12.「重複」は「じゅうふく」? それとも「ちょうふく」? 奥深い「慣用読み」の世界
「重複」という言葉があります。『同じ物事が重なり合うこと』という意味ですが、これを「じゅうふく」と読んで間違いを指摘された覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。本来の読みは、「ちょうふく」が正しい――のですが、多くの辞書では「ちょうふく」と「じゅうふく」、両方で項目が立てられている場合が殆どです。
では、どちらも正しい読み方なのかと言えばそういう訳ではなく、「じゅうふく」の方には大概の場合「『ちょうふく』の慣用読み」という但し書きがされています。「慣用読み」とは『慣用音を用いた読み方』『正式な読み方以外によく用いられる読み方』の事。
「慣用音」というのが少々わかりにくいかもしれませんが、「デジタル大辞泉」では以下のように説明されています。
”
呉音・漢音・唐音のいずれでもなく、日本で広く使われている漢字音。「消耗」の「耗(こう)」を「もう」、「情緒」の「緒(しょ)」を「ちょ」と読む類。
”
つまり、中国大陸由来の漢字本来の読み方ではない、日本で普及した読み方、という事ですね。
以下、具体例を挙げます。まずは、どちらが本来の読みでどちらが慣用読みなのか、考えてみてください。
・
・
・
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――如何でしょうか? 答えは、前者が本来の読み、後者が慣用読みとなります。
「
しかし、「
そもそも何故このような「慣用読み」という読み方が現れてしまったのか? 理由は様々ですが、もっとも多いのは「誤読」の結果それが定着してしまったというもの。また、戦後の教育改革にあたって平易な漢字や言葉だけを使おうという動きがあった際に、一部の難解な漢字や言葉が似たような別の漢字・言葉に置き換えられてしまった為、おかしな事になってしまったケースもあるようです。
前者の誤読タイプについては、上記に挙げた例で言うと「
後者については、「
さて、「
例えば、上記の「耗」が使われている「消耗」という言葉を本来の読みである「しょうこう」と読む人は、現代では殆ど存在しないですよね。学校などでも「しょうもう」と教えているようです。そんな状況下で頑なに「しょうこう」と読み続けると、言葉的に孤立してしまう可能性もあります。状況に応じて、通じやすい読み方を使った方が無難でしょう。
しかしながら、漢字というものは本来「読み方」に意味が込められているもの。例えば、「重」という字は「じゅう」と読んだ場合には「重い」、「ちょう」と読んだ場合には「重なる」という意味になります(もちろん例外もあります)。字面ではなく「音」の面から考えると、やはり「
まさに「言葉は生き物」を体現したような問題ですね。残念ながら「正解」はありませんので、日々考えながらその時々の最適解を検討していくしかないのかもしれません。
余談ですが、漢字の読み間違えの典型例の一つに「
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