れてからでいいと思います。
たまたま自分が書きたいと思って書いて上手く書けた小説が10万字越えだったら応募してもいいんですけど、そうでなければ最初から賞は狙わないほうがいいです。
私の場合、最初から長編を書こうとした。それがいけなかったと今では思います。
ファンタジーは難しい、と言いましたが、もちろんSFやエッセイよりファンタジーの方が得意な人も居ます。
歴史ものやミステリーや恋愛ものの作品に多く☆が入っている人もいるし、短編よりも長編の方が☆が多い人もいるしその逆もいる。
人には得意ジャンルというものがある。要するに自分に合ったスタイルで書け、という事です。
とはいえ、自分に合ったジャンルの小説を見つけるのはなかなか難しいですよね。
シャーロック・ホームズで有名なコナン・ドイルだって最初は歴史小説を書きたいと思っていたらしいけど、読者にウケたのはミステリーでしたし。
自分に合ったジャンルを見つけるには、まず食わず嫌いせずにいろいろなジャンルを書いてみること。
そうすれば自分の意外な得意分野が見つかるかもしれない……と思います。
私は今書いてる小説には少なからず思い入れがあるので、とりあえず今は書き続けようとおもいます。
でも、この物語は、多分これからもあまり評価はされないとは思います。
だってこのお話、46話時点で物語はまだ半分も進んでいないんです。
このままだと確実に100話を超える。☆の少ない100話超えの作品なんて誰が見るっていうんだ? って話ですよ。
でも向いてないと分かったので「何で評価されないんだ!」必死になって書かずに「まあ、完結を目指すか」とゆるい気持ちで書けるようにはなりました。
何はともあれ完結です。
完結すればひょっとして評価が入るかもしれない、という希望もわずかだが捨てていません。
固定読者も7~8人くらいだけど居るようなのでまずはその人たちを大事にしようと思っています。
最後になりましたが、カクヨムの書評や文章論を見ていると、
「受けるのはファンタジーやラブコメ!」
だの
だの「お色気が強い、エロくしろ!」
だの「ライトなものがウケる。純文学的なものはウケない」
などという論調が多く見えます。(※2016年現在の話です)
でも私は思うんです。「異世界転生物がウケる」なんてのは真っ赤な嘘。
ウケるのは面白い小説だけです!
自分の書きたい小説を書くといいでしょう!!
ファンタジーの上位ランカーさんだって、おそらく読者ウケしようと思って書いてるんじゃないと思います。
読者ウケも意識はするでしょうが、多くは自分が好きなものを書いているんじゃないかな。それがたまたまウケただけ。
読者にウケようと変に策を練る時間があったら一作でも多くの作品を書いたほうがいいと私は思うんです。
そうしたら、一つぐらいは当たりが出る……はず!
私の経験上、読者にウケようと思って書いた小説は、大概ウケないです。
それよりも、情熱のままに筆を走らせ、自分の書きたいことを書いた小説のほうがずっとウケるし、伝わると思っています。
小説は読者に何かを伝えるためのものです。
愛とか人間とは、とかそんな大それたテーマでなくてもいいんです。
このバカバカしい作品を読んで日々の疲れを癒して欲しいとか、このキャラに萌えてほしいとかそんなんでもいいと思います。
何を伝えたいかが重要で、外見やパッケージじゃないのだと思います。
それ無しに設定だけ流行りに沿った小説を書いたって、読者は困るだけです、らキャッチすべきメッセージが無いんだから。
ネット小説を読む人なんて、低年齢でふだんあまり本を読まない人たちだと思っている方もいる方もいるかもしれないが、私はそうは思いません。
何しろ、パソコンやスマホを開いたら他の人がネットサーフィンやゲームをするところを、わざわざ小説を読んだりするような人たちなんだから、読者は、間違いなく本が好き。
特にカクヨムの読者さんは、書き手が多いせいか、皆が思うよりずっとシビアだと思います。
気に入った作品と同じ作者の作品でも、タイトルやキャッチコピーで興味を惹かれなければ見てもくれない。
同じようなジャンルの作品を書いても、その作品の完成度やタイトル、キャッチコピーによってPV数や評価にかなりの差が出る。
私の作品『アンドロイドの妻』『ロボットに育てられた少女』と『壊れたアンドロイド』は同じロボットをテーマにしたSFで長さも同じ位、似たような時間にアップしているが評価は全く違うんです。
彼らは思っているより色んなジャンルを読むし、シリアスなものや固いテーマ、重いテーマのものを好む人も沢山いる。
☆の少ない作品や新着作品から良い作品を発掘しようというスコッパーもかなりの数いますし、たくさん書けば、そういう人の目に留まる確率も高くなります。
良い作品は、必ず発掘されると信じて書き続けるのが一番だと思います。自分が良い小説だと思えないものを書いても、自分が苦しむだけです。
自分に合ったスタイルで、自分はこれが書きたいのだという熱意がある小説を書けば、きっとそれが好きな方から評価は貰えるはずです。
書け! 名もなき小説家たちよ! 筆のままに、パッションとリビドーのままにアクセルを踏みこみ、魂を燃やして作品を書くのだ!
※長かったので前後編に分けました(2017/1/7変更)
※ちなみに、私は今まで三作品書籍化されましたが、その内訳はSF一作に、現代物の恋愛もの二作です。異世界ものは一つもありません。みなさん、自分に合ったジャンルで頑張りましょう!(2021年12月追記)
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